空をうたって

空　
よ

と歌う歌が多い

空ほど愛されてるものはない


がんが子宮から肺に移って
治療しているのに
ジャズを歌う友がいる

空の歌を歌ってもらいたい

ジャズであるかどうかは分からないけど
歌詞を作って歌ってほしい

高校卒業と同時に結婚して行った友

京都の家風に疑いなく従って
かわいくかわいく生きてきた
ご主人が定年退職なさってから
あなたはお店でジャズを歌うことが多くなった

５０歳から歌を習って
もう一人ライブをしなさいって言われた

郷里に帰って同窓会で歌った
子供の時からうまかったけど
たのしくとってもたのしく
歌ってくれた
初めて友の前だったから
少し緊張していたね

ゆーちゃん
雛人形店の友から
あなたの闘病を聞いたよ
私達の旧友

今度
空を歌って

子たちのしあわせ

子たちがはにかんで挨拶してくれる

こちらもはにかんで挨拶をかえす

ばぁと子との交換日記

目と目の会話

ますますはにかんで下を向く子たち

親にはできないこの会話

ばぁやじぃしかできない

ばぁやじぃは誇り高い

生きてきたんだ

失敗もあった

でも、成功もあった

よいとかわるいとか

ただしいとかまちがっているとかではなく

ただ、そうだったという体験で

子たちに会う

子たちは笑う

子たちは潤う

子たちはほっとする

それで充分　

子たちの息遣いがそっと止まって

眠る時

親たちがほほえむ

子たちはしあわせになる

子たちは安らかになる

じぃやばぁはかげながらほほえむ