黄色い茸ソースにワインを合わせた。豚肉には白ワインが良いのだが、クリーム仕込みのソースには酸の強いリースリングは難しい。そこで選んだのがシュペートブルグンダー種つまりピノノワールの葡萄で作った赤ワインである。
幸運なことに記録的な猛暑で偉大なドイツ赤ワインのヴィンテージとなった2003年産のワインが手に入った。それを一本空けてとことん品定めとした。
シュペートブルグンダーに関しては、ライン平野の丁度反対側になるハイデルベルクを通るベルクシュトラーセワインが、最も素晴らしいと思っているのだが、地元のそれも、ワイン街道沿いの地所の一部はブルゴーニュ風の水捌けの良い砂地に土地改良されていて、ここ数年目覚しい成果を示している。
十年以上前は甘口で重いドルンフェルダーが主力であったことを考えると雲泥の差がある。辛口でのボディー感がありながら複雑なワインがそこかしこで出来てきている矢先の極暑の夏の訪れは、ドイツ赤ワインを飛躍的にレヴェルアップさせた。
今後もドイツ赤ワインが語られるとき、この年はエポックメーキングな年となるだろう。そのような理由で2003年の赤ワインは軒並み売り切れて、特別な価値がついているので、今頃熟成を待って瓶詰めされるワインは偉大と言うしかない。
通常は、木樽に入れられているとどうしても弱まり円くなり過ぎるのだが、それが感じられない強さと、円やかな酸味があるのだ。
タンニンが少ない印象から、これをフルボディーとか偉大なワインとか言う者は皆無であろうし、実際にそれが熟れるまで待つ必要も無く今直ぐ最高に楽しめるワインとなっている。この食事のこのワインに文句を付ける者は皆無であろう。
特にその香味は、スパイシーであり白檀と言うか辛気臭くも全く有り難い香りで、まさに教会のお香を思い起こさせる。それもその筈、収穫された地所はカペレンベルク (礼拝堂の山)なのである。
色も粘度も十分にあり、偉大なヴィンテージの夏を思い起こさせると同時に、二日後でも楽しめる強さがそれを証明していた。公平に見て、その繊細さでは、コートドールの南よりの地域におけるピノノワールを凌駕しているとしても非難されることはないだろう。その反面、タンニンの力強さは無いが、一般的に魅力の薄いボーニュ周辺のワインに比べても16ユーロは大分高価なのではないか。
ただし、明らかにブルゴーニュワインのピノノワールには味わえないシュペートブルグンダーの果実風味と清潔な構築感は、今後温暖化が進む中で世界市場で愛好者が出てくるようにも思われる。それも、ブルゴーニュに地形的に似ているワイン街道のミッテルハールトにおいてさえも、以前はリースリングを栽培していたような優れた土壌で、乾いたミクロ気象の地所の土地改良を進めているので、― 従来は隙間産業的に外れたモノトニックな土壌を使って栽培されたいやに高いアルコール含有に達した過剰熟成の無骨なドイツ赤ワインとは一味違う ― 果実風味豊かな繊細且つ複雑感をもったシュペートブルグンダーが登場すると予想される。その意味からも2003年は、シュペートブルグンダーのワインにとって、エポックメーキングなヴィンテージであったのだ。
十日ほど先に、よりタンニンの強いワインを試飲することとなっているので、それを比較評価して、改めて紹介したい。そのように考えると買いそびれたワインが、今頃どのようになっているのかと思わずにはいられない。
参照:
ワイン三昧 第四話 '06
[ ワイン ] / 2006-05-07
ワイン三昧 第二話 '05II
[ ワイン ] / 2005-11-04
幸運なことに記録的な猛暑で偉大なドイツ赤ワインのヴィンテージとなった2003年産のワインが手に入った。それを一本空けてとことん品定めとした。
シュペートブルグンダーに関しては、ライン平野の丁度反対側になるハイデルベルクを通るベルクシュトラーセワインが、最も素晴らしいと思っているのだが、地元のそれも、ワイン街道沿いの地所の一部はブルゴーニュ風の水捌けの良い砂地に土地改良されていて、ここ数年目覚しい成果を示している。
十年以上前は甘口で重いドルンフェルダーが主力であったことを考えると雲泥の差がある。辛口でのボディー感がありながら複雑なワインがそこかしこで出来てきている矢先の極暑の夏の訪れは、ドイツ赤ワインを飛躍的にレヴェルアップさせた。
今後もドイツ赤ワインが語られるとき、この年はエポックメーキングな年となるだろう。そのような理由で2003年の赤ワインは軒並み売り切れて、特別な価値がついているので、今頃熟成を待って瓶詰めされるワインは偉大と言うしかない。
通常は、木樽に入れられているとどうしても弱まり円くなり過ぎるのだが、それが感じられない強さと、円やかな酸味があるのだ。
タンニンが少ない印象から、これをフルボディーとか偉大なワインとか言う者は皆無であろうし、実際にそれが熟れるまで待つ必要も無く今直ぐ最高に楽しめるワインとなっている。この食事のこのワインに文句を付ける者は皆無であろう。
特にその香味は、スパイシーであり白檀と言うか辛気臭くも全く有り難い香りで、まさに教会のお香を思い起こさせる。それもその筈、収穫された地所はカペレンベルク (礼拝堂の山)なのである。
色も粘度も十分にあり、偉大なヴィンテージの夏を思い起こさせると同時に、二日後でも楽しめる強さがそれを証明していた。公平に見て、その繊細さでは、コートドールの南よりの地域におけるピノノワールを凌駕しているとしても非難されることはないだろう。その反面、タンニンの力強さは無いが、一般的に魅力の薄いボーニュ周辺のワインに比べても16ユーロは大分高価なのではないか。
ただし、明らかにブルゴーニュワインのピノノワールには味わえないシュペートブルグンダーの果実風味と清潔な構築感は、今後温暖化が進む中で世界市場で愛好者が出てくるようにも思われる。それも、ブルゴーニュに地形的に似ているワイン街道のミッテルハールトにおいてさえも、以前はリースリングを栽培していたような優れた土壌で、乾いたミクロ気象の地所の土地改良を進めているので、― 従来は隙間産業的に外れたモノトニックな土壌を使って栽培されたいやに高いアルコール含有に達した過剰熟成の無骨なドイツ赤ワインとは一味違う ― 果実風味豊かな繊細且つ複雑感をもったシュペートブルグンダーが登場すると予想される。その意味からも2003年は、シュペートブルグンダーのワインにとって、エポックメーキングなヴィンテージであったのだ。
十日ほど先に、よりタンニンの強いワインを試飲することとなっているので、それを比較評価して、改めて紹介したい。そのように考えると買いそびれたワインが、今頃どのようになっているのかと思わずにはいられない。
参照:
ワイン三昧 第四話 '06
[ ワイン ] / 2006-05-07
ワイン三昧 第二話 '05II
[ ワイン ] / 2005-11-04