クリスマスから何末年始に数多くのワインを開けたので、これを機会にワインなどの点数評価のその馬鹿らしさを新春放言としよう。題して、「よー、観てみよー」である。
先ずは有名ドイツワイン評価本で上位に並ぶ醸造所からこき下ろしておこう。当方の基準は至って簡単である。食事時に飲めて誰もが旨いと言うワインもしくはその評価に納得させられるワイン。そのようなワインは、個人の好みがあって本命に対して当て馬があるだけで、評価自体は好みなどによってあまり変わらないものなのだ。比較するとは、結局二つの物を天秤に掛けて行く方法なので、最終的には二つを比べる事になる。論理的に正しい。それ以上に存在する必要はない。
それでも、需要とは上手く出来ていて、どんなに高かろうが安かろうが、不味いものは誰も買わない。つまり、「買われる」商品 ― 売れるではない ― は好みに合う商品である。要するに趣向に拘らず良いワインなのである。そこから、その該当醸造所で何本のワインを買う事が出来るかで上手いワインを作る醸造所のランク付けが出来る。
さて最高の五つ房を誇るレープホルツ醸造所で、2007年産で購入出来るワインは、グランクリュワインは試していないが、三種ぐらいではないかと思われる。先日開けた雑食砂岩土壌で育った遅摘み葡萄で作ったリースリングは期待外れで、キャビネットの新鮮さの清澄さが無く、試飲会で飲んだグランクリュの熟れた味に近くなっている。まだこれから開くのだろうが、つまらないワインである。レープホルツのワインはキャビネットなどを早めに飲むものだろう。
ラインガウどころかドイツで最も評価の高いロバートヴァイル醸造所では、二種類が精々だろうか。なるほど清潔感も欠けないが、それ以上のものは殆どない。もちろんグランクリュなどは今後二種類となるが、それ以外ほとんど土壌の差もなく同じ傾向のワインから選ぶ事になる。
四つ房に目をやると、VDP会長のA・クリストマン醸造所がある。代表的な地所がイーディックだが、ピノノワールは万人向きだがリースリングはマニア向きであまり人には奨められない。マンデルガルテンは愛好家も多いはずだが、天然酵母に拘るあまり味が洗練されない。ここも赤と白で二種が良いところだろう。
同じように90年代に最もドイツで注目された醸造所ミュラー・カトワールは、そのような田舎臭さを除いて繊細さを出したシュヴァルツ親方で良いリースリングを輩出したが、今に残るようなワインは殆どない。その後は、どうしても重くなりがちなリースリングで、やはり二種類ほどしか買えないだろう。
さて、名門のバッサーマン・ヨルダン醸造所は、グランクリュも力強く、キャビネットでも買えるものがある。独特の古い樽から溢れるような味と近代的な繊細さの両グループのリースリングを上質の地所から輩出していて、今後とも少なくとも四種類ほどは間違いなく推奨できる。
同じく名門ビュルックリン・ヴォルフ醸造所は、最上級の地所の区画が他の名門に比べ特別優れていなく、尚且つ本拠を砂岩質のヴァッヘンハイムに構えている事から、腕を磨いた分が醸造のノウハウとなっていて、その規模といい何時までも新鮮に飲める長持ちワインに溢れている。売りきれる前に購入出来れば五種類以上は間違いなく購入出来て、ドイツでも例をみない飛びぬけて高品質なワインを供出する醸造所であるには間違いない。その価格から五本買えるかどうかが問題である。
ゲオルク・モスバッハー醸造所は、VDP加入前の90年代初めから観察しているが、徐々に力を付けつつあり、良いグランクリュワインを供給できるようになって来ている。ただ、まだまだ品質にばらつきがあり、三種類と言った感じだろう。
三つ房のついているなかでは、フォン・ブール醸造所が今最も注目される現代的なリースリングを作っている。あまり長持ちはせずに細身であるが、その清潔感から現時点で四種類は買えるのではないかと思われる。
二つ房のフォン・ジムメルン醸造所は、名うての地所バイケンを初めとして三種類は買えるだろう。それほど長持ちはしないかも知れないが、ボディー感も清潔感も程よくバランスが取れていて、グランクリュも悪くはない。
ホッホハイムのヴァルナー醸造所も二種類ほど買えてお隣のより大きいキュンストラー醸造所と変わらない。
クリスマスに、今年の注目の醸造所として推薦されていたクニプサー醸造所の2005年産クヴェーXを貰ったので試した。ハーフボトルに恐らくメルローとカヴェルネ類のボルドー風ブレンドが入っていて良く熟れていたが、どうだろう態々買うほどのものではなかった。
ゲオルク・モスバッハーのソーヴィニオン・ブランは夏の終わりにつまらない思いをしたが、今や大変纏まって良くなっていた。その香りは、ピーチネクターのそれそのもので、最初の印象から大きく成長していた。それとは反対に、楽しみに寝かせていたバサルトは若干の熟成感と残糖感が出ている割りに、今一つ玄武岩の開いた香りが出ていない。もう後二本を調べてみなければいけないが、あまり関心しなかった。
最も失望したのが、レープホルツ醸造所の雑食砂岩シュペートレーゼで、そのキャビネットの美味さとは違って、泥臭く、ここのリースリングは軽い物を早飲み過ぎるに限ると思わせた。要するに所有する土壌がその程度なのである。
前回飲んだときが最悪であったのでそれほど失望しなかったのが、クリストマン醸造所のフラッグシップ「イーディック」の格落ち版SCである。流石にワインらしく落ち着いて来ているが、試飲した当時の新鮮さを補充するだけの長所はまだ見えない。
こうした評価本の価値は、無名の醸造所に光を当てることにあって、それ以外の名門の動向は固定客なら分かっていて、所詮良い土地を所有しているか否かが高級リースリングの総てであるので、評価などは不必要と言っても構わないだろう。正直、上に挙げた醸造所のワインは殆ど総て試飲しており、編集者よりは多少なりとも知っているつもりだ。
もう一つ、高級リースリングのそこから出来る土壌に関しては、モーゼルのスレート、プファルツの雑食砂岩、そしてラインガウ以上にまともな土壌は無い事だけを明確に言及しておきたい。
参照:
Bewertung | Unsere Besten,
GAULT MILLAU WeinGuide 2009 - Pressemitteilung (GAULT MILLAU WeinGuide)
ゴーミヨーのWein Guide Deutschland 2009 (新・緑家のリースリング日記)
先ずは有名ドイツワイン評価本で上位に並ぶ醸造所からこき下ろしておこう。当方の基準は至って簡単である。食事時に飲めて誰もが旨いと言うワインもしくはその評価に納得させられるワイン。そのようなワインは、個人の好みがあって本命に対して当て馬があるだけで、評価自体は好みなどによってあまり変わらないものなのだ。比較するとは、結局二つの物を天秤に掛けて行く方法なので、最終的には二つを比べる事になる。論理的に正しい。それ以上に存在する必要はない。
それでも、需要とは上手く出来ていて、どんなに高かろうが安かろうが、不味いものは誰も買わない。つまり、「買われる」商品 ― 売れるではない ― は好みに合う商品である。要するに趣向に拘らず良いワインなのである。そこから、その該当醸造所で何本のワインを買う事が出来るかで上手いワインを作る醸造所のランク付けが出来る。
さて最高の五つ房を誇るレープホルツ醸造所で、2007年産で購入出来るワインは、グランクリュワインは試していないが、三種ぐらいではないかと思われる。先日開けた雑食砂岩土壌で育った遅摘み葡萄で作ったリースリングは期待外れで、キャビネットの新鮮さの清澄さが無く、試飲会で飲んだグランクリュの熟れた味に近くなっている。まだこれから開くのだろうが、つまらないワインである。レープホルツのワインはキャビネットなどを早めに飲むものだろう。
ラインガウどころかドイツで最も評価の高いロバートヴァイル醸造所では、二種類が精々だろうか。なるほど清潔感も欠けないが、それ以上のものは殆どない。もちろんグランクリュなどは今後二種類となるが、それ以外ほとんど土壌の差もなく同じ傾向のワインから選ぶ事になる。
四つ房に目をやると、VDP会長のA・クリストマン醸造所がある。代表的な地所がイーディックだが、ピノノワールは万人向きだがリースリングはマニア向きであまり人には奨められない。マンデルガルテンは愛好家も多いはずだが、天然酵母に拘るあまり味が洗練されない。ここも赤と白で二種が良いところだろう。
同じように90年代に最もドイツで注目された醸造所ミュラー・カトワールは、そのような田舎臭さを除いて繊細さを出したシュヴァルツ親方で良いリースリングを輩出したが、今に残るようなワインは殆どない。その後は、どうしても重くなりがちなリースリングで、やはり二種類ほどしか買えないだろう。
さて、名門のバッサーマン・ヨルダン醸造所は、グランクリュも力強く、キャビネットでも買えるものがある。独特の古い樽から溢れるような味と近代的な繊細さの両グループのリースリングを上質の地所から輩出していて、今後とも少なくとも四種類ほどは間違いなく推奨できる。
同じく名門ビュルックリン・ヴォルフ醸造所は、最上級の地所の区画が他の名門に比べ特別優れていなく、尚且つ本拠を砂岩質のヴァッヘンハイムに構えている事から、腕を磨いた分が醸造のノウハウとなっていて、その規模といい何時までも新鮮に飲める長持ちワインに溢れている。売りきれる前に購入出来れば五種類以上は間違いなく購入出来て、ドイツでも例をみない飛びぬけて高品質なワインを供出する醸造所であるには間違いない。その価格から五本買えるかどうかが問題である。
ゲオルク・モスバッハー醸造所は、VDP加入前の90年代初めから観察しているが、徐々に力を付けつつあり、良いグランクリュワインを供給できるようになって来ている。ただ、まだまだ品質にばらつきがあり、三種類と言った感じだろう。
三つ房のついているなかでは、フォン・ブール醸造所が今最も注目される現代的なリースリングを作っている。あまり長持ちはせずに細身であるが、その清潔感から現時点で四種類は買えるのではないかと思われる。
二つ房のフォン・ジムメルン醸造所は、名うての地所バイケンを初めとして三種類は買えるだろう。それほど長持ちはしないかも知れないが、ボディー感も清潔感も程よくバランスが取れていて、グランクリュも悪くはない。
ホッホハイムのヴァルナー醸造所も二種類ほど買えてお隣のより大きいキュンストラー醸造所と変わらない。
クリスマスに、今年の注目の醸造所として推薦されていたクニプサー醸造所の2005年産クヴェーXを貰ったので試した。ハーフボトルに恐らくメルローとカヴェルネ類のボルドー風ブレンドが入っていて良く熟れていたが、どうだろう態々買うほどのものではなかった。
ゲオルク・モスバッハーのソーヴィニオン・ブランは夏の終わりにつまらない思いをしたが、今や大変纏まって良くなっていた。その香りは、ピーチネクターのそれそのもので、最初の印象から大きく成長していた。それとは反対に、楽しみに寝かせていたバサルトは若干の熟成感と残糖感が出ている割りに、今一つ玄武岩の開いた香りが出ていない。もう後二本を調べてみなければいけないが、あまり関心しなかった。
最も失望したのが、レープホルツ醸造所の雑食砂岩シュペートレーゼで、そのキャビネットの美味さとは違って、泥臭く、ここのリースリングは軽い物を早飲み過ぎるに限ると思わせた。要するに所有する土壌がその程度なのである。
前回飲んだときが最悪であったのでそれほど失望しなかったのが、クリストマン醸造所のフラッグシップ「イーディック」の格落ち版SCである。流石にワインらしく落ち着いて来ているが、試飲した当時の新鮮さを補充するだけの長所はまだ見えない。
こうした評価本の価値は、無名の醸造所に光を当てることにあって、それ以外の名門の動向は固定客なら分かっていて、所詮良い土地を所有しているか否かが高級リースリングの総てであるので、評価などは不必要と言っても構わないだろう。正直、上に挙げた醸造所のワインは殆ど総て試飲しており、編集者よりは多少なりとも知っているつもりだ。
もう一つ、高級リースリングのそこから出来る土壌に関しては、モーゼルのスレート、プファルツの雑食砂岩、そしてラインガウ以上にまともな土壌は無い事だけを明確に言及しておきたい。
参照:
Bewertung | Unsere Besten,
GAULT MILLAU WeinGuide 2009 - Pressemitteilung (GAULT MILLAU WeinGuide)
ゴーミヨーのWein Guide Deutschland 2009 (新・緑家のリースリング日記)