入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「春」(21)

2023年03月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 ボケの木が白い花を咲かせた。オオウチワ、イカリソウも芽を出したし、諦めかけていたカタクリもひと株だけ蕾を抱いて土の中から顔を出した。昨日の朝は気付かなかったから、草花は勢いが付けば、こんなふうに一気に成長するものなのだろうか。
 
 そろそろ毎年恒例にしているカタクリ峠へ行かねば。青い空、快い風、明るい光の中を幾つもの渓や尾根を繋ぐ1本の林道を、山深くまで車を頼りに上っていく。
 これまた毎春同じことを呟くが、初めてここを訪れた時の目を見張るような花の群落が目に浮かぶ。林道の斜面10㍍ほどに渡って、誰かの手で植えられたのかと思うほど整然とカタクリが花を咲かせていた。草花などにはおよそ関心のなかった者が、初めて目にした印象深い光景であった。
 
 それにしても、あの花がカタクリだとどうやって知ったのか、思い返しても分からない。もしかすれば一緒にいたT君のお蔭だったかも知れないが、その彼は世を去り、尋ねようにも今は術がない。
 それから何年もして久しぶりに行ってみたら、すっかり灌木が斜面を含めて辺りを覆い尽くし、様子は一変してしまっていた。それでもカタクリは、斜面の上の灌木の間に場所を移したのか、人の目から隠れるようにして花のない葉だけが確認できた。以来毎年、ここを訪れるようになった。
 
 峠を越すと、視界の大方を占めるのは山また山、芽吹きを控えた乾いた山腹がどこまで行っても次々と現れて続く。頭上の空を省けば、それ以外は何も見えない。しかし、そこがいいのだ。早春の日を浴びて山々がようやく暖かく見えるようになったここの風景は、カタクリと並ぶ主役になりつつある。
 林道はやがて清冽な流れに沿って狭い谷を麓の集落へと下っていく。やがて現れるまだ営業前の人気のない釣り堀も懐かしい風景である。

「福島村カレー騒動」にも触れておかねばと思いつつ、もうあれは大分遠い日のことのような気がする。何事もそのように足早に去っていこうとする。

 3年間赤字を続けたかつての「CAMP ONE」時代も、煮込み料理、中でもカレーには自信があったし、評判も良かった(赤字の大半の理由は原価管理がいい加減だったせい)。今回も、寸胴鍋1杯、20人分くらいを作った。口うるさい面々が大人しく食べていて、大騒動にはならずに済んでヤレヤレということに。
 本日はこの辺で。
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     ’23年「春」(20)

2023年03月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 14日以来、約2週間ぶりに、また上に雪の状況を見に行く。気になっていたド日陰には相変わらず軽トラックが放置されていたが、今回はその横を通過することができた。林道の雪は驚くほど融けていて、1,2カ所緊張するところもあったが、小屋までほぼ難なく行くことができた。
 
 下の写真は初の沢の大曲りを過ぎた所で前方に倒木が道を塞いでいたので処理した際に撮った1枚。この先は第2検査場まで緩やかな登りとなり、結構長くまで雪が融けずに残っている。下から歩いてくるとこの辺りで先が見えてきて、早く登行を終えたくていつも気の急く辺りだ。



 しかし、牧場内にはもう1カ所、入笠山の登山口へ行くまでに残雪の気になる場所、「上の大曲り」があり、車を走らせ行ってみたら案の定そこは凍結した雪が多量に残っていて、先に進むのは無理だった。



 やむなく引き返し、ひとまずは牧場から出て、北門から約3キロ下った焼き合わせまで戻り、そこから今度は右折して大沢山の北側を巻く未舗装の急な山道を鐘打平、入笠湿原経由で登山口まで上った。そこからなら下りとなり、通行を阻んでいた「大曲り」まで行けるだろうと思ったが、融け始めた重い雪に阻まれ、無理して車が”カメ”になれば厄介だと諦めた。
「入笠ヒュッテ(旧マナスル山荘本館)」に立ち寄り、少し情報交換をしてから帰ってきた。

 帰路はオオダオ(芝平峠)から芝平へ下らず、そのまま「枯木の頭」、「千代田湖」経由で道路の様子を見ながら来たが、雪も凍結した箇所もなく、通行には何の支障はなかった。ただ、千代田湖から少し下ると、3月28日から4月15日まで工事のため通行止めになると看板が出ていた。
 たった2,30㍍の除雪は渋るくせに、小豆坂トンネル、芝平の村中、そして今の千代田湖などなどと、この時季はそこらじゅうで道路工事が盛んになる。

 上ではかなりの頭数の鹿を目にした。ようやく永い眠りから覚めたばかりの山だが、これだけ雪が少なくなれば彼らの活動の場所は当然牧場へと移ってくる。牧草が気になる。
 雪の融け方が1ヶ月近く速いと言っていいだろう。里でも高遠の花はそろそろ咲き出し、週末には見頃を迎えるのではないだろうか。温暖化が予想外の早さで進んでいるようで、今回もそのことを気にしながら帰ってきた。
 本日はこの辺で。
 


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