偶然ながら、アラスカに関する報道を2件目にした。上2枚の写真は12月5日、NHK[ワイルドライフ」で紹介されたカリブーの大群がアラスカの広大な原野を大移動する様子。映像の一部を携帯電話のカメラで撮り、著作権のことを気にしながらも、ここに載せさせてもらった。番組の題名には同地で非業の死を遂げた写真家、星野道夫の名前も冠せられていた。
3枚目の写真は、アラスカのルース氷河の奥にある島のような岩稜の上に建てられた古い山小屋(hat)で、ブッシュパイロットの故ド・ショルドン(Don Sheldon)が所有していたものだ。
恐らくこの番組「ワイルドライフ」はオンデマンドを利用すれば見ることができるだろうから、詳細はそちらに譲る方がいいだろう。
星野の写真集は何冊か持っているし、アラスカの自然はテレビの映像でも幾度となく見ている。また、ドン・シェルドンの「風に賭ける」も含め、アラスカ関係の本に関しては目に付いたら読むようにしてきた。最新では井上潔氏の「リタイア、そしてアラスカ」を著者から贈られて読んだ。
3枚目の写真は30年も前に、この小屋を再訪した時の写真で、思い出深い小屋の近くにテントを張り、氷河に残した過ぎし日の感傷を甦らせたものだ。懐かしの小屋、「円形劇場」と呼ばれた氷河、その名の通りの鋭い岩峰のムース・トゥース・・・、初めて訪れた時と変わらず、記憶そのままだった。
ところが最近、この場所に宿泊施設が建てられたということを、チラッと民放の番組で目にし、愕然とした。画面の隅に「Sheldon」という文字が読めて、咄嗟にテレビを切った。
あそこだけは、そっとしておいてほしかった。あの聖域と言ってもいい氷河までが、しかしウイルスにでも感染されたかのように、商業化の魔手に侵されてしまった。
もしかしたら5回目もう一度、という気がしないでもなかった。しかしもう、そういう思いはない。スッキリ諦めた。これからはシェルドンのことも、小屋のことも何も知らない人たちが、新しい観光の波に乗ってあそこを訪れ、喜び、はしゃぐだろう。
麓の村を初めて訪れた時に知り合った「アラスカのメメ」は、自分の通う小学校を案内してくれた。あれから43年が経つ。いまごろはすっかりいい奥さん・母親になって、遠い昔の旅人のことなどすっかり忘れて暮らしているだろう。
本日はこの辺で。