役にたたない日々

2011-07-29 09:35:47 | ヤナバ生活
 去年の秋に72歳で亡くなられた佐野洋子さんて、それなりの作家の方だったらしいけれど、つい先日「 役にたたない日々 」と言うタイトルの文庫本を読むまで僕には無縁の人だった。 薪ストーブのための薪割りや、湿気った押入れの中の布団を干すための頑丈な物干しを作る、そんな作業のために時折ヤナバにやってくるショージ君が、作業の合間の休憩時にコーヒーカップ片手に時折赤鉛筆で棒線引きながら読んで居た(一体文庫本のどんな部分に赤線を引いているのか?) そんな興味で借りて読んだのが始めてでした。

 で、そのタイトルは一気読みに値する内容と読みやすさを持つエッセイだった。癌で手術も受け、残された年数も見えいて、実際は大変だった筈だけれど、でもあっけらかんと生きていた感じ。

 そんな生活の中から放つ「オサマ・ビンラディンという人は立派な風格をしている哲学的かつ知的で姿が優雅静謐、 ・・・中略・・・ ブッシュの顔を見ると、とても恥ずかしい人類の顔だと思う」なんて意見もサラリと書いてしまう。

 そうかと思えば、八百屋の店頭での店主とのやり取り、

「セロリちょうだい」
「あ、セロリない」
「えーこの前もなかったじゃん」
親父は私と同じ位の年である。 そう言えばパセリもなかったな。
「えー・・・、だって八百屋じゃんか」
「くせーもの嫌いなんだよ」
私は驚いてモゴモゴしてしまった。
「残るだろ、夜食わせられるんだよね。 だから置かない」
「ふーん、じゃ、いつ来てもないんだ」
「だって、俺嫌いだもん」
こういうのを見上げた親父と云うんだろうか。 そういえば・・・  後略

こんな描写も面白い。

 そんな訳で他の作品も読みたくなって、次の日には彼女の作品を求めて大町の図書館を訪れた。そしてアイウエオ順に区分けされた小説の棚を見回したけれど、「サ」の区分に一冊も見つからない。 「レレッ?」 と思いつつ係の人に聞いてみた。 答えは単純、小説の棚ではなくて、「エッセイの棚に区分されているのでしょう」だった。 その書棚には「ふつうがえらい」の一冊があるのみ、他のタイトルも蔵書としてあるのだが貸し出し中だった。 しかたなくそれ一冊と、メインは絵本作家だと云う彼女の代表作と目される「100万回生きたねこ」も借りてきた。 借りだしたその日にサクサクと読み終わり、絵本も眺め終わったから、次回の囲碁の対局に大町まで出かける時に返却するかな。

読後感 :

「100万回生きたねこ」
  自分の小さな子供に読み聞かせたいか?
  たぶん、そうは思わない。

「ふつうがえらい」
 削り節と醤油も欲しい豆腐の感じ。

 読んでいて、他のものも欲しくなり、図書と一緒に借りだした Enya やアカペラグループ、シャンティクリアのCDをBGMにしながら読み進みました。


「 役にたたない日々 」
 そのまんまで食べても美味しい寄せ豆腐の感じかな。
寝転んで、そのまま一気読みです。
暇で、他に読む本がなけりゃ、再度読みなおすかも・・・  
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