金曜日は、幾つかの録音録画が相次ぐ。先ずはミュンヘンからハイティンク指揮の第九である。ベートーヴェン絡みでも参考資料になるが、ハイティンク氏が今年限りで引退してしまうと生中継を録画する機会はそれほど多くは無い。もう一度ロンドンで3月10日にブルックナーの「ロマンティック」などがYouTube中継される。夏のフェスティヴァル週間もあるだろうが、まだまだ指揮は安定しているので通常の演奏会を記録しておきたい。個人的には二回続けて行って見極めたので、今後無理して出かける必要もなく、近場で演奏することもなさそうなので、ネット配信で十分である。
それと同時にベルリンからアルペン交響曲などが放送される。これはDeutschlandKulturのストリーミングの質が低くても、最も歴史のある放送交響楽団の実力を見極めて、指揮者ユロウスキーの今後を占うためにも聞き逃せない ― 彼こそはドルニー体制のミュンヘンでオペラ指揮者として大物になると期待している。
それが終わって深夜になると、メトから「ファルスタッフ」がストリーミングされる。マエストリが主役だが、ゴルダ・シュルツもナネッタのロールデビューとして出る ― ご本人は中継のことを告知していなかったので早速書き込んでおいた。こうなるとどうしても聞かなければいかず、少なくともタイマー録音をしてみる。ご自身が紹介しているインタヴュー記事を読んだ。楽譜を開けるたびに考古学的発見があるというが、声にも合う役だという。その可能性に関してはBRのインタヴューで話していたが、遅咲きの歌手にとっては声つくりが限られるらしいが、一方で母親の言葉として「求められばこそ、困難な道も容易になるから」と語っている。
先日の「ドンジョヴァンニ」の中継はまだ良く聴いていないが明らかにマイスター指揮の冴えない程度が分かってしまった。
木曜日午前一時前にミュンヘンから帰宅して、色々としていううちに三時に近づいていた。五時にはアルテで再々放送が始まる。目覚ましを掛けて二時間弱の睡眠を貪った。結局動画の方は止まってしまって失敗したが、音声は取れた。それでも音飛びしたので、もう一度繰り返した。思ったよりも高音質で録音できた。更に動画も前番組として取り直したら使い物になるコピーとなった。オンデマンドと変わらないのかもしれないが録音方法をデジタル回路の中でしたので音質が上がったのだろう。
改めてその演奏を聞くと遠くで聴いていたよりも鮮烈な演奏だった。とても良く合っている事は知っていたが、会場ではワンのピアノが食われていた。それでもこの演奏を見聞きすると、この女流の質の良さが確認された。合わせることも上手く、室内楽も間違いなくいいと思う。インタヴューでペトレンコとの共演にも触れていて、いつも少しづつ変えてくるというが、実は彼女も変わっているのだと感じた。お互いに間合いを計っているからだ。ベルリンでの共演の時はインタヴューのオッテンザムマーに「(ペトレンコに)イスラエルで連日の共演を通じて自分のテムピを覚えて貰った」と嘯いていたが、実は上のヴィデオを観ると遥かに精密になっている ― イスラエルでの録画ともう一度比較してみたい。当然イスラエルフィルは合わせるのに躍起で、細かな音楽は出来ない、しかしベルリンは四月に続いて重ねるうちに拘って演奏してきている。そうなるとワンの方も影響を受けてきていた。奇しくもインタヴューで、「フィルハーモニカ―は極限まで追いつめてきて、若い人もいて、凄く今の現状に肯定的である」と話している。流石にカーティスで頂点の教育を受けている人らしく、
室内楽的に音楽をすることを身に着けている。
もう一つ気が付いたのは試し引きの後で指馴らしでシューマンの協奏曲を弾いていたことで、あれだけの過密な日程でも旅先でああして準備しているのかと思った。色々なところを見ていても本格的デビューからそれほど年数を経ていなくてもそのコンサート回数に比例して通常の人ならば何年もかかるような経験を積んでいることも分かった。サウンドチェックを兼ねた楽器選びで人が入った時をしっかり予想して選択していることなど、流石にプロフェッショナルだ。その割には当日上の席では管弦楽とあまりにも一体化してしまって目立たなかったのも興味深い。作曲家もそこまでは予想していなかったかもしれない。
平土間の比較的前列にレジデンスの作曲家リーム氏が居座っていて、隣の奥さんか誰かと感心して話している。これもとても興味深い。ワンへの曲の献呈もあるかなとも思った。そしてワンは、ペトレンコを称して「ミラクルな指揮者」としている。これも中々気が利いている。
参照:
小技ばかり長けても駄目 2019-02-18 | 文化一般
独墺音楽のコムパクト 2018-09-01 | マスメディア批評
それと同時にベルリンからアルペン交響曲などが放送される。これはDeutschlandKulturのストリーミングの質が低くても、最も歴史のある放送交響楽団の実力を見極めて、指揮者ユロウスキーの今後を占うためにも聞き逃せない ― 彼こそはドルニー体制のミュンヘンでオペラ指揮者として大物になると期待している。
それが終わって深夜になると、メトから「ファルスタッフ」がストリーミングされる。マエストリが主役だが、ゴルダ・シュルツもナネッタのロールデビューとして出る ― ご本人は中継のことを告知していなかったので早速書き込んでおいた。こうなるとどうしても聞かなければいかず、少なくともタイマー録音をしてみる。ご自身が紹介しているインタヴュー記事を読んだ。楽譜を開けるたびに考古学的発見があるというが、声にも合う役だという。その可能性に関してはBRのインタヴューで話していたが、遅咲きの歌手にとっては声つくりが限られるらしいが、一方で母親の言葉として「求められばこそ、困難な道も容易になるから」と語っている。
先日の「ドンジョヴァンニ」の中継はまだ良く聴いていないが明らかにマイスター指揮の冴えない程度が分かってしまった。
木曜日午前一時前にミュンヘンから帰宅して、色々としていううちに三時に近づいていた。五時にはアルテで再々放送が始まる。目覚ましを掛けて二時間弱の睡眠を貪った。結局動画の方は止まってしまって失敗したが、音声は取れた。それでも音飛びしたので、もう一度繰り返した。思ったよりも高音質で録音できた。更に動画も前番組として取り直したら使い物になるコピーとなった。オンデマンドと変わらないのかもしれないが録音方法をデジタル回路の中でしたので音質が上がったのだろう。
改めてその演奏を聞くと遠くで聴いていたよりも鮮烈な演奏だった。とても良く合っている事は知っていたが、会場ではワンのピアノが食われていた。それでもこの演奏を見聞きすると、この女流の質の良さが確認された。合わせることも上手く、室内楽も間違いなくいいと思う。インタヴューでペトレンコとの共演にも触れていて、いつも少しづつ変えてくるというが、実は彼女も変わっているのだと感じた。お互いに間合いを計っているからだ。ベルリンでの共演の時はインタヴューのオッテンザムマーに「(ペトレンコに)イスラエルで連日の共演を通じて自分のテムピを覚えて貰った」と嘯いていたが、実は上のヴィデオを観ると遥かに精密になっている ― イスラエルでの録画ともう一度比較してみたい。当然イスラエルフィルは合わせるのに躍起で、細かな音楽は出来ない、しかしベルリンは四月に続いて重ねるうちに拘って演奏してきている。そうなるとワンの方も影響を受けてきていた。奇しくもインタヴューで、「フィルハーモニカ―は極限まで追いつめてきて、若い人もいて、凄く今の現状に肯定的である」と話している。流石にカーティスで頂点の教育を受けている人らしく、
室内楽的に音楽をすることを身に着けている。
もう一つ気が付いたのは試し引きの後で指馴らしでシューマンの協奏曲を弾いていたことで、あれだけの過密な日程でも旅先でああして準備しているのかと思った。色々なところを見ていても本格的デビューからそれほど年数を経ていなくてもそのコンサート回数に比例して通常の人ならば何年もかかるような経験を積んでいることも分かった。サウンドチェックを兼ねた楽器選びで人が入った時をしっかり予想して選択していることなど、流石にプロフェッショナルだ。その割には当日上の席では管弦楽とあまりにも一体化してしまって目立たなかったのも興味深い。作曲家もそこまでは予想していなかったかもしれない。
平土間の比較的前列にレジデンスの作曲家リーム氏が居座っていて、隣の奥さんか誰かと感心して話している。これもとても興味深い。ワンへの曲の献呈もあるかなとも思った。そしてワンは、ペトレンコを称して「ミラクルな指揮者」としている。これも中々気が利いている。
参照:
小技ばかり長けても駄目 2019-02-18 | 文化一般
独墺音楽のコムパクト 2018-09-01 | マスメディア批評