小石原から英彦山方面へ向かう峠に達すると見事な杉の巨木群が現れる。
樹齢200年から600年、約4.68haにわたる375本の杉の巨木群を、行者杉 ( ぎょうじゃすぎ ) と言い、
修験道が盛んだった頃、小石原は英彦山に修験者が峰入りするための重要な修行の場であった。
修験者は峰入りする際に杉の穂を植える習わしがあり、その杉が長い年月をかけて育ったもので、
人々はこの大木を 「 行者杉 」 と呼び親しんでいる。
修験者にとって杉は、大きく成長して樹齢が長く、魂が宿ると信じられている。
行者杉の中でも 「 大王杉 」 と名付けられた巨木は、幹回り約8.3m、樹高約55mあり、
林野庁の 「 森の巨人たち百選 」 に選定されている。
「 大王杉 」 の他にも、 「 霊験杉 」 や 「 境目杉 」 、 「 鬼杉 」 など、
行者堂周辺は修験道の聖地にふさわしい霊験あらたかな大樹の森である。
行者杉が属する英彦山は、古来より神聖な山として信仰を集め、
日本三大修験の霊場 ( 吉野・熊野・英彦山 ) のひとつに数えられている。
春峰は、2月15日に始まり4月10日に終える英彦山から宝満山までの峰入修行で、
小石原皿山の 「 行者堂 」 は重要な修行場で、行者杉は身を清める行をした時に、
行者が献木 ( 挿し穂 ) したものである。
またこの杉木立の中に修験の始祖、役行者の木彫が安置されている行者堂や
石積みの護摩壇、香水池などの修験道に関する遺構や遺跡が残され、
当時の面影を今に伝えている。