小樽のパパの子育て日記

日々のできごとを徒然なるままに2006年から書いて18年目になりました。
ヤプログから2019年9月に引越し。

悲しい事件 情状酌量を

2019-12-14 05:30:30 | 雑感
余りに悲しい事件。
自分ならどうしただろう。
記事を読んでいて、胸が苦しくなりました。

妻がうつ病、長女が自殺。
それでも、発達障害の長男の就学、就業、身の回りの世話をして献身的に尽くしてきた被告。
事件の1週間前、長男から激しい暴行を受けてひどいけが。
精神安定剤を飲まなければ体の震えが止まらないほどの恐怖。
その日以降、妻と2階にこもる生活。
警察に突き出せば親子の関係性が崩れてしまい、その後も長男とともに生きていくことは困難だと思い悩む。

裁判長「これで審理を終わりますが何か言っておきたいことがありますか」と問われ、

「私は毎日、反省や悔悟の思いで過ごしています。犯した罪の重大さは、十分に自覚しています。罪を償うことが私の大きな役目です。息子のために、毎日祈ってばかりいます。息子があの世で穏やかな日々を過ごせるよう、これからも祈りをささげるのが私の務めだと思っております」


同情の余地が大きく、76歳という年齢を考えても、執行猶予の付いた判決が妥当と考えます。




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検察「悲しい事件だが許されない」元農水次官に懲役8年求刑
出典:NHKニュースウェブ

農林水産省の元事務次官が長男を殺害した罪に問われている事件の裁判で、検察は、「悲しい事件ではあるが、強い殺意による犯行で決して許されない」として懲役8年を求刑しました。一方、被告の弁護士は「いきさつや動機には同情の余地が大きい」として執行猶予のついた判決を求めました。

農林水産省の元事務次官、熊澤英昭被告(76)は、ことし6月、東京・練馬区の自宅で、長男の英一郎さん(44)を包丁で刺して殺害したとして、殺人の罪に問われ、起訴された内容を認めています。
東京地方裁判所で開かれた13日の裁判で、検察は「長男の将来を心配して親身に対応していたにもかかわらず、暴行を受けて大きく失望したことは理解でき、背景にさまざまな事情がある悲しい事件ではある。しかし、警察や専門家に相談する手段もあったがしておらず、首や胸を何度も刺すなど強い殺意による犯行で決して許されない」と述べ、懲役8年を求刑しました。

一方、被告の弁護士は、「発達障害の長男を長年にわたって献身的にサポートしてきた。事件当日も、事件前に受けた暴行を思い起こさせるような死の恐怖を感じて、身を守るためにとっさにやむをえず殺害したが、いきさつや動機には同情の余地が大きい」と述べ、執行猶予のついた判決を求めました。
被告「祈りをささげるのが私の務め」
審理の最後に、熊澤被告は法廷の中央にある証言台の席に座るよう促されました。

裁判長から「これで審理を終わりますが何か言っておきたいことがありますか」と問われると、熊澤被告は「私は毎日、反省や悔悟(かいご)の思いで過ごしています。犯した罪の重大さは、十分に自覚しています。罪を償うことが私の大きな役目です。息子のために、毎日祈ってばかりいます。息子があの世で穏やかな日々を過ごせるよう、これからも祈りをささげるのが私の務めだと思っております」と述べました。

そして裁判長、検察官、それに弁護士に対して深く一礼をしてから法廷をあとにしました。

判決は、今月16日に言い渡されます。

判決での焦点は情状酌量
判決での大きな焦点は、「情状酌量」がどの程度、認められるかです。
1、情状酌量
弁護側は発達障害の長男を長年にわたって一生懸命支えてきたこと、事件の前に長男から暴力を振るわれ、殺されるという恐怖を感じたことから、身を守るためにやむをえず殺害したことをあげ、「同情の余地が大きい」と主張しています。

長男を発達障害と診断し、長男の生活状況について被告から話を聞いていた精神科医が弁護側の証人として出廷し、被告が長男の家庭内暴力だけでなく、妻のうつ病など複数の深刻な問題に対応していたと説明しました。

また、妻の証言によりますと、長女は、長男が原因で結婚が破談になり、その後、自殺したということです。

証言した精神科医は、これらの家庭内の問題を被告が1人で抱え込んでいたとして、「いつか燃え尽きてしまうのではと見守っていた。事件が起きたのは不可抗力の部分もあったのではないか」と述べました。

検察も論告でこうした事件の背景については、「長男の将来を心配して親身に対応していたにもかかわらず、暴行を受けて大きく失望したことは理解でき、背景にさまざまな事情がある悲しい事件ではある」としてある程度、理解は示しました。

こうした事情を被告にとって有利な事情としてどこまでくみ取り、情状酌量が認められるかが大きな焦点です。

2、殺意の強さは
法廷では検察と弁護側の間で「殺意の強さ」をめぐって争いがありました。

検察は、事件のおよそ1週間前に長男から暴行を受けてから事件までの間に、妻に対して「これしかほかに方法は無いと思います。英一郎も散骨してください」という長男の殺害を前提にした手紙を書いていたこと、予定していた旅行をキャンセルしたこと、さらにインターネットで「殺人罪」や「執行猶予」といったことばを検索していたことについて証拠を提出。

検察は「殺害することも考慮に入れながら過ごしていた」として、弁護側の「とっさの犯行」という主張とは争いがあります。

さらに、長男の遺体には首や胸を中心に少なくとも30か所以上、傷があり、何度も刺したとみられることもあげて、「強い殺意による犯行で決して許されない」と主張しました。

これに対して弁護側は「事件当日に死の恐怖を感じて身を守るためにとっさにやむをえず犯行に及んだ」と主張しています。

判決ではこうした点について裁判員がどのように判断するのかが注目されます。

検察側の主張
13日の裁判で、検察側が主張した主な内容は次のとおりです。

被告は、長男のすきをねらって一方的な攻撃を加えているうえ、傷は少なくとも30か所以上あり首や胸に集中していることから、強い殺意を持っていた。長男は、ツイッターの中で「家族がいるだけで安心だ」などと家族観について述べていたほか、被告のことをとくに尊敬していた。尊敬し、信頼していた父親から殺害された長男の無念は、察するにあまりある。

被告は、親からの支援を受けて生活を送っていたり、家庭内で暴力をふるったりしていた事実もあるが、背景として発達障害と診断されていた事情もあり、長男のことを強く責めることはできない。自分自身の境遇に悩みながらも生活を送っていた長男の人生を奪う権利は誰にもない。

被告は、「事件当日までの間、殺害については考えていなかった」と供述していたが、インターネットで「殺人」や「執行猶予」などと検索をしていたことなどを踏まえると、被告が、長男の殺害を選択肢の1つにしながら過ごしていたことは明らかだ。

被告が、長男の将来を心配して親身に対応してきたにもかかわらず、事件のおよそ1週間前に暴力を受けて、大きく失望したことは理解できる。しかし、そうしたいきさつがあったとしても、当時、長男を殺害するしかないほどに状況が切迫していたとはいえない。

今回の事件は、背景にさまざまな事情があった悲しい事件だといえる。しかし、事件よりももう少し前の段階で、被告自身が何かできなかったのか、ということもまた考えられる。

被告は長い間、国家公務員として、事務方のトップにまでのぼりつめたほか、日本を代表して大使まで務めていた。そのような経歴を持つ被告が、警察や行政機関、NPOなどの支援窓口の存在について十分な見識を持っていたことは間違いない。さらに被告は、同じように家庭内暴力や引きこもりに悩んでいる人たちと比べても恵まれた環境にあり、行政機関や専門家などに相談して現状を抜け出す手段はあったはずだが、そうした相談はしていなかった。

被告が、長男の将来を心配していたことや事件のあとに自首したことを考慮してもなお、強い殺意で長男の命を奪った刑事責任は重大であり、懲役8年を求刑する。

弁護士の最終弁論
一方、被告の弁護士が、最終弁論で述べた主な内容は次のとおりです。

被告はこれまで、妻がうつ病にかかり長女が自殺をしてしまう中でも、長男の就学、就業、身の回りの世話をして献身的に尽くしてきた。

しかし、事件のおよそ1週間前、長男から激しい暴行を受けてひどいけがをした。これによって被告は精神安定剤を飲まなければ体の震えが止まらないほどの恐怖を感じ、その日以降、妻とともに自宅の2階にこもる生活を送っていた。

暴行を受けたあと、親子関係は一変したといえるが、警察に突き出せば親子の関係性が崩れてしまい、その後も長男とともに生きていくことは困難だと被告は考えていた。

検察官が主張している、「事件前から長男の殺害を考えていた」とする事実はなく、被告は長男が、以前のような1人暮らしに戻れることを第一に考えていた。

今回の事件は、長男から受けた暴力に端を発して殺されると感じた被告が、身を守るためにとっさに犯行に及んだもので、本当に不幸な事件だ。

被告はいまも深く反省しているうえ、いきさつや動機には同情の余地が大きいといえる。弁護士は、執行猶予の付いた判決が妥当だと考えている。