
里には蕎麦の花が咲くようになった。緑ばかりの風景の中にその清涼な白さを見て、一服入れた時のような安堵感を覚えた。
昨日は午後の半日をかけて、貴婦人の丘のイノシシに掘り起こされた草地の埋め戻しをやった。せめてあの緑の丘の斜面だけでも何とかならないかと、ある人に言われたからだ。まだ終わっていないが、道路に沿った部分は被害がひどく、諦めた。石油と石灰を持っていき、牧草に影響のない場所を選んで少し散布しておいた。今朝見た限りでは、被害の拡大は止まったみたいだが、まだまだ安心はできない。
「彼ら(イノシシ)の行動は夜間となるから、これには鉄砲撃ちに頼ることができない」と呟いたら、何故だと問われたが、特殊な場合を省いてわが国では、日没から夜明けまでは銃の使用がご法度になっているからだ。違反したらエライことになるが、そういう話はまず聞かない。
それでいいと思う。アメリカなどはヘリコプターにサーチライトを積み、光の中に見えた鹿を銃撃するなどという物騒なやり方もあるらしいが、狭い日本にこれだけの人が住んでいてはそんなことは無理だ。それに地形的な問題もある。あの国のようなどこまでも続く平原などない。あっても、霧ヶ峰や美ヶ原へ行けば分かるが、観光道路が走って自然は無様なまでに歪められている。
きょうもこれから埋め戻しに貴婦人の丘へ行くが、なぜこんなことをしてなければならないのだろうと、つい思う。ジグソーパズルを解くような面白さもないわけっではないが、不毛に近い作業ではある。雨が降らなければ早晩草は刈れるからだ。
休日の行楽に浮かれる人たちを横目に、脱柵牛や種牛に悩まされ、かと思えば今度はイノシシときて、それでもこれだけの広大な牧場を管理さ・せ・て・貰って・い・るのだと、言い聞かせるしかない。今も災害に立ち向かっている人が大勢いる。自制、我慢、それにしてもしんどいワ。
昨日、夕方第1牧区へ行ったら、三角点の丘の近くに7頭の牛がいた。残り13頭を「舞台」で確認して再び戻ってきたら、塩くれ場にさっきの7頭のうち3頭が、塩を持ってきてくれたのかと集まっていた。調教の効果が出てきた。給塩はきょう。
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