イビの広場は古くからウプリ ( 大下り ) といわれる
虫除けの行事が行なわれていた場所として知られている。
その南側にマイドウマリミツ ( 前泊道 ) に面して仕上世所跡がある。
仕上世所とは、本来薩摩への上納のことであるが、多良間では、
まとめて宮古の蔵元に納めていた。
その上納物の一時的納庫のことを 「 仕上世所 」 と言っていた。
その沖合いにはウプフッツーと称する場所がある。
私用のマーラン船などはンガーパマに出入りしたが、
公用船はウプフッツーに停泊して役人の乗り降りや
上納物の積み降ろしを行なっていたと伝えられている。
村からそこに通じる道が 「 多良間ションカニ 」 の歌詞に出て来るマイドウマリミツで、
ウエーンマたちは、その道を通って夫 ( 役人 ) の送り迎えをしていたのである。
また、人頭税制下の上納物は人力で仕上世所かに集積され、
さらにウプフッツーに停泊している船まで人力で運び込まれた。
仕上世所跡の北側に近接して南北1.5m、東西5m、高さ1mの高台があり、
その高台に役人が座して見張りをして指示命令をしたり、
大下り行事の 「 改 ( 人員点呼 ) 」 なども行っていたと伝えられている。