入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

        Ume氏の入笠 「夏」 (20)

2015年07月14日 | 牧場その日その時

Photo by Ume氏

 夏の一日が終わろうとしている。今日の最高気温は25度C、「日蔭に入ればもう1枚何か着る物が欲しくなる」と、濃い影を落としたダケカンバの太い根元に立って、その人は言った。真っ青い空や、日の光が照り付ける深緑の森を眺めていると、郷愁にも似た懐かしさとでも言えばよいのか、遠い時間の記憶が甦ってくる。夏休み、宿題、天竜川での水泳、向日葵、蝉の声・・・。


                                          Photo by Ms Shuhko

 昨日捕獲した鹿を殺処分しようと行ってみると、今日も小鹿が捕えられた母鹿のすぐそばまで来ていた。小鹿は最初われわれが救出に来てくれたとでも思ったか、近付いてこようとした。すると、われわれと小鹿の間にいた母鹿はたちまち逃げようとして暴れ、虚しい努力は罠の掛かった前脚の傷をさらに深めた。そして逃げ惑う中突然鋭い声を上げた。すると、事態のすべてを理解できないまでも、尋常でないことが母親の身に迫っていることがようやく分かったらしく、小鹿は母親を見捨てて、草むらの中に逃げ去った。
 こんな場面には滅多に出くわさないから、やりきれない気持ちが、次の行動を鈍らせた。

 長い影が目の前の草地に落ちてきた。山の夕暮れが、早く帰ろと言っている。今日はUme氏とShuhkoさんの競作となりました。山中さん、多謝。是非またおいでください。

 宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業案内」を、また星空に興味のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする