金(10)、土(11)、日(12日)と続けて春の野を散歩したら、それを労(ねぎら)ってでもくれたのか昨日、西裏の傾(なだ)れでようやく蕗の薹を2株見付けることができた。早速蕗味噌にして、熱燗とともに春の苦みと香りをじっくりと味わった。
日本酒にはどんな肴よりか塩、それ以外は酒の味を不味くするという高尚な説に異論はなくも、今の季節、もう一つ春の味である蕗味噌も是非加えておきたいと思う。量はせいぜい盃に入るほどあれば充分で、それだけで濃縮した春の季節が存分に味わえる。しかも、酒の味を良くすることはあっても、決して乱すようなことはないと断言できる。
できれば酒も蕗味噌も熱いうちにほんの少量をチビチビと食し、間違えても作り過ぎたり、それを冷蔵庫に保管して「翌日も」、などということを考えたりするとこの繊細可憐な春の精が泣く。漁港には魚にうるさい古老がいて「冷蔵庫に保管された魚など食べられるか」などと言うようだが、この蕗味噌に関してはそれと似た気持ちになる。
ところで、こんなことを偉そうに言っても、以前にも呟いたように酒の味については相変わらずよく分かってない。つい先日も、酒瓶が増えるばかりでたまらず、ついに紙の箱に入った酒を試しに2升ほど買ってみた。値段もかなり安くなるのでその点でも有難い。
飲んでみたが、味の違いなどさっぱり分からない。少ない経験ながら、1000円のワインと10000円のワインと飲み比べてみても、果たしてその違いが9000円の差に値するほどのものか否かと、考え込んでしまうような話だ。
あまり深く追求すると、ややこしいことになるから止めておくが、いくら交友を続けても、相手が善人か悪人かよく分からない人物がいるのと同じようなもので、とにかく酒は、これだけ飲んでも味の分からない不思議な飲み物だ。
昨日は運転免許証の更新手続きのため、半日を事前講習や試験に費やした。法律がどんどんと変わり、高齢者の免許取得はますます難しく、面倒になるばかりで、この先が思いやられた。
交通事故を減らすために、こうした法の改正がどれほどの効果を生むのか知らないけれど、取り締まる側は罰則ばかりを厳しくして、それが自己目的化しているように思えたりする。車そのものが安全な乗り物とは程遠いし、狭い道路だって、分かりずらい信号機だって、まだまだではないだろうか。
運転や試験はさておき、一番気にしていたのは視力で、長年の牧守稼業のお蔭でか、前回「眼鏡使用」の条件が外れたけれど、今回は自信がなかった。しかし、大丈夫だった。ヤレヤレ。
本日はこの辺で。