■かつて「官官接待」や「カラ出張」が日常茶飯だった群馬県ですが、現在も水面下で行われているのかどうか、情報秘匿体質の群馬県の実態は県民の誰にも分りません。そうした中、年中行事になっている記者クラブと県幹部による懇談会に県の幹部でもないヒラ職員らが「社会参加費」という、これまた得体の知れない税金支出費目を編み出した群馬県ならではの血税浪費で参加していることが判明しました。この住民訴訟の第4回口頭弁論が、2017年12月20日(水)午前10時30分から前橋地裁で開かれました。
この住民訴訟に先立ち、当会は2017年1月30日に住民監査請求書を群馬県監査委員あてに提出したところ、同4月5日付で監査委員から結果通知が出されました。ところがその結果たるや、なんと「合議の不調」というもので、「請求の一部に理由がある」という見解と、「請求に理由がない」という見解の双方に分かれたため、監査委員としての統一的判断が下せない、というものでした。
そのため、当会では同5月2日付で前橋地裁に訴状を提出しました。その後、同7月19日に第1回口頭弁論、同9月20日(水)に第2回口頭弁論、同11月1日(水)に第4回口頭弁論、そして今回、同12月20日(水)午前10時30分から第4回口頭弁論が地裁で開かれたものです。これまでのこの裁判の経緯は当会の次のブログを参照ください。
○2017年7月27日:記者クラブと県幹部との懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟第1回口頭弁論の模様↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2374.html#readmore
○2017年9月14日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟で原告が準備書面(1)を提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2409.html#readmore
〇2017年9月23日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟の第2回口頭弁論の模様↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2429.html#readmore
○2017年10月28日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟で被告の準備書面(1)到来↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2452.html#readmore
〇2017年11月4日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟第3回口頭弁論↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2495.html#readmore
〇2017年12月11日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟で被告の準備書面(2)到来↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2496.html#readmore
この日の前橋地裁のロビーに貼られた開廷表には次のとおり記されていました。
*****前橋地裁開廷表*****
第21号法廷(本館2階)開廷表
平成29年12 月20日 水曜日
●開始/終了/予定 10:30/弁論
○事件番号/事件名 平成28年(ワ)第478号(甲事件)
平成29年(ワ)第242号(乙事件)/雇用契約上の地位確認等請求事件
○当事者 八木澤清子こと六本木清子 外/医療法人赤城会 外
○代理人 角田義一/井垣弘
○担当 民事第1部合議係
裁判長 塩田直也
裁判官 高橋浩美
裁判官 佐藤秀海
書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 10:30/弁論
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第8号/社会参加費不正使用損害賠償等請求事件
○当事者 小川賢/群馬県知事大澤正明
○代理人 - /新井博
○担当 民事第1部 合議係
裁判長 塩田直也
裁判官 高橋浩美
裁判官 佐藤秀海
書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 10:30/第1回弁論
○事件番号/事件名 平成29年(レ)第45号/損害賠償(交通)請求控訴事件
○当事者 小堀聡/大家勇真
○代理人 安部桂弥/笠本秀一
○担当 民事第1部合議係
裁判長 塩田直也
裁判官 高橋浩美
裁判官 佐藤秀海
書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 13:10/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成28年(ワ)第274号/損害賠償請求事件
○当事者 栄興物産株式会社/伊勢崎市
〇代理人 吉野晶/小暮清人
○担当 民事第1部合議係
裁判長 塩田直也
裁判官 高橋浩美
裁判官 佐藤秀海
書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 13:10/弁論
○事件番号/事件名 平成29年(ワ)第274号/損害賠償請求事件
○当事者 佐藤建一/公益財団法人老年病研究所外
〇代理人 天田昭夫/足立進
○担当 民事第1部合議係
裁判長 塩田直也
裁判官 高橋浩美
裁判官 佐藤秀海
書記官 森山ひとみ
**********
開廷表では2番手でしたが、最初に当事者が集まっているというので、本日最初の審理となりました。
例によって原告席には当会代表、そして被告席には弁護士1名と群馬県総務部の職員ら3名(男性1名、女性2名)の計4名が着席しました。傍聴席には他の裁判の傍聴者のほか、当会会員や県職員らしき人物など21名ほどが着席して、裁判の開始を待っていました。
■10時30分となり、陪席裁判官2名とともに入廷した塩田裁判長が「おはようございます」と声をかけて、着席しました。そして、書記官が「平成29年(行ウ)第8号、原告小川賢、被告群馬県知事大澤正明」と述べて審理が始まりました。
**********
裁判長:原告の方から11月1日付けで原告準備書面(2)が提出されましたが、これはこのとおり陳述すると言うことでよろしいか?
原告:はい、陳述いたします。
裁判長:えー、まあ、つまらんことなんですけれども、3ぺージ、上から4行目、のところで、「それが“恋”である場合は」とあるが、これは“わざと(故意)”という意味だね?
原告:はいそうです。すいません、変換ミスが多くて申し訳ないです。
裁判長:それから被告の方からは12月8日付で準備書面(2)が出てきております。
被告(訴訟代理人弁護士、以下同様):はい。
裁判長:で、これはこのとおり陳述と言うことでよろしいか。
被告:はい、陳述します。
裁判長:えーと、これでいくとね、この支出する権限があるのは、誰と言うことになるのか?総務部長ではない?
被告:ないことは確かです。
裁判長:総務課長になるのか、総務課次長になるのか?
被告:あのう、交際費全体の決裁専決権者は総務課長であって、前渡については前渡金職員にその権限が委譲しているんかしれない。
裁判長:それは読んでわかったんだけども、本件の支出の裁定というのはどちらになるの?
被告:次長ですよね。
裁判長:次長?えっ、前渡金ということになるの?
被告:前渡金です。
裁判長:要するに支払いするかどうかを課長が決めて、それを実際に前払いするかどうかを、次長が決めると言うことではないのか?
被告:それは一応四半期ごとに、まとまった額を細かい項目なく、それだけなんですね。それが通って、実際の運用は、実施に支出するのは前渡権者が判断するという形をとっているんです。
裁判長:すると、決定権限は前渡管理で、次長にあると?
被告:そうです。
裁判長:そういうことになる?
被告:はい。
裁判長:それで間違いないね?
被告:はいそうです。
裁判長:そうすると原告の方はそこを、損害賠償請求の相手方に義務付ける、そこをどうするかという問題がでてくるよね?
原告:まあ、その内部規定がはじめて、これを見てね、今裁判長がおっしゃるようにそういうふうに、内部規律がそうなったのかということは今わかたったんですが、納税者としては、懇親会と言ってもね、宴会と同じなんだけれども。それを組織を、その部署を代表するのは総務部長で、総務課長は出ていませんよね。えー、で総務課の次長も出ていませんよね、でているのは総務部長で、その方は交際費を使って出ていると。だから自分一人が代表で出ているのだから、他のヤツは社会参加費を使う必要がないというふうに、当然、当然その部署のかたが何らかの判断をすべきであって、手続き上は、その、コイノボリさん、というかな、コイトさんというか、(鯉登)次長がやったのかも知りませんが、我々納税者から見たらですね、そこに出た総務部長が代表して出ているんだから、おまえたちはあとは社会参加費を使う必要はないよと、いうふうに当然判断するのが常識だと思うんですけどね。お役人様としてはね。
裁判長:趣旨は分かります。
原告:はい。
裁判長:ただ、この住民訴訟の仕組みから言うと、財政面から規律しようということなので、財政に関する権限のある人を相手にしないと、かたちにならないのでね。
原告:今からあれですか、すいません、裁判長?これ、訴えの変更というやつで、初めて特定できたから、では、そこにしてくれというふうに申し立てをした方がよろしいんですかね?
裁判長:うん、請求の趣旨が変更になると思うんだよね。そこに変更してもらえばね、趣旨はよくわかりました。
原告:わかりました。まあ、早く決着を付けてみたいので、すぐに出しますよ。
裁判長:はい、それを検討して下さい。それからですね。被告のこの準備書面の5ページ、上から5行目になるが、執行基準で執行人数を原則2名以内としているが「この人数が所属課ごとの人数なので」とあるよね? この所属課ごとというのはどこを読めば出てくるの?
被告:これは条文には、あっ、条文じゃない。規定にはハッキリ書いていないが、当然の前提としているということなんでしょうかね。
裁判長:全体ということもあるんじゃないの?
被告:あのう、文字面からすると私もそういう気がしている。
裁判長:・・・(苦笑)。所属課ごとの人数として運用されてきたと、そういう慣行があると、そういうご主張なんですか
被告:そうですね。
裁判長:はーん・・・。はい、それと、あとは原告の方で指摘されているところなんだけれども、広報課、秘書課、財政課について、記者と懇親する必要性というのは、どういうところにあるのか、ということが、あと疑問点が残るんですけれどもね?
被告:そうですか、あのう・・・じゃあ・・・それに対応させていただきます。
裁判長:はい、えーと、原告の方は反論みたいなものは用意するの?
原告:はいあのう、今回、これを頂きましたので。とくにですね、ちょっと説明させてください。前渡金で違法に使って私どもオンブズマンが指摘して1年後に返したと、だけど納税者の場合ですね、税金を滞納した場合、3カ月経つとですね、いわゆる加算というかな、毎年微妙に違うらしいですが、15パーセントとかね、今でも9%くらい即、課徴金というか、ペナルティがかかるんですよ。でも役人様のほうは1年も経て、ああ悪かったかなと言って返して、税金のように加算金がつかないというふうに、もしご主張されるのであれば、これはオカシイのではないか、と思うので、それをちょっと追加として、先ほどの訴えの申立の趣旨の変更と一緒に、コメントさせていただきたいと思います。これはすぐに出します。1週間ほどで出す用意もある。
裁判長:被告の方はどれくらいか?
被告:1カ月。・・・あのう、乙号証(の原本チェックを)。
裁判長:ああ、乙9号証ね。この、コイノボリさん?
被告:コイトと読みます。
裁判長:えっ、コイトさんが次長ということね?
被告:そういうことです。
裁判長:下の方の会計のところではないね。実際の決裁というところね?
被告:はい。
(ここで書記官が、被告の乙号証の原本を原告に渡して、確認を求めた)
原告:(1枚1枚めくりながら)ここにホチキスが3カ所ある、止めた跡がある。・・・はい、一応原本と同じであることを確認しました。(と言って、チェックを終えて書記官に返却する)
裁判長:えーと、そうなると、これまでは1カ月くらいということなので、1月19日くらいまでには提出で?
被告:もう1週間。
裁判長:1月26くらいに?
被告:はい
裁判長:そうすると期日の方だが2月7日午前10時30分でいかがか?
被告:結構ですよ。
原告:2月7日で異存ございません。
裁判長:はい、じゃあそういうことで。
**********
■今回の裁判は約10分間でした。今回、前渡職員が社会参加費の支出の可否を判断するという新しいルールが明らかになったことで、裁判長は、原告の訴えの趣旨の変更を促しました。これに沿って訴えの変更の申立をするべきかどうか、判断を迫られるわけです。
また、今回被告から提出された乙第9号証を見ると、社会参加費として、部長の交際費もその一部となっています。となると、1つのイベントにつき(各課から)2人を限度に参加、というのは、今回のように部長が出席すれば、各課から2人までという規定は、さらに骨抜きとなってしまいます。
実際、社会参加費に交際費と負担金という趣旨を持たせてしまえば、たとえば、なにか行政全般にわたるイベントの場合、知事をはじめ、副知事、部長など全員が社会参加費で出席した上に、各課2人までが参加を許されるのであれば、何十人、何百人もの職員が、税金で飲食できることになっていまいます。
今回の裁判で、社会参加費の使い道が、群馬県の役人の自由に、使い勝手の良い制度として裁判所にお墨付きをもらえるのか、それとも、ケースバイケースで、いわゆる総量規制の形で、今回の記者クラブとの懇談会(=宴会)のように県政全般に係るイベントの場合、知事以下各部の部長が出る場合には、課長以下は出席できないようにするなど、何らかの歯止めがかけられるかが、焦点になると思われます。
次回の第5回口頭弁論期日は2018年2月7日(水)午前10時30分から前橋地裁第21号法廷で開かれます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
この住民訴訟に先立ち、当会は2017年1月30日に住民監査請求書を群馬県監査委員あてに提出したところ、同4月5日付で監査委員から結果通知が出されました。ところがその結果たるや、なんと「合議の不調」というもので、「請求の一部に理由がある」という見解と、「請求に理由がない」という見解の双方に分かれたため、監査委員としての統一的判断が下せない、というものでした。
そのため、当会では同5月2日付で前橋地裁に訴状を提出しました。その後、同7月19日に第1回口頭弁論、同9月20日(水)に第2回口頭弁論、同11月1日(水)に第4回口頭弁論、そして今回、同12月20日(水)午前10時30分から第4回口頭弁論が地裁で開かれたものです。これまでのこの裁判の経緯は当会の次のブログを参照ください。
○2017年7月27日:記者クラブと県幹部との懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟第1回口頭弁論の模様↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2374.html#readmore
○2017年9月14日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟で原告が準備書面(1)を提出↓
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〇2017年9月23日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟の第2回口頭弁論の模様↓
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○2017年10月28日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟で被告の準備書面(1)到来↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2452.html#readmore
〇2017年11月4日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟第3回口頭弁論↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2495.html#readmore
〇2017年12月11日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟で被告の準備書面(2)到来↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2496.html#readmore
この日の前橋地裁のロビーに貼られた開廷表には次のとおり記されていました。
*****前橋地裁開廷表*****
第21号法廷(本館2階)開廷表
平成29年12 月20日 水曜日
●開始/終了/予定 10:30/弁論
○事件番号/事件名 平成28年(ワ)第478号(甲事件)
平成29年(ワ)第242号(乙事件)/雇用契約上の地位確認等請求事件
○当事者 八木澤清子こと六本木清子 外/医療法人赤城会 外
○代理人 角田義一/井垣弘
○担当 民事第1部合議係
裁判長 塩田直也
裁判官 高橋浩美
裁判官 佐藤秀海
書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 10:30/弁論
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第8号/社会参加費不正使用損害賠償等請求事件
○当事者 小川賢/群馬県知事大澤正明
○代理人 - /新井博
○担当 民事第1部 合議係
裁判長 塩田直也
裁判官 高橋浩美
裁判官 佐藤秀海
書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 10:30/第1回弁論
○事件番号/事件名 平成29年(レ)第45号/損害賠償(交通)請求控訴事件
○当事者 小堀聡/大家勇真
○代理人 安部桂弥/笠本秀一
○担当 民事第1部合議係
裁判長 塩田直也
裁判官 高橋浩美
裁判官 佐藤秀海
書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 13:10/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成28年(ワ)第274号/損害賠償請求事件
○当事者 栄興物産株式会社/伊勢崎市
〇代理人 吉野晶/小暮清人
○担当 民事第1部合議係
裁判長 塩田直也
裁判官 高橋浩美
裁判官 佐藤秀海
書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 13:10/弁論
○事件番号/事件名 平成29年(ワ)第274号/損害賠償請求事件
○当事者 佐藤建一/公益財団法人老年病研究所外
〇代理人 天田昭夫/足立進
○担当 民事第1部合議係
裁判長 塩田直也
裁判官 高橋浩美
裁判官 佐藤秀海
書記官 森山ひとみ
**********
開廷表では2番手でしたが、最初に当事者が集まっているというので、本日最初の審理となりました。
例によって原告席には当会代表、そして被告席には弁護士1名と群馬県総務部の職員ら3名(男性1名、女性2名)の計4名が着席しました。傍聴席には他の裁判の傍聴者のほか、当会会員や県職員らしき人物など21名ほどが着席して、裁判の開始を待っていました。
■10時30分となり、陪席裁判官2名とともに入廷した塩田裁判長が「おはようございます」と声をかけて、着席しました。そして、書記官が「平成29年(行ウ)第8号、原告小川賢、被告群馬県知事大澤正明」と述べて審理が始まりました。
**********
裁判長:原告の方から11月1日付けで原告準備書面(2)が提出されましたが、これはこのとおり陳述すると言うことでよろしいか?
原告:はい、陳述いたします。
裁判長:えー、まあ、つまらんことなんですけれども、3ぺージ、上から4行目、のところで、「それが“恋”である場合は」とあるが、これは“わざと(故意)”という意味だね?
原告:はいそうです。すいません、変換ミスが多くて申し訳ないです。
裁判長:それから被告の方からは12月8日付で準備書面(2)が出てきております。
被告(訴訟代理人弁護士、以下同様):はい。
裁判長:で、これはこのとおり陳述と言うことでよろしいか。
被告:はい、陳述します。
裁判長:えーと、これでいくとね、この支出する権限があるのは、誰と言うことになるのか?総務部長ではない?
被告:ないことは確かです。
裁判長:総務課長になるのか、総務課次長になるのか?
被告:あのう、交際費全体の決裁専決権者は総務課長であって、前渡については前渡金職員にその権限が委譲しているんかしれない。
裁判長:それは読んでわかったんだけども、本件の支出の裁定というのはどちらになるの?
被告:次長ですよね。
裁判長:次長?えっ、前渡金ということになるの?
被告:前渡金です。
裁判長:要するに支払いするかどうかを課長が決めて、それを実際に前払いするかどうかを、次長が決めると言うことではないのか?
被告:それは一応四半期ごとに、まとまった額を細かい項目なく、それだけなんですね。それが通って、実際の運用は、実施に支出するのは前渡権者が判断するという形をとっているんです。
裁判長:すると、決定権限は前渡管理で、次長にあると?
被告:そうです。
裁判長:そういうことになる?
被告:はい。
裁判長:それで間違いないね?
被告:はいそうです。
裁判長:そうすると原告の方はそこを、損害賠償請求の相手方に義務付ける、そこをどうするかという問題がでてくるよね?
原告:まあ、その内部規定がはじめて、これを見てね、今裁判長がおっしゃるようにそういうふうに、内部規律がそうなったのかということは今わかたったんですが、納税者としては、懇親会と言ってもね、宴会と同じなんだけれども。それを組織を、その部署を代表するのは総務部長で、総務課長は出ていませんよね。えー、で総務課の次長も出ていませんよね、でているのは総務部長で、その方は交際費を使って出ていると。だから自分一人が代表で出ているのだから、他のヤツは社会参加費を使う必要がないというふうに、当然、当然その部署のかたが何らかの判断をすべきであって、手続き上は、その、コイノボリさん、というかな、コイトさんというか、(鯉登)次長がやったのかも知りませんが、我々納税者から見たらですね、そこに出た総務部長が代表して出ているんだから、おまえたちはあとは社会参加費を使う必要はないよと、いうふうに当然判断するのが常識だと思うんですけどね。お役人様としてはね。
裁判長:趣旨は分かります。
原告:はい。
裁判長:ただ、この住民訴訟の仕組みから言うと、財政面から規律しようということなので、財政に関する権限のある人を相手にしないと、かたちにならないのでね。
原告:今からあれですか、すいません、裁判長?これ、訴えの変更というやつで、初めて特定できたから、では、そこにしてくれというふうに申し立てをした方がよろしいんですかね?
裁判長:うん、請求の趣旨が変更になると思うんだよね。そこに変更してもらえばね、趣旨はよくわかりました。
原告:わかりました。まあ、早く決着を付けてみたいので、すぐに出しますよ。
裁判長:はい、それを検討して下さい。それからですね。被告のこの準備書面の5ページ、上から5行目になるが、執行基準で執行人数を原則2名以内としているが「この人数が所属課ごとの人数なので」とあるよね? この所属課ごとというのはどこを読めば出てくるの?
被告:これは条文には、あっ、条文じゃない。規定にはハッキリ書いていないが、当然の前提としているということなんでしょうかね。
裁判長:全体ということもあるんじゃないの?
被告:あのう、文字面からすると私もそういう気がしている。
裁判長:・・・(苦笑)。所属課ごとの人数として運用されてきたと、そういう慣行があると、そういうご主張なんですか
被告:そうですね。
裁判長:はーん・・・。はい、それと、あとは原告の方で指摘されているところなんだけれども、広報課、秘書課、財政課について、記者と懇親する必要性というのは、どういうところにあるのか、ということが、あと疑問点が残るんですけれどもね?
被告:そうですか、あのう・・・じゃあ・・・それに対応させていただきます。
裁判長:はい、えーと、原告の方は反論みたいなものは用意するの?
原告:はいあのう、今回、これを頂きましたので。とくにですね、ちょっと説明させてください。前渡金で違法に使って私どもオンブズマンが指摘して1年後に返したと、だけど納税者の場合ですね、税金を滞納した場合、3カ月経つとですね、いわゆる加算というかな、毎年微妙に違うらしいですが、15パーセントとかね、今でも9%くらい即、課徴金というか、ペナルティがかかるんですよ。でも役人様のほうは1年も経て、ああ悪かったかなと言って返して、税金のように加算金がつかないというふうに、もしご主張されるのであれば、これはオカシイのではないか、と思うので、それをちょっと追加として、先ほどの訴えの申立の趣旨の変更と一緒に、コメントさせていただきたいと思います。これはすぐに出します。1週間ほどで出す用意もある。
裁判長:被告の方はどれくらいか?
被告:1カ月。・・・あのう、乙号証(の原本チェックを)。
裁判長:ああ、乙9号証ね。この、コイノボリさん?
被告:コイトと読みます。
裁判長:えっ、コイトさんが次長ということね?
被告:そういうことです。
裁判長:下の方の会計のところではないね。実際の決裁というところね?
被告:はい。
(ここで書記官が、被告の乙号証の原本を原告に渡して、確認を求めた)
原告:(1枚1枚めくりながら)ここにホチキスが3カ所ある、止めた跡がある。・・・はい、一応原本と同じであることを確認しました。(と言って、チェックを終えて書記官に返却する)
裁判長:えーと、そうなると、これまでは1カ月くらいということなので、1月19日くらいまでには提出で?
被告:もう1週間。
裁判長:1月26くらいに?
被告:はい
裁判長:そうすると期日の方だが2月7日午前10時30分でいかがか?
被告:結構ですよ。
原告:2月7日で異存ございません。
裁判長:はい、じゃあそういうことで。
**********
■今回の裁判は約10分間でした。今回、前渡職員が社会参加費の支出の可否を判断するという新しいルールが明らかになったことで、裁判長は、原告の訴えの趣旨の変更を促しました。これに沿って訴えの変更の申立をするべきかどうか、判断を迫られるわけです。
また、今回被告から提出された乙第9号証を見ると、社会参加費として、部長の交際費もその一部となっています。となると、1つのイベントにつき(各課から)2人を限度に参加、というのは、今回のように部長が出席すれば、各課から2人までという規定は、さらに骨抜きとなってしまいます。
実際、社会参加費に交際費と負担金という趣旨を持たせてしまえば、たとえば、なにか行政全般にわたるイベントの場合、知事をはじめ、副知事、部長など全員が社会参加費で出席した上に、各課2人までが参加を許されるのであれば、何十人、何百人もの職員が、税金で飲食できることになっていまいます。
今回の裁判で、社会参加費の使い道が、群馬県の役人の自由に、使い勝手の良い制度として裁判所にお墨付きをもらえるのか、それとも、ケースバイケースで、いわゆる総量規制の形で、今回の記者クラブとの懇談会(=宴会)のように県政全般に係るイベントの場合、知事以下各部の部長が出る場合には、課長以下は出席できないようにするなど、何らかの歯止めがかけられるかが、焦点になると思われます。
次回の第5回口頭弁論期日は2018年2月7日(水)午前10時30分から前橋地裁第21号法廷で開かれます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】