元旦は、ノイヤースコンツェルトを観ながら、ワインを開けた。魚尽くしのつまみでのブランチである。その内容は、あとで述べるとして先ずは忘れない内に、その快い酔いのなかで観た二つのTVプログラムについて記しておく。
ラインホルト・メスナーがアルプスのヴィーンに発する西部から中部までの谷を廻る番組三回目を観ようとスイッチをいれると、地元のワイン街道を紹介する四十五分番組が前番組としてドイツ第一放送で全国的に流された。顔見知りが全部で七人以上、各々の町で登場していて、緊急録画が欠かせなかった。
In de Palz geht de Parre mit de Peif in die Kärsch.
「プファルツでは、プファイフ(煙管)を持って、プファーラー(牧師)が教会へ行くよ」
これを実践する地元方言で説教するオトマール・フィッシャー牧師が紹介されて、その親譲りのワインの農作業風景までが映されていた。城跡リンブルクでは、ケルトの遺跡の発掘風景やまた隣の山城では昔のように再び羊などが放牧され、またヴァハテンブルク城の足元では身障者が完ぺき主義で丹念な仕事をするワイン農業風景が映し出される。
そしてワイン栽培の大きな波であるバイオ農業に絡んで、ブュルックリン・ヴォルフの取り組みなどが紹介される。それに因んで、馬を使った土地改良作業などが映され、効果が出るかどうかはやって見ないと判らないと言う暢気さが、大変な田舎のように見えるから面白い。当然の事ながら土壌が全てであることが当主から語られる。
伝統的競り市を仕切る酒場ヴォイバウワーの親仁さんなどや日本の陶器を参考にした陶磁家やダイデスハイムの芸術家達の登場も断わっておく必要があるが、何よりも注目されたのはワイン畑を仕切る石垣のプロジェクトが、失業対策ともなり企業としてもなりたって来ている事実である。その伝統的な石積みが、バイオ農業のみならず社会事業ともなっている視点は、本命の後番組でラインホルト・メスナーが定義したアルプスの今後にも反映されていた。
メスナーは、「アルプスは、元々敵から逃れ身を護る人々の自然の防御壁として大きな意味を持っていたが、時代は観光と呼ばれる産業として、今度は町の人間を迎えるための観光資本となった」と語る。そして将来を考えると、アルプスの人は、その生活を、劇的な環境変化の中で、頑なに護りながら、如何に生きていけるかと言う疑問である。この登山家でEU議会の議員は、三つ目の選択を挙げる。今まで進められてきたような観光化とその影の観光化されずに滅びて行く村に、従来の山村を維持する第三の道を挙げる。そのためにはとして最低700人の住人が必要と言われる。一例としてハイジの谷で酪農を営む家族の生活の通学などの不便などの問題が語られ、またその高い高度で酪農される飼料の有利さから最上質のチーズ等が生産されることが示され、そこでは今後の可能性が継続の不安と共に模索される。
こうして二つの番組を通じて、グローバル化される世界の中で地域の特性であるものが、その中で生き残るための生活の基礎である産業力を持った経済が、如何に存在し得るかの示唆が与えられた。それは、昨日取り上げた、ドイツ大統領の言う、グローバル化の中での本質的な問いかけと大転換期に置ける問題解決への人類の智恵と可能性の尊重と実証に他ならない。
もう一つ忘れてならなかったのは、元祖ザウマーゲンのお店取材で、僅か5%の油脂と天然素材の香辛料の質に懸ける若旦那の商品説明は、如何にこのBLOGでの適当なお話がグローバル化した世界での生活のあり方と密接に結びついているかを、元旦のワイン街道紹介番組のなかで、証明していた。
参照:
Die Pfalz (SWR) /Dienstag, 1. Januar 2008, 16.10 Uhr im Ersten
Messners Alpen (SWR), 3. Vom Eiger zum Matterhorn /16.55 Uhr im Ersten
ケーラー連邦大統領の目 [ マスメディア批評 ] / 2008-01-02
ラインホルト・メスナーがアルプスのヴィーンに発する西部から中部までの谷を廻る番組三回目を観ようとスイッチをいれると、地元のワイン街道を紹介する四十五分番組が前番組としてドイツ第一放送で全国的に流された。顔見知りが全部で七人以上、各々の町で登場していて、緊急録画が欠かせなかった。
In de Palz geht de Parre mit de Peif in die Kärsch.
「プファルツでは、プファイフ(煙管)を持って、プファーラー(牧師)が教会へ行くよ」
これを実践する地元方言で説教するオトマール・フィッシャー牧師が紹介されて、その親譲りのワインの農作業風景までが映されていた。城跡リンブルクでは、ケルトの遺跡の発掘風景やまた隣の山城では昔のように再び羊などが放牧され、またヴァハテンブルク城の足元では身障者が完ぺき主義で丹念な仕事をするワイン農業風景が映し出される。
そしてワイン栽培の大きな波であるバイオ農業に絡んで、ブュルックリン・ヴォルフの取り組みなどが紹介される。それに因んで、馬を使った土地改良作業などが映され、効果が出るかどうかはやって見ないと判らないと言う暢気さが、大変な田舎のように見えるから面白い。当然の事ながら土壌が全てであることが当主から語られる。
伝統的競り市を仕切る酒場ヴォイバウワーの親仁さんなどや日本の陶器を参考にした陶磁家やダイデスハイムの芸術家達の登場も断わっておく必要があるが、何よりも注目されたのはワイン畑を仕切る石垣のプロジェクトが、失業対策ともなり企業としてもなりたって来ている事実である。その伝統的な石積みが、バイオ農業のみならず社会事業ともなっている視点は、本命の後番組でラインホルト・メスナーが定義したアルプスの今後にも反映されていた。
メスナーは、「アルプスは、元々敵から逃れ身を護る人々の自然の防御壁として大きな意味を持っていたが、時代は観光と呼ばれる産業として、今度は町の人間を迎えるための観光資本となった」と語る。そして将来を考えると、アルプスの人は、その生活を、劇的な環境変化の中で、頑なに護りながら、如何に生きていけるかと言う疑問である。この登山家でEU議会の議員は、三つ目の選択を挙げる。今まで進められてきたような観光化とその影の観光化されずに滅びて行く村に、従来の山村を維持する第三の道を挙げる。そのためにはとして最低700人の住人が必要と言われる。一例としてハイジの谷で酪農を営む家族の生活の通学などの不便などの問題が語られ、またその高い高度で酪農される飼料の有利さから最上質のチーズ等が生産されることが示され、そこでは今後の可能性が継続の不安と共に模索される。
こうして二つの番組を通じて、グローバル化される世界の中で地域の特性であるものが、その中で生き残るための生活の基礎である産業力を持った経済が、如何に存在し得るかの示唆が与えられた。それは、昨日取り上げた、ドイツ大統領の言う、グローバル化の中での本質的な問いかけと大転換期に置ける問題解決への人類の智恵と可能性の尊重と実証に他ならない。
もう一つ忘れてならなかったのは、元祖ザウマーゲンのお店取材で、僅か5%の油脂と天然素材の香辛料の質に懸ける若旦那の商品説明は、如何にこのBLOGでの適当なお話がグローバル化した世界での生活のあり方と密接に結びついているかを、元旦のワイン街道紹介番組のなかで、証明していた。
参照:
Die Pfalz (SWR) /Dienstag, 1. Januar 2008, 16.10 Uhr im Ersten
Messners Alpen (SWR), 3. Vom Eiger zum Matterhorn /16.55 Uhr im Ersten
ケーラー連邦大統領の目 [ マスメディア批評 ] / 2008-01-02