入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「初夏」 (25)

2019年06月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日の続きになるが、牛が脱柵したと思われた場所は入牧の諸検査を終え、下から第1牧区へ追い上げてくる時に開けるゲートのさらに先だった。しかしこの場所から出たとすると、落とし物があった場所へその牛が行くには、下から伸びてきているもう一つの縦の牧柵も突破しなければならない。後になって思うと、あれは鹿の仕業だったかも知れず、牛は別の場所から出た可能性もあった。
 あの段階では、脱柵と事故死の可能性は半々ぐらいだったが、その捜索となるとを事故死を想定すればまず徹底的に第1牧区内を探すことになる。しかし、もうひとつの可能性、脱柵して牛がどこかへ行ってしまったとなれば、下手をすれば1日やそこらでは終わらない。人手もいる。何しろ周囲2キロ以上はあるあの広い牧区の外となれば、大半がどこまでも続く深い落葉松の森が相手となる。
 それから徒労の時間が過ぎていった。牛の群れは三角点の丘の南側にいた。それを見ながら塩くれ場を通り、さらに下方へ向かおうとした時だった、東から西へ落ちていく牧柵の向こうの官行造林に1頭の大型のホルスタインがいた。牛もこっちに気付いた。何とかしてくれ、というふうにも見えた。
 一安堵したが、さあそれからがまた大変だった。この牧区はかつてサホーク(羊)を放牧していたこともあり、牧柵の周囲を金網で囲っていた。それがまだ残っていて、牛を牧区内に戻すといっても、おいそれと牧柵のどこかを切るというわけにはいかない。それに通常牧柵と併設されてる電牧は8千ボルトの高圧電流が通ていて、まずそれを切る必要があった。
 そして、それから後、足元の悪い落葉松の林の斜面を登ったり下りたりとさんざんに牛と追いかけっこをして、一体どのくらいの時が過ぎたのか、とにかく牛は無事に牧区内に戻せた。入牧してからまだ10日と少々しか経っていない。それでいてもう3回目の脱柵である。年によっては、脱柵事故など1度も起きないことだってあった。今年は種牛マッキーのこともある。イノシシのことも解決していない。長い4か月の放牧期間となるだろう。

 きょうもいい天気だ。西山(中央アルプス)の残雪も大分少なくなった。梅雨が明ければ、短い本格的な夏の到来である。

 営業案内 「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」およびその(2)です。下線部をクリックしてご覧の上、どうぞご利用ください。


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