用事があって富士見に下りる途中、あれは入笠の裏側の登山道より少し手前になるが、たくさんの人が熱心にクリンソウを植えていた。どうやらスズランに続き、今度はそこにクリンソウの花園でも造ろうとしているようだった。そして帰りには、「首切り清水」の前で産業振興課の職員とも会った。その中にはここへもよく来るH君がいたので、「あまり自然を壊すな」と冗談を言っておいたが、本当によくやるものだと思う。観光の種を撒き、育て、来た人を少しでも喜ばせようとする町を挙げての努力だろうろうが、あっち側は登山客というより、大半が観光客だからだろう。
この顔と図体、二代目マッキー(右側)
やはり、二代目マッキーはかなり危険な牛だ。きょうの午後、塩を持って柵内に入ると、途端に遠くから1頭だけで走ってきた。そして、進路を塞ぐように横になって止まった。目はこちらを威嚇するように見たままそらさない。そこで引き返すのも癪だからとそのまま無視して塩鉢まで行くと、その間には他の牛も集まってきた。マッキーはそれでも闖入者の最も近い位置を他の牛に譲らない。塩を置いて、マッキー野郎のPHを撮り、戻ろうとするとたちまち塩を舐めるのを止め、すぐ後を付けてきた。
試しに早足で歩くと、明らかに追って来ようとするのが分かった。緊張しながら15メートルばかりを歩き、慌てて柵の外に出て扉を閉めようとしたその刹那、マッキーの頭が突進してきた。2度3度、その都度必死で戸を押さえるのだが、脱柵されるかも知れないという正に我慢のギリギリのところで、相手が頭を引いた。その一瞬を狙い留め金を掛け、戸を鎖で巻くことができた。
外に出た以上、もう敵が逆上しても構わないからと、万一の場合の護身用に用意しておいたクマスプレーを見舞ってやった。このクマ対策用のカプサイシンが、クマの2,3倍の大きさの雄牛にも通用するか以前から非常に関心があった。するとどうだろう、敵の野郎は顔をのけぞるようにして、あっという間に逃げていった。アレには、塩でなくカプサイシンが調教に使えるかも分からない。
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