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今朝6時の気温13度、やはりここはもう秋だ。日中の一時だけ、昨日のように夏の暑さを感じたりすることもあるが、大勢はもう秋に移行したと観ていいだろう。今年もそれほど夏を意識することもなく終わる短い夏だった。
またしばらく上で暮らすことにして、昨日食料を持ち込んでおいた。買い漏らした幾種かの野菜類は富士見に下れば済むし、酒類に関してはもちろん、抜かりはない。
昨日は夕暮れの牧場を一周してから管理棟へ帰ってきて、誰もいないキャンプ場の露天風呂に浸かった。いつもはほぼ毎日のように三助さながら、この風呂の水を張るのに約1時間、沸かすのに同じくらいをかけ、浴槽の掃除にもやはりかなりの手間と時間をかけている。風呂の利用者は皆が喜んでくれるからそれで精を出すが、維持や管理は楽な仕事ではない。
風呂の中で、頭上のコナシの樹々の間から見える小さな空が赤く染まり、それを眺めていると快い時間がゆっくりと過ぎていくようだった。確か、蜩ではなかったが、セミの鳴く声もしていたような気がする。緑一色の中で辺りが溶暗されていくにつれ、普段は気にすることもなかったマルバタケブキの黄色の花が役割を心得た脇役から、主役のようになって見えていたことも覚えている。
部屋に戻ると、いつものように熱燗とビールを飲んだ。この牧場で過ぎていったもろもろの出来事や、出会った人々の顔が思い出され、その深まる酔いの中でも夏への挽歌は生まれなかった。追憶の少ない今年の夏との別れであった。
夜は薄い雲のせいで天の川は見えず、木星と土星、それに夏の大三角だけが却ってはっきりとよく見えていた。
きょうは下からちょっとした工事で東部支所の所長と職員が上がってくることになっている。「ちょっとした工事」とは、大雨の際に、小屋に通ずる道路から幕営地Cへ雨水が流れ込む恐れがあるため、アスファルトを使って道路を横切るように盛り土することにしたのだ。以前から頼んであったことを忘れずにいてくれた。朝飯前にすでに導水路の一部の草刈りは済んでいる。上に暮らすようになるとこんなふうに、仕事の区切りがつかないから弱る。
O川さん、風呂の後始末までしてくれて有難うございました。またお出掛けください。所長、Kさんにも大感謝!
本日はこの辺で。