左手の奥にあるゲートから慎重に、慎重に少しづつ移動して、3頭の牛はついに囲い罠の中央まで来た。ここしばらくの雨で勢いを取り戻した牧草が、牛たちにとっては丁度食べごろのようで、しばらくはここに落ち着くだろう。草、水、塩、そして時々持ち込まれる配合飼料、さらには運動にもまずまずの広さとなれば不足はないはずだ。
もしかすれば夜、人の目を避けて鹿の訪問があるかも知れない。そうであれば、この牛たちがいなくなった後、この囲い罠は本来のその使命をきっと果たしてくれるに違いない。ただ、はっきり言えば、10頭、いや100頭の鹿を捕ったとしても、そんな程度で増え続ける野生鹿に対してどれほどの効果があるのかは、かなり疑問が残る。
昨日は里に下りた。下にいても、囲いの中の牛がどうしたかと絶えず気になっていたが今朝来たら、3頭の牛が囲いの外に出ずにまだ中にいて安堵した。どうやら、草さえあればここに落ち着く気だろう。
どうやって牛たちを誘導したのかと尋ねた人に、面倒だから「女を口説くようなものよ」と応答をし、嗤われた。いい歳をして柄にもない言葉がつい口をついて出てしまったが、とにかく牛に警戒ばかりされていては仕方ない。安心安全な牧守だと思われなくては。それと、あまり配合飼料に頼り過ぎると、牧草では満足できなくなるかも知れない。
きょうは配合飼料の他に餌箱をもって囲いの中に入り、水場兼塩場ではなく、どこであれ呼んだ場所へ牛が来るように仕向ける訓練をした。
Ebinademaruさんが送ってくれた缶バッジをようやく入手できた。配達してくれる人には感謝だが、再配達に対応するのが機械だけではやはり無理があり、しかも手間がかかり過ぎる。民営化したのだから、もう少し柔軟なやり方を期待できないものだろうか。
右が今回送ってくれたここの星空を取り上げたバッジで、左は前回送ってくれた物だ。どちらもここの牧場に相応しい。氏の厚意に応えるために、良い利用法を考えなければならない。
秋風が木々の葉を揺らす音がする。気温18度、空には薄い雲が掛り、日の光は弱い。午後になればさらに雲が増え、すっきりとした天気にはなってくれそうもない。
本日はこの辺で。