随意契約って何?
よく聞く言葉ですが、良く分かんないと言われることが多いので
ちょっと自分用のメモとして整理してみます。
地方公共団体が行う契約は一般競争入札によることが原則ですが、
すべてを一般競争入札にすると事務が煩雑になってしまうため、例外を定めています。
鉛筆1本購入するのにいちいち一般競争入札をしていたらキリがありません。
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地方自治法
(契約の締結)
第二百三十四条
売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
2 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。
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自治体が行う契約の基本は一般競争入札ですが、政令に定める場合だけは
例外を認めるよ、ということです。
この政令というのは、「地方自治法施行令」という名前です。
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地方自治法施行令
第百六十七条の二
地方自治法第二百三十四条第二項 の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
一 売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(貸借の契約にあつては、予定賃貸借料の年額又は総額)が別表第五上欄に掲げる契約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。
二 不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。
三 障害者自立支援法 (平成十七年法律第百二十三号)第五条第十三項 に規定する障害者支援施設(以下この号において「障害者支援施設」という。)、同条第二十二項 に規定する地域活動支援センター(以下この号において「地域活動支援センター」という。)、同条第一項 に規定する障害福祉サービス事業(同条第七項 に規定する生活介護、同条第十五項 に規定する就労移行支援又は同条第十六項 に規定する就労継続支援を行う事業に限る。以下この号において「障害福祉サービス事業」という。)を行う施設若しくは小規模作業所(障害者基本法 (昭和四十五年法律第八十四号)第二条第一号 に規定する障害者の地域社会における作業活動の場として同法第十八条第三項 の規定により必要な費用の助成を受けている施設をいう。以下この号において同じ。)若しくはこれらに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者において製作された物品を普通地方公共団体の規則で定める手続により買い入れる契約、障害者支援施設、地域活動支援センター、障害福祉サービス事業を行う施設、小規模作業所、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 (昭和四十六年法律第六十八号)第四十一条第一項 に規定するシルバー人材センター連合若しくは同条第二項 に規定するシルバー人材センター若しくはこれらに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者から普通地方公共団体の規則で定める手続により役務の提供を受ける契約又は母子及び寡婦福祉法 (昭和三十九年法律第百二十九号)第六条第六項 に規定する母子福祉団体若しくはこれに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者(以下この号において「母子福祉団体等」という。)が行う事業でその事業に使用される者が主として同項 に規定する配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの及び同条第三項 に規定する寡婦であるものに係る役務の提供を当該母子福祉団体等から普通地方公共団体の規則で定める手続により受ける契約をするとき。
四 新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者が新商品として生産する物品を、普通地方公共団体の規則で定める手続により、買い入れる契約をするとき。
五 緊急の必要により競争入札に付することができないとき。
六 競争入札に付することが不利と認められるとき。
七 時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。
八 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。
九 落札者が契約を締結しないとき。
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これ読んでも普通の人は良く分かりません。
法令って分かりづらいです。わざとそうしてるのでしょうか
上の内容を簡単に書きます。
随意契約ができるときはこんなときです。
一 契約金額が少額
二 契約の性質や目的が競争入札に適しない
三 障害者が製作した物品、シルバー人材センターの役務提供とか
四 新商品
五 緊急で入札ができない
六 競争入札したほうが不利(中断した工事の再起工など)
七 著しく有利な価格で契約できる
八 入札したが落札者がない
九 落札者が契約しない
この一から九の理由のうち、実際には随意契約のほとんどが「一」の少額随契と呼ばれるものです。
少額っていくら?となりますが、この額は各市町村の規則で定めることになってます。
小樽市の場合、
一 工事又は製造の請負 130万円(印刷製本なども)
二 財産の買入れ 80万円(動産・不動産)
三 物件の借入れ 40万円
四 財産の売払い 30万円
五 物件の貸付け 30万円
六 その他 50万円(業務委託、車両修繕、役務提供)
と定められています。
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小樽市契約規則
(随意契約によることができる場合の予定価格)
第13条 令第167条の2第1項第1号に規定する規則で定める額は、次の各号に掲げる契約の種
類に応じ、当該各号に定める額とする。
一 工事又は製造の請負 130万円
二 財産の買入れ 80万円
三 物件の借入れ 40万円
四 財産の売払い 30万円
五 物件の貸付け 30万円
六 前各号に掲げるもの以外のもの 50万円
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随意契約は競争入札と比べて手続きが簡素で短時間でできる点や
小規模業者も算入しやすいというメリットがある反面、
効率や透明さの面に難点があるとされます。
監査委員がまとめた
平成23年度定期監査及び行政監査報告書においても
【行政監査の結果に係る所見】として、特に随意契約について次のように指摘しています。
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契約の締結においては、一般競争入札の方法によることが原則であり、
指名競争入札や随意契約は地方自治法施行令や地方公営企業法施行令に定める場合に
限定して認められているところです。
特に随意契約においては、契約の相手方が固定化されやすいなど、
公平さを欠くおそれもあることから、法令根拠や、その理由を明確に
しておく必要がありますが、依然としてこれらが整理されていないものが
見受けられたほか、見積通知書等で提示した条件と提出された見積書の内容が
不整合となっているものなど、毎年度繰り返し行われる契約事務について、
何ら疑問を持つことなく、漫然と前例を踏襲していると思われる事務処理が
多く見受けられ、現に業者の選定から契約の締結に至るまでの一連の事務手続についての
マニュアル等が存在しているにもかかわらず、それらが有効に機能しているとは
言い難い状況にあると思われます。
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この報告書ではこれ以外にも、契約事務において市全体として検討等を要すると思われる事項を
まとめて提言しています。
プロ意識をもって日々勉強、精進しなければ。
改めて思いました。