
幾日ぶりの青い空と太陽だろうか。緑の草原(くさはら)や森や林も、昨夜の狂ったような土砂降りの雨に洗われて鮮やかさを増し、清々しい。どこに避難していたのか鳥たちも一安心して、今朝はいつもよりよく歌う。これから牛の様子を見にいくが、昨夜はさすがに牛たちも、あのぶ厚い雨雲と濃密な霧のすべてが雨に変わって、滝と化して襲いかかってきたのには、さぞかしまいったことだろう。

昨日の雨が第4牧区の牛たちにはシャワーの役割もしたようだ。これまでの汚れがすっかり落ちて、特に種牛見習や和牛は、ほれぼれとするような光沢の毛並を見せながら、だがいつもと違った様子もなく、小入笠の下の草地に他のホルスタイン牛と群れていた。相変わらず尾っぽを振りふり、食べるだけ食べれば横になり反芻を始め、まるで昨夜の雨なぞ忘れてしまっているようだ。
上の写真の遠く背後に見えている草地が第1牧区で、御所平はさらにその向こう側にある。第1牧区の牛たちは今朝はそこにいた。やはりここの牛たちも、一風呂浴びたようなさっぱりした姿で横臥して、久し振りに太陽の光を浴びながら憩っていた。ホルスタイン牛は白と黒の斑の対比が一段とはっきりとして、いつもと同じように、いい音を立てて草を食んでいた。この牧区ではたった1頭の和牛も、黒毛和牛らしく、昨夜の雨にヘコタレた様子などはなかった。
一日が暮れてゆく。今日は上伊那猟友会の人たちが来て、小黒川林道沿いの有害駆除について県の側から話を一緒に聞いたり、現地の状況を見て回るというので同行した。午後第4へ上がっていったら、朝のうちはあんなにきれいだった種牛見習が、どこで付けたのか顔や頭を泥だらけにして目の前に現れたのには、思わず笑った。また、テイ沢を褒めてくれた高山から来たというご夫婦を、牧場内を少し案内をして喜んでもらった。
いかにもと言いたくなるような山の夕暮れが始まった。ここから見える夕空に雲はない。久しぶりに今夜は星空を期待できるだろうか。今夜で4泊、山の人も明日は里に下りる。NZWさん、多謝。
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