
何年か前に行った別荘地「山水苑」の中にある八幡船保養館。
忘年会で一泊した小さな宿泊施設である。
夕方、到着した私たちは先ず露天風呂へと行くことにした。
この別荘地には二カ所の露天風呂がある。
地図をみながら車で行った。
最初の露天はこの宿からすぐそばにあった。
脱衣所の建物にただ一つある裸電球。
それは外に向けられていて脱衣室は暗かった。
男女別の脱衣所がある混浴の露天風呂である。
石の露天風呂は7.8人くらい入れる広さでちょうど良い温度のお湯だった。
なにしろ、暗くてお湯の色などはわからないが多分透明だったと思う。
冷たい風の中での露天はとても気持ち良かった。
夕食の後、入った内風呂は小さく3人が入れる程度の檜風呂だった。
湯船に流れるお湯の量が極端に少なく、入ってるのかどうかわからない程度だった。
せっかく温泉に来たのに何だか自分の家の風呂に入ってるようだ。
部屋へ帰ってひとときのおしゃべりを楽しんだ後、再び露天風呂に行く事にした。
時間は深夜1時過ぎ。
男性1人に女性4人で宿の下駄をはいて散歩がてら出かけた。
歩いて3,4分の場所である。
はず、だった。
夕方、車で行ったその露天風呂が見つからないのだ。
あっちでもない、こっちでもないと深夜の別荘地を探し歩いた。
何度も同じ場所に出くわし、素足の足が冷たくなっていく。
雪までちらついてきた。
自分たちがどこにいるのかさえわからない。
ゆうに30分以上歩いたはすである。
ほとんどの家は灯りが消えて真っ暗である。
深夜、下駄の音だけが響いて怖くなるくらいだった。
このまま朝まで露天風呂へも宿へもたどり着かないのではないかと不安になってきた。
もうすっかり体も心も冷え切った頃、あの裸電球を見つけた。
舞い上がらんばかりに露天風呂に入る。
この時ほどお湯の温かさを感じた事はない。
夕食前に入った時はまだうっすらと周りが見えた。
深夜は何も見えず川の流れが聞こえるだけだった。
空には星がいっぱいだった。
私はこの時初めて露天風呂から「満天の星」を見た。
体がすっかり暖まって上がることにした。
自分の脱いだ洋服を勘で探しあて、裏か表かもわからぬまま浴衣を着た。
目と鼻の先に宿はあった。
なぜ、あんなに迷って1時間近く歩き回ったのかわからない。
この宿は二度と泊まりたくない程、良い思い出がないがこの深夜の徘徊だけは未だに語り継がれている。
今となってはとても楽しい思い出の温泉である。
※ 画像はパンフレットより
職務質問されそうな雰囲気・・・。
遭難しなくて良かった
やはり露天は、宿から直接行けるほうがいいです。
あまり離れていると、折角暖まった体が部屋に着くまでに冷えてしまいそうで。
でもこう言う体験って、後から思うと楽しい思い出ですね
こんな体験はもう無いと思います。
ホント遭難するかと思いました。
温泉のありがたみ感じるには最高?の体験でしたね。
宿へ帰る道もわからなくなっていたんですよ。
危うく遭難するところでした。