Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

待ったを掛ける俳諧

2019-02-17 | 
楽劇「サロメ」の券が届いた。思ったよりも早く送ってきた。業務はどんどんと進んでいるのだろう。「サロメ」単独は殆ど出てしまったのかもしれないが、他の券と兼ね合せ注文はまだこれからだろう。早速公式交換サイトに「サロメ」が出ていた。売りも二枚組の私と同じ日の平土間の同じクラスが出ていた。第一希望で当たった人なのだろう。それ以外にも日にちを変えたい人は敗者復活で欲しい日が入らなかったのだろう。反対に求めている人もいるがまだ本格的ではないかもしれない。最終結果が出たらもう少し盛んになると思う。発売日初日に並んだ人で立見席から乗り換える人がいると思ったが、意外に安いものが出ていない。理由は分からない。

夜中にカーネギーホールライヴを録音しておいた。ハーディングという指揮者は、私にとってはなによりもペトレンコの試験ズル休みの代わりに入ってマーラーの六番を振った男で、子供の時にラトルとグリッペンを指揮した男で、パリ管を振りながらエアバスの操縦をしていたという男である。だから今回その指揮した演奏の放送を初めてまじめに聞いた。前回はパリ管の式典の時で映像ストリーミングで、ガラコンサートのようなものだったので、もう一つ真相が分からなかった。

今頃興味を持ったのはつい先日フランソワ・サヴィエル・ロートが指揮したプログラムを同じコンセルトヘボー管弦楽団を振ってのニューヨーク公演からの中継ということが最も大きな要素だった。ロート氏の方はその実力をある程度把握していて、弱点も分かっているつもりだが、それと比較して合奏精度が上がることなどは十分に予想できた。

前半は敢えて今触れないでおこう。ピアニストの悪口にばかり話が進みそうで、その舞台袖でのインタヴューもその陰気な声を聞いているだけでも滅入る。出来る限り無視した方が健康に良い厄病神のような雰囲気だ。

後半の「英雄の生涯」は予想通りに見通しが良くてとても上手にコントロールされて、ここここと掴み出すように歌われる。これは分かり易くて受けるだろうと思う反面、その分かり易さの行くへが気になるのもこの作曲家の作品だ。最も知られている例ではショルティーがこれでもかこれでもかと指揮すればするほどその音楽の底が見えてきてしまい、その技術的な価値が徒労に終わるように聞こえるという評価である。それゆえにこのハーディングは音楽的な良さを出そうと工夫しているのは分かるのだが、それが楽句による表現の濃淡を作り、全体としてそれだけの作品という感じがどうしてもする。なるほど嘗てのマゼール指揮ほどにはあざとくなく分析的な良さを感じるのだが、そこから先に進まない。ある意味その音楽の作り方に問題を感じる。

後任探しを続けている名門コンセルトヘボー管弦楽団で、最有力候補の指揮者とみられているが、ヤンソンスのような強引なドライヴもなく若々しさもあって推しはあっても、今まで決定しないのもそうした事情があるに違いない。少なくとも私が当事者ならば本人の才能のことも今後のキャリアのことも考えるとどうしても慎重になると思う。

するとあれでは甘いなと思っていたロート指揮の演奏のその良さが強調されることになった。なるほどハーディング指揮のようには明晰に鳴らないが、中々その歌い運びもよく、三連符やら六連符の扱いも上手で、細かなところを強調することなく鳴らしている。そして細々とまるで「影の無い女」などの鳴りが聞こえ、渋み満載な俳諧がとりわけ素晴らしい。ペトレンコの「ばらの騎士」もとても苦みがあってよかったが、四月のトリノに続いて来シーズンにでもベルリンでこれだけの指揮をできるかどうか?聞き返してみるとこのコンセルトヘボーでのロート指揮のコンサートは近年では取り分け優れたものではなかったろうかと思った。当日会場にいた親爺も言葉足らずにでもコメントしていて、指揮者もそれに返していたぐらいだったのも分かった。放送でも全体以上に個別の拍手の強さが激しく、最近なかったような可成りの熱さを感じたのには間違いなかった。この二つのコンサートを比較すれば、ハーディング推薦に待ったを掛けて、もう少しロート氏に振らせてみたくなるのは当然の判断だと思う。

ニューヨークではルーマニア人がコンサートマスターだったが、本拠地は違う人だったと思う。こちらの方がよかった。ルーマニア人も楽団のストラドの古いのを弾いているといったが、全く活きていなかった。指揮のせいとは言わないが、コンサートマスターはとても大切だ。



参照:
こまめなSNS生活 2019-02-12 | SNS・BLOG研究
リツイートされた影響 2018-05-14 | SNS・BLOG研究
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする