15頭の群れ、数えてみては
雨に濡れた木々の葉が目に沁みる。こういう天気だからこそ味わえる森の中の雰囲気がいい。特に圧倒されるような緑の中の思いもしなかった場所で、純白の花を咲かせたコナシの木を見付けたり、ピンクのクリンソウやオレンジ色のレンゲツツジの花を目にすれば、そういう情景を予想もしてなかっただけに余計にはっとする。臨時の助手を務めてくれた山K氏は「こんな景色があるんだものなあ」としみじみ、漏らすように言っていた。
一昨日からの風はかなりのもので、第1牧区のゲートは押し開けられ、電牧のリボンワイヤーは引きちぎられ、さらに牧柵と電牧に3本の太い倒木がのしかかっていた。それらの処置の合間に牛の様子を見たり、頭数の確認をするわけだが、森や草原、晴れていれば見晴らしのよい丘を雲にまかれながら歩く。自然の見せてくれる多様な光景に心を奪われ、それから探していた牛の群れを見付けてやれやれと安堵する。牛守の仕事から味わう妙味は、自然と牛たちがいつも一緒になって与えてくれている。
このジャージー牛を含む3頭は畜主が同じだから、同一行動をしていてもおかしくない。写真には写っていないが実はこの3頭の他にもう1頭の乳牛がいて、入牧の際、追い上げの急坂でさんざん手を焼かせてくれた9番である。昨日は別の1頭の牛がこの3頭と一緒になっていた。言葉を持たない牛たちが、どのような理由で付いたり離れたりするのにだろうと、こんな姿をみてはよく思う。脱柵牛No.6は左端。
通信(コメント)以外に「誰か特定の人を意識して呟くことがありますか」と訊かれた。そういうことがないわけではないが、いつもではないと答えておいた。ここを訪れたいと思う人に向けて語っている。予約がぽつぽつ入ってきている。
かんとさん、海老名出丸さん、了解しました。赤羽さん、ご伴侶さまの明察の通りであります。
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