Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

シ-ズン幕開けの厳しさ

2013-04-26 | アウトドーア・環境
シーズン幕開けは天気に恵まれた。奇岩地方の日差しがきついが、外気温はまだ摂氏20度に至らないので、丁度南仏の空気を重くした位で気持ち良かった。最初から結構ハードなルートを登った。特にリス登攀なので、足場の摩擦の感じも分からず、上体に力が入り、こじ入れた両腕が傷だらけになった。明らかに技術的に六級マイナスを超える部分があったと感じたが、ルートは五級とクラス分けされている。

内面登攀は冬の間はほとんど練習できないために、慣れの問題もあったが、大股開きの足場は練習してきたつもりで、また新しい靴で割れ目に捻じ込んだ足先が痛くないのでもっと上手に登れる筈だった。しかし最初の取り付が最も厳しく、その上のブックコーナーも足と手でバランスを取らないといけないので息が抜けない。それを抜け出して一服できる頃にはゼイゼイする。そして上部のオーヴァーハングの迂回の乗り越しの横ばいが結構難しかった。もう一つ下の段ですれば簡単だったのだが、足場を上げ過ぎたので危なかった。その上は団子型の岩の乗り越しでいつもの南プファルツだった。すっかり半年間やっていなかった動きであるが、手掛かりを使う技術は完全に上達していた。

二本目は塔の頂上に登る初登攀ルートとノーマルルートを合わせたものであるが、最大の難所はオヴァーハングの乗り越しで、ボルトを使えば四級になってしまう六級マイナスの場所である。ハングまでは一カ所フレンズを挟んだだけで問題なく登れる下部岩壁であったが、そこにオーヴァーハングが覆い被さる。なるほど足場も屋根の下には取れず、手掛かりも少ないのだが、ハングの上のボルトにザイルを掛けられるので大分気が楽である。

そうなれば手掛かりを探し求めて乗り越してみるしかない。左の方が段々になっているので、そこに乗り移るまでである。一回目の挑戦で乗り越せて、左の足場に立ったが、思っていた以上に傾斜が強くて、息が早くなった。もう一歩左へとサイドホールドを使って体勢を整える。そこで急いで中間確保の可能性を探して、フレンズを差し込む。比較的効いていそうなので、落ち着いてから乗り越し、頂上岩壁の足元に出て、木に中間支点を取って、頂上に抜ける。僅か高さ三十メートルほどの小塔であるが、今まで自分の登った塔では最も細いものの一つである。

さて相棒の医者を引き上げるが、なかなか来ない。技術的には全く問題ない筈なので、まさかオーヴァーハングが乗り越せないとは思わなかった。必要ならばシュリンゲに足を掛けてでも後続できたのだが、諦めたようだ。ザイルを上から回収したのは良いが、中間支点を片づけるために上から懸垂下降で忠実に登ったルートをたどらなければいけなかった。ザイルを岩角に架け替えと厄介なことだったが、全てを回収して何とか地上に戻った。頂上の記帳は一人だけの名前となった。新しい靴の雑食砂岩との相性は素晴らしい。

後で事情を聞くと、乗り越しでザイルを上から引くと次の設定した中間支点の方へと引かれるから、後続出来なかったのだという。彼の身長や技量からすれば何ら問題なく熟せたはずだが、左斜め上の手掛かりは彼にとっては十分なサイドグリップになって難しかったのかもしれない。同行した法律家の58歳の男性は、経験も豊富で七級を登る技能を見せて、打ち上げでもなかなか興味深かった。可成り流儀に拘るようで、レッドポイントで登れなければ難易度を落とせばよいだけだというが、それには興味をもたされた。昨年の石切り場ではあまり感心しなかったが、今年は全然違う。本人に言わせると昨年三月に再開して、怪我の後遺症があったからだという。

あれほど冬の間に登っていたのに、少し登り方が変わると体中に熱を持つほど腕力を使った。朝起きてもふらふらするので、パンを買いに、走りに行った。林道の登りを1950歩、13分で、全く速くはないが、半袖で走ったのは今日が初めてで、汗が飛んでいく感じは気持ちよかった。靴の調子も良かった。走り下りてくるのに11分しか掛かっていなかったのには驚いた。どうも風を抜いて走る快さがスピード感を生んでいるようだった。歩数も1500歩ほどだから、如何にピッチが伸びていたかと言うことだろう。これならば登りもピッチを広げるようにすればよいかもしれない。鼻の調子は大分改善して、不思議なことに右も左もあまり変わらないようになってきた。



参照:
合理性にこそ華が咲く 2012-10-29 | アウトドーア・環境
雑食砂岩で新しい靴を試す 2012-05-14 | アウトドーア・環境
コメント
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