市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…スパコン助成金詐取事件から見えてくる補助金騙し取りの手口

2017-12-08 22:59:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■先週報じられたスーパーコンピューター開発のベンチャー企業「ぺじーコンピューティング」を巡る助成金不正受給事件では、経産省所管の国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」から助成金約4億3100万円を騙し取った容疑で同社の代表取締役と役員が東京地検特捜部に逮捕されました。東京地検特捜部は、政治家が絡む事件には及び腰ですが、こうした民間事業者に対しては容赦がありません。この助成金騙し取り事件が報じられた時、すぐに思い起こしたのは前橋バイオマス発電計画で、前橋バイオマス燃料㈱に群馬県が総額4億8000万円の補助金を支給したことと極めて似た構図であることです。

 まずは、スパコン助成金詐取事件の報道を見てみましょう。

**********上毛ニュース2017/12/05
スパコン会社役員ら逮捕 NEDO助成4億円詐取の疑い
 スーパーコンピューターの開発を手掛けるベンチャー企業「ペジーコンピューティング」が入居するビル=5日午前、東京都千代田区
 スーパーコンピューターの開発を手掛けるベンチャー企業「ペジーコンピューティング」(東京)の幹部らが、国立研究開発法人から助成金約4億3100万円をだまし取ったとして、東京地検特捜部は5日、詐欺容疑で、同社代表取締役の斉藤元章容疑者(49)と会社役員鈴木大介容疑者(47)を逮捕し、同社を家宅捜索した。
 ペジー社などが開発したスパコン「暁光」は1秒間に約1京9千兆回(京は兆の1万倍)の計算速度を記録し、11月に発表された世界のスパコンの計算速度ランキングで4位に入った。

**********毎日新聞 / 2017年12月5日 11時42分
東京地検:スパコン企業社長ら逮捕 助成金詐欺容疑

「ペジーコンピューティング」に家宅捜索に入る東京地検の係官=東京都千代田区で2017年12月5日午前10時21分、平塚雄太撮影
 スーパーコンピューターの開発などを手がけるベンチャー企業「ペジーコンピューティング」(東京都千代田区)の幹部らが、経済産業省所管の「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」から助成金を不正に受給していた疑いが強まったとして、東京地検特捜部は5日、同社などを詐欺容疑で家宅捜索し、社長の斉藤元章容疑者(49)=千代田区=と、元事業開発部長の鈴木大介容疑者(47)=同=を同容疑で逮捕した。【飯田憲、平塚雄太、巽賢司】
 逮捕容疑は、2人は共謀し、2014年2月、NEDOから助成金をだまし取ろうと考え、助成事業に要した費用が約7億7300万円だったとする虚偽の書類を同機構側に提出。同3月に約4億3100万円の助成金を振り込ませて詐取したとしている。地検は2人の認否を明らかにしていない。

**********ハフィントンポスト2017年12月05日 15時11分 JST | 更新 2017年12月05日 15時34分 JST
「孤高」のスパコン社長、詐欺容疑で逮捕 NHK「プロフェッショナル」で放映予定→削除
開発したスパコン、世界のスパコンランキングでトップ5入り

 国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)から助成金をだまし取った疑いで、スーパーコンピューターの開発会社「PEZY Computing」の社長、斎藤元章容疑者(49)と元事業開発部長の鈴木大介容疑者(47)が、東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕された。12月5日、毎日新聞などが報じた。
 毎日新聞によると、2人は共謀し、2014年2月、NEDOから助成金をだまし取ろうと考え、助成事業に要した費用が約7億7300万円だったとする虚偽の書類を同機構側に提出。同3月に約4億3100万円の助成金を振り込ませて詐取したとしている。
 同社などが開発し、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)横浜研究所に設置されたスパコン「暁光」は、11月13日に発表された世界のスーパーコンピューターランキング「TOP500」で4位、Green500で5位に入った。
 朝日新聞によると、斎藤容疑者は12月11日放送のNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に「スーパーコンピューター開発者」として登場する予定だったという。削除された同番組サイトでは、斎藤容疑者のことを「孤高の開発者」などと紹介されていた。
【錦光山 雅子 Masako Kinkozan】
※参考URL:NHKプロフェッショナル「仕事の流儀」第345回 2017年12月11日(月) 放送予定(だったもの)
https://megalodon.jp/2017-1205-1006-21/www.nhk.or.jp/professional/schedule/index.html

**********朝日新聞デジタル2017年12月5日11時53分
スパコン開発会社長ら逮捕 助成金4.3億円詐取の疑い
 国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)から助成金を不正に受け取ったとして、東京地検特捜部は5日、スーパーコンピューターの開発会社「PEZY Computing」(東京都千代田区)の社長、斉藤元章容疑者(49)と同社元取締役、鈴木大介容疑者(47)を詐欺容疑で逮捕し、発表した。特捜部は認否を明らかにしていない。
 同社が理化学研究所などと開発したスパコン「菖蒲(しょうぶ)システムB」は、先月発表されたスパコンの省エネ部門で、世界1位を獲得している。
 特捜部によると、2人は2014年2月、同社が選定されたNEDOの12年度の研究開発費補助事業で、約7億7300万円の費用がかかったと水増しした実績報告書を出し、同年4月、助成金名目で約4億3100万円をだまし取った疑いがある。特捜部は5日、同社や関係先を家宅捜索した。
 NEDOを所管する経済産業省によると、同社には10年以降、五つの事業で助成金が出されている。法人登記簿では、同社は2010年の設立で、資本金9億4600万円。斉藤容疑者は15年に純国産のスパコンを短期間で開発したとして、産業界で活躍する人材に贈られる「日本イノベーター大賞」を受賞した。

**********毎日新聞 / 2017年12月5日 11時42分
東京地検:スパコン企業社長ら逮捕 助成金詐欺容疑
 スーパーコンピューターの開発などを手がけるベンチャー企業「ペジーコンピューティング」(東京都千代田区)の幹部らが、経済産業省所管の「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」から助成金を不正に受給していた疑いが強まったとして、東京地検特捜部は5日、同社などを詐欺容疑で家宅捜索し、社長の斉藤元章容疑者(49)=千代田区=と、元事業開発部長の鈴木大介容疑者(47)=同=を同容疑で逮捕した。【飯田憲、平塚雄太、巽賢司】
 逮捕容疑は、2人は共謀し、2014年2月、NEDOから助成金をだまし取ろうと考え、助成事業に要した費用が約7億7300万円だったとする虚偽の書類を同機構側に提出。同3月に約4億3100万円の助成金を振り込ませて詐取したとしている。地検は2人の認否を明らかにしていない。
**********

■ペジーコンピューティング(PEZY computing)社は、NEDOから各種の助成金を受け取ってきましたが、今回、東京地検特捜部が挙げたと報道される「2014年2月」の助成金はこちらの「ベンチャー企業への実用化助成事業」です。
※参考URL:経産省「平成25年度の事業に係る行政事業レビューシート」
http://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/review2014/1_h25_saisyu.html

 ペジー社の社長らの逮捕容疑について、報道では「特捜部によると、2人はメモリーデバイスの開発に絡み14年2月、事業費を約7億7300万円とした実績報告書をNEDO職員に提出し、助成金額はほぼ上限の約4億9900万円に確定した。翌3月、すでに支払われた約6800万円を除いた約4億3100万円が同社に支払われた。事業費は本来の経費より水増しされており、特捜部は助成金を上限まで受け取れるよう逆算して水増し額を決め、実績報告書に記載していたとみている。」とあります。

 この「メモリーデバイスの開発」とは、NHKが特集番組で放送する予定だった予告にも紹介されている独自の液浸冷却技術で高い省エネ性能を実現したスパコン「暁光」の基幹PEZY-SC2プロセッサの話ではなく「超広帯域3次元積層メモリーデバイス」関連です。

 この「メモリーデバイスの開発」とは、上記の参考URLにある「0032」の「超広帯域Ultra WIDE-I0 3次元積層メモリーデバイスの実用化開発」案件のことです。

 この案件で5億円の支払いのうち4億3100万円が今回の逮捕容疑となった「不正」と言われているのです。

■NEDOというのはエネルギー・地球環境問題の解決と産業技術の国際競争力の強化で、1970年代に世界を襲った二度のオイルショックを契機に、エネルギーの多様化が求められる中、新たなエネルギー技術の開発を使命に、エネルギー問題解決の先導役として、1980年に設立された経産省所管の研究開発支援に特化した政府系組織です。エネルギー・環境技術、産業技術など6分野において事業を行っています。

 筆者もかつて、NEDOのインド国の配電網電力削減にかかるモデル事業にたずさわったことがあります。
※参考URL:平成18年度成果報告書 国際エネルギー使用合理化等対策事業 国際エネルギー消費効率化等モデル事業 給配電ロス削減モデル事業実施可能性調査
http://www.nedo.go.jp/library/seika/shosai_201202/20110000001697.html

 このモデル事業は、予め企画提案書に基づきNEDOの審査を受けて承認されたものだけが対象となるため、補助金と異なり全額NEDOが負担しました。新技術に基づくプロトタイプの製品が使用されるため、製品調達価格に開発コストをどの程度反映させるか否かで、ともすれば過剰な利益を載せたいところですが、申請手続の過程で、他の一般的な類似製品との比較データを提出しなければならず、厳しい査定の洗礼を受けた記憶があります。

■そうしたモデル事業と異なり、今回のスパコン助成金詐取事件は、助成事業を舞台に発生しました。

 助成事業というのは「総事業費のうち一定の割合を補助する」という事業ですから、関連会社への架空の仕事の発注によって、総事業費を膨らませることで、受け取る補助金をかさ上げしたのだと予測されます。

 これに関連した論点として「ペジー社の外注費比率が極端に高かったことを見抜けなかったNEDOは審査が甘い」と指摘されています。しかし、実際に不正が発覚したわけですか、確かに事前審査は甘かったとしても、最終的には事業終了後に行われる厳しい確定検査による査定で、水増し行為や資金の目的外使用などが発覚したのかもしれません。

 また、この事件では、政治的な疑惑も取りざたされています。NEDOとの間を仲介したのが、あの「準強姦疑惑」のジャーナリストで、新興スパコン業者に補助金を下ろすのに、安倍首相の名前を使って介入し、バックマージンを受け取っていたというストーリーです。でも、もしそれが本当だとしても、東京地検特捜部は決してそこには捜査の足を踏み入れないでしょう。東京地検特捜部にそのような期待は禁物だからです。

■こうした構図を、前橋バイオマス発電計画における燃料の木質チップ製造用の乾燥施設(チップ脱水プレス機)などの機器材向けの今回の補助金事業に当てはめてみると、極めて似ていることがわかります。

 地検は2人の認否を明らかにしていませんが、逮捕容疑は、2人が共謀して2014年2月、NEDOから助成金をだまし取ろうと考え、助成事業に要した費用が約7億7300万円だったとする虚偽の書類を同機構側に提出し、同3月に約4億3100万円の助成金を振り込ませて詐取したというものです。

 前橋バイオマス燃料の場合、林業関係の補助金事業に要する事業総額が8億円の予定だとして、水増しした見積書を群馬県に提出し、その6割に当たる4億8000万円の補助金を振り込ませて、実際には、4億8000万円でも、実際にかかった事業費全額を賄えるうえに、利益さえ発生させることができたのではないでしょうか。

 当会は、現在係争中の補助金返還請求訴訟事件を通じて、前橋バイオマス発電計画を巡る疑惑解明のために、メスを入れることにしています。なお、同じく補助金騙し取り問題については、高崎市の介護保険制度における偽造ケアプランに基づく保険料詐取事件も特記しなければなりません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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