入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「秋」(4)

2021年09月04日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 それにしても、よく降る雨だ。梅雨明け宣言が出ても雨の日はしばらく続いたし、ようやく好天が戻ってきたと思ったらもう秋雨前線だと。8月の29日には「よく晴れて云々」と北アルプスの山の様子を呟いているから、それから天気は下り坂を転がり落ちてしまったということになる。牛たちもたまらないだろう。

 きょうの写真は一昨年になるのか、観望会に参加した少女が描いてくれた絵で、そのことに関しては先日ここで少しだけ呟いた。本人から掲載の許可は得ていないが、このよく描けた絵を見ればこんな気分の滅入る天気の続く中で、きっと気持ちが和らぐかと思い紹介させてもらった。絵は彼女の父親が送ってくれた。
 夜空には土星と、ウサギが餅つきをしている月が描かれ、それを眺めているのが左から愛犬HAL,この絵の作者、鹿、牛、そして望遠鏡も忘れていない。
 この観望会には、ここで天体写真を紹介させて貰っているかんとさんでさえも一目置く、某一流望遠鏡制作会社のI氏(当時)が来てくれ、巧みに望遠鏡を操作しながら次々と美しい星の姿を見せてくれた。お蔭で、大人も子供も広大無辺の宇宙を旅することができ、観望会は大成功だった。
 
 薄暗い理科室の隅に置かれた望遠鏡を、どういう理由で子供たちに見せてくれなかったか、今でも遠い少年時代を思い返すと疑問が湧き、この絵を描いた少女と共有できたはずの感動を、ついぞ体験できなかった無念な思いが甦る。図鑑ではなく望遠鏡で、実際に月のクレーターをあれほどまでに見てみたいと思った当時の気持ちは、その後もずっと燻り続けていた。そんなことを知ってか知らでか、亡妻が娘のために買った望遠鏡は今は陋屋の片隅にあり、月や星よりかも中央アルプスの山々を眺めるのに役立ってくれた。
 ある人に望遠鏡を買うのは「宿命だ」などと大袈裟なことを言っても、相手は何も分からないまま「宿命なら仕方ない」と言って呆れていた。貧しい牧守には過ぎた出費と思ったのだろう。
 ここにはもう1台望遠鏡がある。これは知人の父親が別荘に残したものを寄贈してくれたのだが、扱いやすく、月のクレーターを観測するのに向いている。理科室にあった望遠鏡を思い出す。

 この絵のように、地球の衛星である月や、同じ太陽の惑星である木星や土星には誰もが親しみを抱くだろう。特に月はウサギの餅つきの話や、「竹取物語」のように、昔から様々な空想の対象として存在し、語られてきた。
 どうやら自分の宇宙への関心もそのくらいが関の山で、その先のことはここ牧場で、美しい星空を肉眼で眺めるくらいが身に合っていると思うようになってきた。
 本日はこの辺で、明日は沈黙します。
コメント
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