昨日は、千代田湖から守屋山の脇を通り、紅葉湖(もみじこ)へ抜けて帰ってきた。いつもの高遠の街を経由するのと距離的には殆ど変わりがなく、ただし枯木の頭ともう一つ守屋山の峠を超すことになるから、時間的には少し余計にかかるかも知れない。そう言えば「もう一つの峠」の名前はいまだに知らないままだ。
人生の大半を、およそ草花などに関心を持たずに生きてきて、しかもあれだけ山に行ったのに、桜、コブシの花くらいしか気にせずにこれまでを来てしまった。それが今ごろになって、少しづつ変わってきた。もしかすればこれも野生化のせいかも知れず、そうだとしたら、吠えてばかりいるよりかもいいだろう。
とにかくあそこは今、花・桜三昧の山道であり、しかも、目に沁みる新緑がまたいい。殆どすれ違う車もないからそのことも気に入っている。黄昏の物寂しいくらいの風景が、背中に負った疲労感を何とも言えない心地よさに変えてくれるのが分かる。
朝の清々しい光の中に咲く山室川の花はもちろんいいが、暮れなずむ紅葉湖の水面を飾る花はまた格別で、その情趣の深さを味わい、しばらくは車を停めて思い出すように辺りの風景に見入る。
仕事を始めて1週間が経った。実に早かった。作業日誌も、幾日か空白のままにしてある。小屋やキャンプ場の清掃や整備、それに露天風呂の釜の不調に手を焼いている。着火を制御する機器を下に降ろさなければならないかも知れない。幸い、水漏れの方は、米ぬかを使ったらほぼ収まってくれた。
キャンプ場内に散らばっている枯れ枝、そして鹿の落とし物と、こんな物まで片付けなければならず、しかもかなり手間がかかる。緊急事態宣言が出て、予約取り消しがあるかと思えば、少数ながら、すでにキャンプ場を訪れたお馴染みさんたちもいる。
何より今一番に手のかかるのが牧場内の道路際に生えているコナシの枝打ちである。これは体力もだが、それ以上に神経を使う。とにかく手も足りなければ、充分な道具もない。まだまだ終わらない。牧柵の点検、補修など、肝心の牧場の仕事までは当分手が回りそうもない。
本日はこの辺で。