入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

         「夏」 (14)

2015年07月04日 | 牧場その日その時

  背後の電波塔の見える山が(名無しの)権兵衛山、標高1960M

 雨催いの天気が続く。今日も重苦しい灰色の空が頭上を圧し、今にも泣き出しそうだ。囲い罠に入れておいた牛は今朝行ってみたら、全頭が第4牧区へ移動していた。昨日、草も大分少なくなってきたので、思い切って第4に通ずるゲートを解放しておいたのだ。まだ給水タンクの防錆処理が終わっていないため、しばらくは囲い罠内の水タンクまで通わせようと境のゲートは開けてある。こちらの思惑通りうまくいくかと案じていたが、牛は三々五々古巣の囲い罠に戻り水を飲んで、また隣の牧区に戻る様子が見える。ただ今後この広い牧区に、今年の牛たちはどのように展開するのかは、まだ分からない。
 昨日の夕暮れ時に第1牧区へ塩を持っていったら、三角点の丘のいつもの草地から牛たちは寝場所を求めて移動中で、いくら呼んでも来ようとしない。またその移動の仕方が、まるで自分の順番が決まってでもいるかのように1頭づつ、ある一定の間をおいて立ち上がり、例のノロノロとした足取りで順繰りに森の中へと姿を消していった。ならばと、塩鉢にはわずかの塩を置いてきただけだったが、先ほど行ってみれば、こちらが行く前にあるだけの塩は舐めつくされていて、もっとよこせと待っていた。
 牛はこちらの意図が通ずるときもあれば、まったくダメなときもある。そういうことの繰り返しを夏の始めから秋の中頃までの4か月、一人で、1800メートルの高地にある牧場で笑ったり、怒ったりしながら過ごす、幾晩も長い山の夜を体験しながら。

 また霧が降りてきた。もう権兵衛山はスッポリと深い霧の中に隠れてしまった。今夜は里に下る。Chiyさん、「海のおうち山のおうち」今度の方が断然いいんじゃないですか。

 入笠牧場の山小屋「農協ハウス」及びキャンプ場の営業に関しましては、4月26日のブログをご覧ください(日付をクリック)。また、入笠牧場からの星空に興味のある方は5月25,26,27日のブログにアクセスしてください。カテゴリー別で見ることもできます。

 
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