入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

        「夏」 (22)

2015年07月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

御所が池(もっとマシな写真があったはずだが)

 気持ちの良い山稜の道を約1時間で、きっかり正午に高座岩に到着した。ここで昼食を食べ終えて、本家・御所平峠を経て御所が池へ向かう。法華道は池に来る途中の林道で、「諏訪神社口」に下る道と「栗の木立ち・赤坂口」へ下る道とに分かれるが、今回の踏査の目的は後者の古道である。池に行くには道をいったん左に少し外れるが、同行の二人が折角だから見ておきたいということで寄り道をする。
 この池からまた元の道に戻ると、そこからは未知のコースとなる。ただ冬に一度、てっきり諏訪神社口はこの道を下るのだと思い違いをして、雪をいいことに途中から道のない尾根をそのまま構わず山室川まで下ったことがあった。そんなことを思い出していたせいか、この辺りでもたつき再度池に出てしまう。やむなくそこから真っ直ぐに尾根を下れば、古道に出るはずだと予想して行ったら案の定、標識布替わりに黄色いテープが落葉松に巻かれた山道と合流した。これでよしとばかりにその黄色のテープに導かれ先を急ぐ。程なくして旧営林署の打ち捨てられた廃屋に出た。
 この廃屋のことは聞いていた。何とも侘しさの残る廃墟の横を抜け、そのまま下降していこうとすると、それまで頼りにしてきた黄色のテープがこっちへ来いとばかりに左手に目に付いた。ならばと、そのままテープを盲信して行けば、いつの間にか足元の道は古道などとはとても思えない、急峻な山腹を巻く獣道同然へと変わり、加えて何度となく上部から落ちてくる大小の沢の渡渉も余儀なくされ、ついには何と信頼のテープは急な沢を斜上し、一本の木に今にもほどけそうな状態て見え、終わっていた。
 そもそもそんな道を、古(いにしえ)の旅人やT夫妻が行くはずもなかった。そのことは絶えず気になっていたが、誰が何のために付けたのか分からぬテープにいいように引きずり回され、翻弄されてしまった。途中から本格的に降ってきた雨のせいで、地図の確認を怠ってしまったのも一因であったろう。
 ともかく旧営林署の小屋まで引き返し、そこから目指す古道を下ることにした。1時間以上のロスだったが、時計はまだ3時を少し回ったばかりだったから、余裕はあった。道のない森や、はっきりとしない踏み跡を歩きながらも、焦りや不安はなかったし、疲労感もなかった。
 そしてようやく林道に出た。さらに少し行くとT氏の奥さんが書いたであろう木の板で作った標識にも助けられ、法華道へと下ることができた。
 T夫妻とはこの春に山深い赤坂へ越してきた人たちで、法華道のこのコースの整備も兼ねて幾度か入笠に登ってきた際に、管理棟で話しをしたことがあった。夫妻の家の場所は見当が付いていたので、立ち寄って挨拶をした。親切にもスイカを食べていけというのを遠慮して、ためにY、M両君は不満だったようだ。自作しているならだが、遠く町まで行って買ってきた物品は貴重だろうと思ったのだ。もちろん、ご馳走になりたかった。
 それからのんびりとぼとぼと3,40分も歩いただろうか、17時半ごろ、弘妙寺の前でY君の奥方の運転する車に拾ってもらった。いい山の一日だった。

コメント
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