入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「春」(37)

2022年04月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 曇天、それに気温も低く昼になっても10度をわずかに超えるくらいで寒い。小屋を開け、キャンプ場を整備し、人を迎えることができるまでにはまだまだ時間がかかる。
 昨日解決したと思った水回りは、急な水圧がかかったせいだと思うが水道管が破裂して、再び断水になってしまった。午後は、その作業が待っている。



 この写真で分かると思うが、まだ車が安全に通るには充分な道幅ではない。ド日陰を少し過ぎた例の雪崩のあった場所で、昨日、撮影関係者の乗ってきた車は普通車だったから危険だと、通行を見合わせてもらったくらいだ。18日に来て、かろうじて通れるようにし、昨日ときょうで、軽トラならひとまず通ることができるようにした。一応来週、除雪のために重機が来るようだが、火事が消えた後に消防車が来るような気がしないでもない。

 雨が降ってきた。まだたった二日過ぎただけで言うのも何だが、今年は入笠にあまり快く迎えてもらえなかったような気がする。花こそ豪華絢爛だったけれど、山室川の谷も清流も明るさに乏しく、溌剌とした鳥の鳴き声は聞けず、そのせいだけではないが、楽しみにしていた早春の息吹は期待していたほどではなかった。
 どうも雪融けが予想外に早く、暖かい日も続いたはずだけれど、山全体がまだ冬の眠りから完全には覚めていないような気がする。鳥の声がしないばかりか、鹿の姿も例年に比べたら少ない。
 
 これから落葉松の芽吹きが始まり、牧草の緑が増え、明るい青空が戻ってくればまた印象も変わっていくだろう。白樺の樹幹が緑の葉に覆われるようになれば、山桜も咲き出すし、クリンソウ、コナシの花も続く。1年のうちで最も新鮮な季節が来る。
 そのころには、牧場の仕事が本格化するだろう。牧守16年に突入。

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 本日はこの辺で。 
 
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     ’22年「春」(36)

2022年04月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 山室川が造った谷の始まる荊口の集落は、今まさに桜の花で埋もれていた。中でも、古刹弘妙寺の花は今が満開の時季で、溢れんばかりだった。

 本日小屋を開く。管理棟、山小屋の窓を全開して新鮮壮快な空気と入れ換える。その後は、いつもなら水回り、そして小屋やキャンプ場の受け入れ準備をするのだが、今年は早くも撮影の下見が2件あり、その対応に大分時間を取られてしまった。今年も初日の弁当はウナギと決めて用意してきたが、まだ食べてない。
 水回りは除雪に手間をかけるも、予想外なことに水が出るまでに至っていない。原因不明、再調査する予定。牧場の見回りは済ませ、大型囲い罠の重いゲートは撮影関係者に協力して貰い開けた。
 と、ここまで呟いて思い当たることあり、それを実行したら有難いことに水が出てきた。明日、再度点検するが、恐らく浄水装置がゴミで目詰まりを起こしていて、そのせいで水が上がってこなかったのだろう。別のバブルを開き水をバイパスさせたら即解決した。

 鹿は貴婦人の丘で20頭くらいを目撃した。他の放牧地にはまだ姿を見せていない。下からは鹿の捕獲について催促されいるが、囲いの中の草の色が今の状態では、仕掛けたとしてもさてどうだろう。
 初日はいろいろあり、一人では手に負えないこともある。そうだ、肝心な作業用の軽トラはまだ貸与されていない。一昨日、ここに来た際に連絡しておいたのに、恐らく忘れたのだろう。これまでも、初日は大体自分の車で来ている。
 
 ここで、こんなふうに詮無いことを呟いていると、5か月の里の記憶が薄れて、ずっとここで暮らしていたような気がしてくる。とりあえず、きょうはここまでにして帰ろう。

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     ’22年「春」(35)

2022年04月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

     キャンプサイトCと山小屋       
 先週の土曜日、北信濃へ温泉行と洒落たころ、東部支所の所長は入笠目指して法華道を登っていたことを知った。その時に小屋付近を撮った写真を送ってもらい、一驚どころか、二驚、三驚した。あれだけの雪が消えてしまっていたのだ。


 3月4日撮影


 管理棟(奥は山小屋) Photo by 所長

 それで昨日、気になり上まで様子を見にいってみた。明らかにしばらく続いた異常な気温上昇のせいだろう、たった1週間の間にさらに雪融けは進んでいた。前回引き返した場所は雪が残っていたが強行し、問題のド日陰の大曲りの雪も、ややこしいハンドルさばきを強いられたあげくに通過できた。やれやれと安堵したのも束の間、やはり伏兵がその先で待っていた。



 急な斜面の残雪が雪崩れて、行く手を阻んでいたのだ。こんなことは過去に記憶がない。それほど雪の量が多かったということだろう。
 一目見て、どうしようもないと観念した。それでも、いまいましい雪に一撃を加えてやろうと、スコップを手にし、「コノ野郎」と言ったかどうかは覚えていないが、雪面に思い切り突き差した。すると、相当圧縮して固いと思っていた雪が意外とそうでもなかった。
 それで、道路の端を車1台かろうじて通れる分だけ除雪してみることにした。と言っても、右手は座頭沢の最奥から始まる深い渓で、そっちも気にしながら同じ作業を雨の中、際限もないほど繰り返した。
 ここから先の苦労と、危険な通過は呟きたくない。さらにもう一箇所スコップを使わなければならない場所があったがそこも何とか通過し、小屋に着いたのはとっくに昼を回っていた。
 帰りは大事を取って、入笠湿原から焼き合わせに出て帰ってきた。

 好天、きょうで5か月の里の暮らしが終わる。思い残すこと・・・、なし。
 
 ADCさん、まだキャンプの受け付けは始まったばかりです。案を絞りご連絡ください。
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     ’22年「春」(34)

2022年04月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 若い女性、もしくはせめて若い男性ならまだしも、限りなく老人に近い男二人をアップで載せることに躊躇した結果が、この写真である。この入浴写真についても後に触れるが、画像の半分を占める難しい漢字の本は、この背景の怪しい男たちの入浴シーンと関係する。
 本の題名は「こどうそんそ」と読むのだそうで、古道は「法華道」を意味し、「樽俎」は「酒や料理が並ぶ宴会の席」と同書に説明されている。四角張った句会ではなく、むしろこの会においては俳句は酒宴の肴程度のものと言った、独特の照れ、面映ゆい気持ちががこの題名には込められているのだろう。
 
 以前にも呟いたことがあるが、入笠を経由して伊那と富士見を往還する古道「法華道」とこの俳句の会との関係は深い。その句会の開催がついに200回を迎えたということで、それを記念してこのような句集が出た。発足当初に多少の関りを持ち、その後飛び出たのか、追われたのか、いずれにせよそのせいでこの会は今日まで延命存続し、記念号までが発行されるに至った。
 大いなる喜びを噛みしめ、恥ずかしながらその樽俎の末席にまで加えてもらった。有難いことだ。

 先週の土曜日はその祝いも兼ねて、主宰のSD君、句集の編集者TDS君と、北信濃の温泉に行ってきた。句会「法華の会」が湯の花のごとく誕生したのは、実はこの温泉巡りがその大いなるきっかけとなったからである。
 しかし「温泉十か条」などという温泉について独特の評価基準を作ったのは許されても、「大日本湯渡り党」などという大それた名の会まで結成し、その「総裁」までも・・・、いやはや。既存の政党をからかいたかったのか、今では思い出すこともできないが汗顔至極、アラスカの氷で冷やしたくなる。

 小雪の舞う、春まだ浅き北信濃の温泉はもちろん素晴らしかった。加えて、そこに至る風景も実に良かった。間近に迫る山々、白い激流が削った深い谷、残雪と落葉したままの樹々の山肌、豪胆な太筆で描いたようなモミなどの常緑樹、そこに鄙びた人家が小さな集落を作っていた。
 人生で最も不満のなかった60代がまた帰ってきて、そこにしかし足りない人の顔を思い浮かべ、過ぎてしまった短い時への懐かしさを感じていた。

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     ’22年「春」(33)

2022年04月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日、温泉について少々触れたばかりだが、きょうは同行者2名、TDS君、SD君とちょっくら温泉へ。本当は1泊したいところながら、諸般の事情を抱え生憎の日帰りとなってしまった。行場所はまだ不明、SD君に任せてある。多分、北信濃方面だと思う。
 
 以前はこの3人でよく温泉巡りをした。その勢いで、入笠に檜の露天風呂ができたのはSD君と彼の会社のお蔭である。風呂から天の川や煌めく星々を眺めようという結構な趣向で大いに人気もあったが、昨年基礎を強化しようとしたら、皮肉なことに却ってそれが原因となって漏水が始まり、まだ問題の完全解決には至ってない。
 どうすればよいかは大体分かっている。基礎にしている栗の木と風呂桶との間にできた若干の隙間を塞げばよいわけで、最も確実な方法は、この際痛んだ底板をそっくり新しくしてしまえば解決するはずだ。しかし、これが言うほど簡単な仕事ではなく、風呂桶の側壁は分厚い檜材で、しかも外部からは分からないがボルトでしっかりとつなぎ合わされている。
 好評なだけに、何とかしたいと思っている。



 昨日呟いた「もう登らない山」は串田孫一の本の題名から拝借した。この本を読んだかどうか記憶にない。この思わせぶりの題名を見た時に、軽い反感を覚えたくらいだから多分読んでいないだろう。
 年がら年中山を歩き、深い思索に耽るらしい哲学者とは、碌に著書を読んでもいないのに山に対する考えも、姿勢も違うと思っていた。ところがある日、こういう表現に共感している自分に気付いた。どうしたことだろうか。
 いや、単純に歳を取ったというだけのことで、このごろはただ里山を歩くだけで満足している、という心境をあの言葉に託した、それだけのことだと思う。あの人の言っていることを理解し、共感しているとはとても言い難い。しかしそれでいい。

 1週間が早い。「明日は沈黙します」を、もう呟くことになる。そして1週間後には牧の仕事が始まっている。
 
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