不思議なことではない。独日協会の新年会で、既に通常に生活した期間は生まれ故郷よりもこちらの方が長くなりかけていることに、改めて思い知らされる。
日系米国人が、スライドで映されている日本の映像をみて郷愁はないかと訊ねるので、「エキゾティックでしかない」と答えた。どうも不思議なことに旧ソウル生まれの彼には郷愁があるようだ。
一つには、知っているつもりで知らないことが多すぎるのと、また一つには知らぬ内に時代が変わって仕舞っていることに気が付かない場合もある。知らない明日香などを含む地方の情景や宇治周辺の美術館などの写真を見ても全く分からないのと、箱根や日光や水戸や益子の情景を見てなんとか想像できる状況がが入り混じる。
絵に描かれているのが有名な女性だと見せられて、清少納言が直ぐに出て来ないで、小野妹子などとお馬鹿さんな返答しかできないで失笑を買うのである。そのアジア趣味の人物が創作した米ゴマトルテは、写真の通りの代物である。
中には鱈のマリネーとカボチャが挟まれている。米は好みの別れるスシ米が敢えて避けられて味付けもなくもちゃもちゃとしていた。寿司でも無くサラダでもないので食べ方に困った。醤油をぶっ掛けて、粉山葵をつけるにはしのびなく、批評として、「米を炊く時に薄塩で味を付けろ」とアドヴァイスしておいた。
こうした米の食べ方は、個人の記憶を越えた文化的な記憶の一つと感じたのである。もう一つ面白かったのは、鎌倉の発音を尋ねられて、それは流石に米国流のアクセントはおかしいとバイエルン方言のその質問者に答えておいた。上の日系人に言わせると日本語はフラットに発音するべきだと言うのだが、どうだろう?
上のスライド映写の中にて、大根を干してある歳時記のような風景など多くの興味深く、美しい風景が散りばめられていた。そうした情景を絵葉書的と言うか、観光写真風と言うかは判断が難しい。しかし、有り余る観光資源が日本には存在していて、保護されているのも事実であろう。晴海周辺や隅田川の河口風景なども未知でなかなか面白かった。
東京と言うとそこを絶賛する北ドイツ出身の女性に先日初めてあった。日本の自動車会社から招聘されていた技術者のご主人に付いて最近二年ほど東横線沿線で生活したらしい。特に、渋谷界隈がお目当てのお出かけ先で、浅草や六本木周辺も悪くはないと言っていた。行動範囲の問題もあるのだろうが、時代性もあるのかと考える。それでも、人ゴミ嫌いの当方にとっては、珍しい人もいる者だと言うのが偽らざる印象であった。
東京のような都市がドイツにはないのは周知だが、ロンドンやパリなどは一極集中でそれに近い。しかし、彼女の言うようなカオスと活力と言うことでは、上海の方が遥かに面白いと思うのだがどうだろう。夏はドイツに帰っていて、東京を知らないと言うから最後に納得した。
上の日系米国人が、風花のことを鼻風邪と言った。それがどういうものかは少なくともこちらには分かった。
パン食でも米国とはこれ如何に?
米を食してジャパンと言うが如し。 福田赳夫
日系米国人が、スライドで映されている日本の映像をみて郷愁はないかと訊ねるので、「エキゾティックでしかない」と答えた。どうも不思議なことに旧ソウル生まれの彼には郷愁があるようだ。
一つには、知っているつもりで知らないことが多すぎるのと、また一つには知らぬ内に時代が変わって仕舞っていることに気が付かない場合もある。知らない明日香などを含む地方の情景や宇治周辺の美術館などの写真を見ても全く分からないのと、箱根や日光や水戸や益子の情景を見てなんとか想像できる状況がが入り混じる。
絵に描かれているのが有名な女性だと見せられて、清少納言が直ぐに出て来ないで、小野妹子などとお馬鹿さんな返答しかできないで失笑を買うのである。そのアジア趣味の人物が創作した米ゴマトルテは、写真の通りの代物である。
中には鱈のマリネーとカボチャが挟まれている。米は好みの別れるスシ米が敢えて避けられて味付けもなくもちゃもちゃとしていた。寿司でも無くサラダでもないので食べ方に困った。醤油をぶっ掛けて、粉山葵をつけるにはしのびなく、批評として、「米を炊く時に薄塩で味を付けろ」とアドヴァイスしておいた。
こうした米の食べ方は、個人の記憶を越えた文化的な記憶の一つと感じたのである。もう一つ面白かったのは、鎌倉の発音を尋ねられて、それは流石に米国流のアクセントはおかしいとバイエルン方言のその質問者に答えておいた。上の日系人に言わせると日本語はフラットに発音するべきだと言うのだが、どうだろう?
上のスライド映写の中にて、大根を干してある歳時記のような風景など多くの興味深く、美しい風景が散りばめられていた。そうした情景を絵葉書的と言うか、観光写真風と言うかは判断が難しい。しかし、有り余る観光資源が日本には存在していて、保護されているのも事実であろう。晴海周辺や隅田川の河口風景なども未知でなかなか面白かった。
東京と言うとそこを絶賛する北ドイツ出身の女性に先日初めてあった。日本の自動車会社から招聘されていた技術者のご主人に付いて最近二年ほど東横線沿線で生活したらしい。特に、渋谷界隈がお目当てのお出かけ先で、浅草や六本木周辺も悪くはないと言っていた。行動範囲の問題もあるのだろうが、時代性もあるのかと考える。それでも、人ゴミ嫌いの当方にとっては、珍しい人もいる者だと言うのが偽らざる印象であった。
東京のような都市がドイツにはないのは周知だが、ロンドンやパリなどは一極集中でそれに近い。しかし、彼女の言うようなカオスと活力と言うことでは、上海の方が遥かに面白いと思うのだがどうだろう。夏はドイツに帰っていて、東京を知らないと言うから最後に納得した。
上の日系米国人が、風花のことを鼻風邪と言った。それがどういうものかは少なくともこちらには分かった。
パン食でも米国とはこれ如何に?
米を食してジャパンと言うが如し。 福田赳夫