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焼合わせ辺りまで来ると急に、落葉松の幹に絡まるツタウルシが目に付くようになった。まだ艶のある緑色だが、中にはすでに先を急いだのか色付き始めた葉もある。これから毎日、この落葉松の一部になってしまったツタウルシの変化していく様を楽しみにしながら、今年も深まりゆく秋を迎える。
そういえばいつの年だったか、林業関係者のしたことだろうが、色付く前にツタウルシは殆どが根元を切られて、その年の秋は燃えるような紅葉を見ることができなかった。落葉松の成長を考えてしたことだろうが、この辺りの落葉松の本数など国有林の極くごく一部に過ぎない、どうかあのような無粋なことはしないでおいて欲しいと切に願う。
「美山彩嶺Ⅲ」、随分と凝った題名の本だ。日本山岳写真協会が創立80年を記念して出版した写真集である。Ume氏から頂いた。同写真集にはUme氏の作品も載っている。
それは淡い霧の立ち込めた晩秋のヒルデエラ(大阿原)を写した1枚だ。ここにその写真を紹介したいが、恐らく著作権は協会の方に移っているだろうから、残念だがそれができない。
――――手前の湿原、枯れた一部の草は黄土色に、また一部は赤茶け、その上に薄く霜が降りたように見える。白樺の葉はかなり黄色く色付いて、大分日が経っているようだ。もうすぐ落葉するだろう。その背後に、シラビソだかモミの木なのか、落葉松との混生林がずっと奥の方まで続いている。霧がまるで絵筆のように常緑樹の緑の色を薄めている・・・。抒情詩を思わせる風景だ(作品をご覧になりたい方は、小屋に写真集を置いてありますから声をかけてください)。
昨日第4牧区のAからBに移した牛たちは、Bに6頭を残し、その他の全頭が再びAの水場に戻っていた。しかし、午後になると三々五々、またBの方へ移動を始めた。毎日1㌔ばかりを、行ったり来たりすればいい運動になるだろう。
F破さん、通信届きました。三俣の帰りにでも寄ってください。それと、できたら英文も是非拝読させてください。気を付けて。
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