
きょうから4月。牧場の仕事が始まるまでに、すでに1ヶ月を切った。まだ何ヶ月もあると呟いていたころから、時はあっという間に過ぎてしまい、そのせいだろうか、一昨夜はおかしな夢を見た。
権兵衛山などと勝手に呼んでいる山のことはここで何度となく呟いている。さらにその先にも無名の峰を幾つか連ね、山腹の右手を流れる小黒川の谷は下る一方だが、それらの山々は逆に標高を上げている。取り敢えず、六兵衛とか七兵衛とかここでは仮称しているが、それらの山の一つが夢に出てきた。
遠目に何とその山頂のすぐ下に、山小屋のような建物が見えるのだ。夢は都合がいい、じっと眺めていたらズームレンズのようにその建物が拡大され接近してきて、それこそ林道から上がれば訳のない高座岩くらいの距離にまで近付いてきた。欧州風のハイカラな建物で、黒く塗装されたばかりの木造の堂々とした建物である。誰があんなものを建てたのだろうと、これまた夢だから都合よく一緒にいた行政のエライ人に糺したのだが、分からないという。よく見ると人の姿が見え、しかもその小屋はすでに営業をしていた。長椅子に寛ぐ登山者らしきまでが見える。
あの山域はかつての御料林で、戦後に国有林になった。森林管理署の管理下にあり、山小屋を建てることなど
易々とはできない場所のはずだ。行政の人も考え込んでみたり、一緒になって憤慨したりした。
目が覚めて嗤った。あの夢には幾つもの伏線があったのだ。あの日、高遠支所で新旧の所長と挨拶を兼ね入笠の現状を話し、その時に結構自然保護の話が出た。またその夜には、牧場へ行く際にたまに通る、千代田湖の管理の仕方が新しくなる話をある場所で聞いた。その後、別の場所でまた同じ内容の話を繰り返したり、関連する話を聞いたりした。
日頃から観光に名を借りた安易な自然開発には疑問を感ずることが多い。だから、あんな夢になったのだろう。人口は減っていくのだし、人の心も変わる。豊島園は閉園した。そうした施設や設備がやがて、寂れた別荘地やスキー場のようになってしまうのではないのかと案じつつ、半ば諦めてもいる。地球の温暖化も、利便性ばかり求める文明も、covid-19もなかなか止まらない。
昨夜はオリオン座や冬の星座がさらに西へと移動して見えていた。天竜川の土手の満開の夜桜を眺めながら、昨年の今ごろはまだ何とか供をしてくれたHALのことを、いつもよりか懐かしく感じた。
これから上に行く。本日はこの辺で。