Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

栄枯盛衰に耳を傾ける

2007-07-08 | 雑感
オペラ歌手クレスパン死去に関連してヴァーグナーの四部作「ニーベルンゲンの指輪」を聴く。フォン・カラヤンが、バイロイト音楽祭に対抗して行なった一連のザルツブルクでの公演初日を開けた第一夜「ヴァルキューレ」である。

第二夜の楽劇「ジークフリート」がこのプロジェクトの録音では最も好みでよく聴いていたが、これもベルリンの交響楽団の実力が発揮されていて、素晴らしく精緻な演奏をしている。休憩が無いことから前夜祭の楽劇「ラインの黄金」を取りやめして、バイロイトの深いピットでは指揮者が見えないと喧嘩別れしたこの指揮者としては、意外なほど外連味の無い驚くほど音楽的に生真面目な録音となっている。

お目当てのクレスパンのブリュンヒルデも違和感無いアーティキュレーションを、音楽的律動を重視する事によって、達成していて大変良い。些か、ながれてしまう箇所もあるようだが、オーケストラの主導権を握るような箇所もあり立派である。

「ニーベルンゲンの歌」の舞台や成立背景をネットなどで調べるうちに、ミッテルライン地方の面白い歴史的背景が見えてくる。この物語が、様々な史実などを寄せ集めて文書化される13世紀までに吟遊詩人などによって語られていたことは知られている。その中でも、特にブルグンダー朝の栄枯が重要な話の基になっていることは知られている。

ドナウをヴィーンへと抜けるフランク王国の兄弟喧嘩などと共に、どうも、現在当地で上映中の映画「アッティラ」率いるフン族によるライン河に広がるブルグンダー朝の土地の征服に因む「神々の黄昏」が大きな影を落としているようである。

そして、そのような話を吟遊詩人から興味津々に聴いていたのが、ラインの古城に居座る俗に言う野武士達だとしたら出来すぎであろうか。これらの古城の多くは、マインツを中心とする教会権力が増してからその一部が海賊化して、ライン河を航行する船荷から税を強制的に徴収していたことから、都市の自治団協がこれに対抗して覇権を争そった。その後、教会権力などにより制圧される。そのように考えると、まさに「権力と興亡」を扱うこの物語に真剣に耳を傾ける野武士と吟遊詩人の姿が旨く浮かび上がるではないか。

そのブルグンダーは、アレマン地方の現在のスイスの一部を含むフランスのサヴォヤから南フランスへと移住していく。因みにレジーヌ・クレスパンはイタリア人とフランス人の間に生まれた。八十歳であった。



参照:骨肉の争いの経験と記憶 [ 生活 ] / 2007-06-10
コメント (2)
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