入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「秋」(6)

2021年09月06日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 左手の奥にあるゲートから慎重に、慎重に少しづつ移動して、3頭の牛はついに囲い罠の中央まで来た。ここしばらくの雨で勢いを取り戻した牧草が、牛たちにとっては丁度食べごろのようで、しばらくはここに落ち着くだろう。草、水、塩、そして時々持ち込まれる配合飼料、さらには運動にもまずまずの広さとなれば不足はないはずだ。
 もしかすれば夜、人の目を避けて鹿の訪問があるかも知れない。そうであれば、この牛たちがいなくなった後、この囲い罠は本来のその使命をきっと果たしてくれるに違いない。ただ、はっきり言えば、10頭、いや100頭の鹿を捕ったとしても、そんな程度で増え続ける野生鹿に対してどれほどの効果があるのかは、かなり疑問が残る。

 昨日は里に下りた。下にいても、囲いの中の牛がどうしたかと絶えず気になっていたが今朝来たら、3頭の牛が囲いの外に出ずにまだ中にいて安堵した。どうやら、草さえあればここに落ち着く気だろう。
 どうやって牛たちを誘導したのかと尋ねた人に、面倒だから「女を口説くようなものよ」と応答をし、嗤われた。いい歳をして柄にもない言葉がつい口をついて出てしまったが、とにかく牛に警戒ばかりされていては仕方ない。安心安全な牧守だと思われなくては。それと、あまり配合飼料に頼り過ぎると、牧草では満足できなくなるかも知れない。
 きょうは配合飼料の他に餌箱をもって囲いの中に入り、水場兼塩場ではなく、どこであれ呼んだ場所へ牛が来るように仕向ける訓練をした。
 



 Ebinademaruさんが送ってくれた缶バッジをようやく入手できた。配達してくれる人には感謝だが、再配達に対応するのが機械だけではやはり無理があり、しかも手間がかかり過ぎる。民営化したのだから、もう少し柔軟なやり方を期待できないものだろうか。
 右が今回送ってくれたここの星空を取り上げたバッジで、左は前回送ってくれた物だ。どちらもここの牧場に相応しい。氏の厚意に応えるために、良い利用法を考えなければならない。

 秋風が木々の葉を揺らす音がする。気温18度、空には薄い雲が掛り、日の光は弱い。午後になればさらに雲が増え、すっきりとした天気にはなってくれそうもない。
 本日はこの辺で。

 
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     ’21年「秋」(5)

2021年09月06日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 日が射している。鋭い朝の光りで久しぶりに青空も見える。午前中の降雨確率は30パーセントの予報ながら、午後にはまた雨になるようだ。大雨注意報までが出ている。

 一昨日と昨日、キャンプ場の木柵を新しく変えた。たったこれだけのことをするのに、都合1日がかかるとは予想外だった。木を選び、切り倒し、皮を剝き、組み立てる・・・、すでに水を吸い上げるのを止めた木の場合は、皮を剝くのに結構手間がかかった。
 この写真で、1本の柱に鉄の筒状の物が差し込まれているのが分かるだろうか。正しい名前は知らないが「バズーカ」などと呼んで、牧柵の支柱を打ち込む際に使うこの古臭い道具、その威力に久しぶりに頼った。懐かしくもあった。
 牧柵の支柱の打ち込みに最初のころは玄能(大金槌)を使っていたが、このバズーカを物置小屋の奥で見付け、以来大いに利用させて貰うようになった。本来のバズーカ砲は対戦車用でその破壊力は相当のものらしいが、こっちのバズーカは重く、写真の木の柱もそうだったが、支柱が長かったりすると相当の苦労もあった。これまでに打ち込んだ支柱は何十本ではなく、何百本にもなる。

 昨日、雨が小降りになった隙に、給塩を兼ねて気になっていた第1牧区の点検を行った。鹿対策の効果のほどは当てにならないにしても、電気牧柵の電圧は6000ボルトあり、3群に散っていた牛たちについても、丹念に見ることができた。問題はなさそうだったが気になったのは、放牧地よりか林の中にいた牛が多く、それがこのごろの天気の影響なのか、それとも牧草なのか、それまでは判断が付きかねた。
 そしてきょう、第4牧区にいた3頭の暴れ牛奴を、ついに囲い罠の中へ誘導することができた。しばらくは、2箇所開放していたゲートのうち1箇所は閉鎖し、今朝誘導されて入ってきたゲートだけは解放したままにして、出入りは牛たちの自由に任せることにした。囲いの中の方が草の状態もいいし、塩場や水場もすでに分かっている。
 ただ、なぜこの囲いの中に閉じ込めてしまわないかといえば、たった3頭の牛でもまだ1ヶ月近くある。ここの牧草だけで足りるのかという不安である。そうなったら、里に下ろしてしまうという手もあるが、それでもまだ1週間くらいは牛たちとの信頼関係を作らなければとても無理だろう。

 牛のことなんかどうでもいいから、山小屋やキャンプ場の情報をもっと流せ、という声も聞こえてくる。そうかも知れない。きょうで誰もいなくなったキャンプ場に降り出した雨を眺めながら、それでも牧守の本業は牛守であり、CMやPVの撮影などはもちろん、キャンプ場や山小屋の仕事も二次的なものだと思っている。そうでなければ、ここの牧場、ひいてはここの美しい自然環境を守っていくことはできないと考えているからだが・・・。
 本日はこの辺で。
 

 
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