入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「冬」(4)

2022年01月04日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 牧場の取水場のことを考えている。そこには簡単な流し台も用意してあるが、暮れに行った時は深い雪の中に埋まっていて、弱々しい水音だけがかろうじて聞こえてきた。驚いて慌てて雪をどけたら、勢いよく水が流れているのが分かって、頼もしく、嬉しくもあった。冬季でも、水が利用できるようにと苦労した話はここですでに呟いてある、繰り返さない。
 以前は本管から半分に切ったドラム缶を集水枡として、いったんはそこに水を溜めていたのを、流し台までの2メートルくらいを太めのホースで導水するようにした。その方が、集水桝の水を汚さずに済み、便利だと思ったからだ。そうでないと、枡の蓋を避ける際にどうしても土や枯草などが入り、それが気に障ることが度々あった。
 今回行ってみて、しかしあのビニールホースは外して、以前と同じく本管から直接桝に水を流し込み、溜めた方が、万一の不測のこともあり良いかも知れないと、まあ言ってみればどうでもいいようなことも含め、雪に埋もれた入笠のことをあれこれと考えている。

 あれだけの雪が降れば、管理棟や小屋の雪下ろしも気になる。養生はしてあっても露天風呂のことも心配になる。その昔、国からの補助金が出て建てた小屋や設備だとの話だが、一時の関心や熱狂はいつしか覚めてしまったようで、あまり商業的に考えたくはないが、それでも牧場ばかりではなく、思うことは多い。
 牧畜というものがどれほど経営効率の悪いものか、ここでそれを詳らかにする気はないが、あれだけの広大な土地を必要とし、1杯の牛乳には牛の短い一生がかかっている。「牛乳大好き」と言ってくれる人でも、どこまでそういうことが理解されているのか、covid-19奴のせいで牛乳の消費が落ち込んで、駅前で無償で牛乳を配ったという話を聞けば、あの牛たちの顔が目に浮かんでくる。

 呟きが脱線した。しばらくは入笠のことを忘れるつもりで帰ってきたというのに、また呼ばれているような気がする。昨日は北原のお師匠から、今年は年賀葉書ではなく電話がかかってきた、(と思ったらきょう届いていた)。山だけでなく万事に一目も二目も置くDさんからも、きょうあたり上から帰ってきているかと電話をくれた。あれこれと話せば話すほど、また行きたくなってきた。
 もう今から行くなら法華道、そしてスノーシューズと決めている。あれだけの時間をかけて行って、そしてまた辿った雪道を帰ってくるわけだが、記憶に残る風景や記憶は極めて断片的なものに過ぎない。にも拘らず一陣の風が、行く手を阻んだ吹き溜まりが、あるいは剣呑で拒むような姿を見せていた山々が、勝手に次々と浮かんできては招き、誘う。
 本日はこの辺で、と思ったら突然、の上高地へ行きたくなってきた。帰りは中の湯の温泉で1泊、どうです?
コメント
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