入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’16年「夏」 (62)

2016年07月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



  第4牧区は入笠山の西斜面、小入笠の山頂を三角形の頂点とすれば、その山腹を巻くように広がっている。したがって放牧地の斜面は急で南北に長い。いつも効率を考えて巡回するのだが、今日のように群れが南北の端に分かれていると、かなりの距離を歩くことになる。
 三角形の中断より少し上の辺りを1往復してみたが、11頭の群れを北の放牧地で確認し、16頭の群れを南の灌木林の中で見付けただけで、残りの17頭もの牛の群れが確認できなかった。
 とりあえず諦めて、第3牧区の予定していた電気牧柵の下草刈に行った。17頭もの牛が脱柵するとは思えなかったが、牛守の習性とでもいうのか全頭を確認できないうちは食べ物が喉にでも引っ掛ったようで、落ち着かないものだ。
 昼過ぎ、牛の声が水場の方でしたので行ってみると、牛の群れは当て込んでいた塩にありつけず、また森の方へ帰りかけたところだった。急いで呼び戻したら、大半が午前中は未確認だった和牛中心の群れだった。いつの間にか、朝は別の群れにいた牛も一緒だったりしたが、全頭の確認ができた。
 で、お待ちかねの塩を持っててやった。すると、塩はしばらく和牛の独占状態で、ホルスタインはたちまち追い出されるか、遠巻きにして見ているしかない。近寄るホルスに対して、和牛はその際に大体頭を使うが、時にはホルスの腹部をその頭で跳ね上げようとさえする。雌である。が、とてもそうは見えない、思えない。



 ホルスタインは少しでも多くの牛乳を得るために淘汰や品種改良が重ねられ、その過程で扱いやすい、おとなしい乳牛が残ったのだろう。その一方和牛は、食肉用だから味が追及され、そのために血統が尊ばれ、繁殖や育成の方法が重視された。気性のことは、二の次でも仕方なかっただろう。
 最後は結局、何事も人間本位でやっていることだが、本日ジャージー子は、しばらく塩場に近付くこともできず水ばかり飲んでいた。

 そろそろ梅雨の季節も終わるかと。昨年はひどかったが、今年の雨量はどうだったのだろう。
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    ’16年「夏」 (61)

2016年07月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



  暑中お見舞い申し上げます。
 お忙しい毎日をお過ごしかと思います。梅雨も明ければ、高原にも短いけれども本格的な夏がやってきます。
 炎暑に焼かれる都会の真昼に、寝苦しいその夜に、その昔、幾たび東京脱出の衝動に駆られたかわかりません。
 ここでは、夏の暑さに閉口するのはひと夏に3,4日のことでしかありません。ただ、年を取ったということ
 でしょう、他の季節と比べ夏に、何か特別な思いなどありません。
 木々は没個性的な緑の葉を必要以上に茂らせ、風に吹かれて牛と過ごす時間は弛緩してます。
 夏がいいのは、草原を渡る風と、大きな懐の深い青い空と、銀河の横たわる星の海です。
 白い雲に誘われ戯れてみた遠い昔、広大無辺の宇宙に拒まれた卑小な想像力・・・。
 8月の盆が過ぎれば、短命な夏は逝き、入笠には気の早い秋が訪れるのです。吸い込まれるような
 秋空が人をもの寂しくもさせれば、ツタウルシで始まる絢爛たる紅葉に、忘れていた熱情を思い起こすことも
 あるでしょう。
 どうかそういう季節が来るまで、御身を大切にいそしまれんことを、祈り申し上げます。
                                               早々
                                           入笠牧場管理人拝
 名古屋のNさん、了解しました。お待ちしてます。
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    ’16年「夏」 (60)

2016年07月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



「別れの一本杉」という歌をご存知だろうか。恐らくこの歌を知る人は若くとも50代前後、もしくはそれ以上の年齢になるはずだと思う。作詞:高野公男、作曲:船村徹、歌は春日八郎で、戦後も10年、1955年にレコードが発売され、大ヒットした。
 この曲を作詞した高野公男は若くして病没したが、戦後の一時期を信州の伊那福島のある寺に、療養のため仮寓していたことがあった。当時のことだから恐らく、結核を患っていたのだろう。日課にしていた散歩で、まだ舗装もされていないほこりっぽい県道を行くと、村のはずれに大きな1本の杉の木があった。歌では「一本杉の石の地蔵さんのよ、村はずれ」とあるが、地蔵さんはなかった、創作だろう。もっと言えば、その木は杉ではなくサワラだった。しかし、それももうない。
 サワラだけでなく、高野公男が病の身で一時を過ごした寺も今はなくなってしまって、最早往時を物語るものといえば「一本杉」の根元にあった小さな祠だけだ。現在のように県道が拡張されて、サワラの木は倒され、代わって植えられた貧弱な松やイチョウの木では、とても名曲など生まれることはなかったに違いない。
 
 池尾(火)神社などと呼ぶもおこがましいその小さな氏神の社(やしろ)から隔年で、子供らが頭に鹿の角を模した作り物を載せ、裃姿の村長(むらおさ=区長)に引率されて、箕輪町の木の下にある南宮神社の例大祭に参加する慣わしが、平成の世の現在も続いている。
 南宮神社は祭神がタケミナカタとヤサカトメだから、当然諏訪大社の分社であって、鹿頭を模した被り物も、またその踊り「鹿頭踊り」も、諏訪大社との関係深さを伝えている。ともかくそんな行事の準備があって、昨日は朝から忙しい思いをした。

 名曲の生まれたことも知らずに高野公男は逝った。病床にあって思い出す、夕暮れの中に立っていた村はずれの大木は、間違いなく「一本杉」だったろう。畑の脇の一群の石塔、石柱は、「石の地蔵さん」だったろう。歌のように、別れてきた娘さんはそれからずっと、彼からの便りを待ち続けただろうが、果たして幾通の便りが彼女の許に届いたのだろうか。

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    ’16年「夏」 (59)

2016年07月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

            露天独浴(1)


      露天独浴(2)

 昨夜はまた上に泊まった。が、今朝5時前に起きて里に下り、また上がってきた。7,8軒の家で昔から行っているささやかな祭りの準備に加わらなければならなかったからであるが、そのことはまた書くにして、今日は露天風呂の入浴シーン数々。撮影に協力してくれた各位に感謝。







 なお、利用方法並びに料金については只今思案中です。

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    ’16年「夏」 (58)

2016年07月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

     ボクが噂のマッキー2代目(種牛=雄和牛)です

 たまに「ウオー」ぐらいは言うが、牛はどうやって意志を通じ合うのかいまだによく分からない。夕暮れ時になるとどこからともなくゾロゾロと下りてきて、水場で一時を過ごし、塩鉢を探り、また集団でどこへともなく去っていく。今夜のねぐらはどの牛が決めるのか、まだよくと分からない。和牛が圧倒的に群れを主導はするが、このごろはその和牛たちだけで行動しようとするふうにも見える。
 第4牧区に移してから二日目、今日初めて全頭の牛の確認を終えることができた。これが済まないと、何か心配事でもあるようで、すっきりとした気分になれない。ちょうど午後になって、群れが一群にまとまったようだったので、双眼鏡の助けも借りて1頭毎に耳に付けてある牧場の番号札か、彼女らののIDである耳標を読んでいくことにした。ところが動きが早くて、しかも小さな流れのあるコナシの林の中を移動していたため、頭数確認が困難になってきた。
 牛の中には水を飲もうとするのもいれば、もう水は充分だというのもいる。所構わず大きなのを落とすのさえいる。ともかく、重複を覚悟で番号をメモして、小屋に戻ってから消込みをすることにした。結果、今日は3頭の見落としがあった。
 こういう場合には再度出掛けていき、この3頭を群れの中から探し出さなければならない。44頭の中から見付けるのだから簡単なことではないし、そのためにはかなりの距離を行くこともある。しかし今日は上手くいった。ダケカンバの森の中の群に、3頭がいた。
 
 相変わらずの梅雨空だが、鳥の声がよく聞こえてくる。牧場(まきば)の夕暮れ、いい時間がゆっくりと流れていく。
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