変異株が「想定外の進化」、コロナ治療薬の開発中止に…富山大など共同研究
2023年9月10日 (日)配信読売新聞
富山大と富山県などが共同研究していた「スーパー中和抗体」を活用した新型コロナウイルス治療薬の開発が、中止されたことが分かった。新型コロナの変異株が「想定外の進化」を遂げ、抗体の設計が困難と判断した。
共同研究するバイオベンチャー「ペルセウスプロテオミクス」(東京)が発表した。
この抗体は新型コロナの重症化を防ぎ、未知の変異ウイルスにも対応できるとされ、コロナ患者から血液を採取して作製した。2022年に富山大、県、同社が抗体を活用した治療薬を共同開発すると発表していた。
同社の発表によると、オミクロン株「BA・5」などの変異株では、感染する際に重要な役割を持つウイルスの「中心的結合部位」が変異しており、スーパー中和抗体の効果が弱まったという。抗体の改良を模索したが困難になった。
また、ワクチンや経口薬が普及して緊急的な医療のニーズが低下し、開発のための政府助成金を得ることも困難だと考えた。
新田知事は8月30日の定例記者会見で「残念なことだが、研究がまったく無になったわけではない。富山大は抗体を迅速に取得できる体制が構築でき、今後に生きることだ」と述べた。
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