Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

とんでもないミクロな話

2013-06-29 | 歴史・時事
レープホルツ醸造所の箱に入っている口上書きを改めて読む。以前にも取り上げたかもしれないが、今回は今年分の成分表にも目が行った。そして何よりも先日訪問した際に日本から訪問中のSaar Weineさんが、元ワイン女王の奥さんに語った内容を思わず反芻した。そのワインを味わうようにである。

と言うのは、父親のレープホルツメモについては何度も触れている当代のレープホルツVDP支部長であるが、思いがけずにここでは先々代のおじいさんの事に触れている。つまり、先祖代々の名前が示すとおりのワイン農家と言うだけでなく、おじいさんはテロワーを重要視したという効能書きである。

もちろん現在のVDPが押ししすめているブルゴーニュ風のそれを意味するのか実際は少し違うのかは判断がつきかねる。しかし、再生産の金太郎飴のようなものでなくて毎年葡萄が違うように、その土地によっても違うそれを決して平均化しないというのがモットーだったと言うのである。

その一部は、たとえば今でもVDP以外の醸造所が当然のごとく行っているような減酸やもしくは加酸、そして加糖という手を加えずにとことんアルコール化してとうを出来る限り残さないことがそれだと言うのは、必ずしも作り話とは言えず、それ以前から自然なワインとしてドイツのリースリング造りがあったことは私自身も何度も遭遇している。いわゆるビールにおける自然ビールに代表されるドイツ文化の純粋主義の一つの現れとしてである。

しかしその反面、レープホルツ醸造所の限られた地所において、それほどまでにテロワーを出せる可能性が現在のようにあったとは思えないのも事実である。なるほど1970年のワイン法の改悪以前は細かな地所に区割りされていたのも事実であろう。しかしである、そのテロワーの差異は他の大手醸造所のそれと比べて如何にもミクロでの話しなのである。

そしてそのミクロな世界がなぜか北米の物書きによって1949年とかのミュラー何某のトロッケン・ベーレン・アウスレーゼとして極東の全くワインとは無関係な日本人によって語られるのだ。如何にも情報の輪というものを感じさせる。そして、その彼が購入する銀座の高級なワイン販売店が、ミュラー何某さんをレープホルツ醸造所で栽培しなくなるまで日本市場に紹介していたというから面白い。私などはこの醸造所に顔を出すようになったのは最近ことだからミュラー何某さんが醸造されている記憶もなかったのは当然かもしれない。反対に、それ以前のこの醸造所とそれ以降では如何にその市場やワインの質が変わってきたかということでしかないだろう。少なくとも私が顔を出すような醸造所は急上昇することはあっても顔を出さなくなるまではその質において上昇傾向にある醸造所に違いないのである。

因みに、この血も涙もないほどの辛口の雑食砂岩ワイン2012年産「エコノミーラート」の分析票を紹介する。

エクスレ糖比重88、アルコール12%、残酸7.9G、残糖 0.4G



参照:
クローンはピノノワール 2013-06-23 | 試飲百景
忙しかった週末を回想 2013-05-14 | 試飲百景
コメント (2)
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