ダケカンバがようやく芽吹き出し、この「初の沢」に落ちてくる左右の森はまた一段と緑が精彩を放ち始めた。ほぼ中央に見えているモミだかシラビソの常緑樹もなかなかの存在感があり、複雑な若葉の色との対比がいい。四季を通じて主役にはならなくても、寡黙な脇役のような役割なら充分に担ってくれている。
ここはUme氏お気に入りの場所で、普段は逆光になってしまうのに昨日は曇り空だったため、つい車を停めて1枚撮った。「初の沢の大曲り」と呼んでいる場所は、すぐこの先になる。
昨日は寒かった。白馬岳は降雪があったようで驚くだか呆れるだか。つい1週間前は、真夏日だと騒いでいたのに夜明け前の気温は零度だったそうで、その変化の激しさには翻弄されるばかりだ。昨夜が第1夜目になる海老名出丸さん夫妻も、幾度となく目を覚ましたと言っていた。夜明け前の気温が零度だったそうだからそれも無理ない話だ。
いつもの年よりも開花の遅れているコナシの花は、こうした気温の変化の影響を当然受けているだろうが、それでも一度勢いが付けば、はにかんでばかりいた娘も変わるように、いつまでも引っ込み思案を決めてばかりもいられまい。
昨日の撮影の下見、いわゆるロケハン、2時間近くも待ちぼうけを喰らい、吠えに吠えた。時間にルーズなのが当たり前のようなこの業界には、かねてから物申したかった。で、言ってやった。いくら山の中にいても連絡の方法はあったはずだし、それに、天気が崩れかけていたのだから、そういう時は最低雲高が下がり霧も出ると知れ、と。そうなっては、望む眺望のいい景色など見えなくなってしまうのだから、まず山の上の候補地を先に見て、それから下の森や湖は後に回すくらいの知恵がないのかと。
あれも野生化から来た短気のせいなのか、それとも緊張感の足りない相手がいけないのか。ムー。
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