Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

記憶の底から呼び起こす

2019-10-30 | 雑感
また一枚コンサートのティケットを買って仕舞った。来夏のルツェルンの影響で、敢えて関心を抑え込んでいたトーンハレ管弦楽団のサイトを見て仕舞った。出かける心算が無かったのは車の車検の事があって、検査のあり得る国境通過は避けたかったので、現在の車での最後のスイス行を九月の半ばに済ました筈だった。だからあまり興味のあるプログラムも無い中で見落としているのに気が付かなかった。ドホナーニがシューベルト・メンデルスゾーンプロを振る。そもそもこのような名曲プログラムには関心が無いので見落としたのかもしれないが、先日のパリ管とのブラームスを見てその指揮振りを見て、これはと思った。そのような名曲プログラムでシューベルトを聴いたのは最後のカルロ・マリア・ジュリーニ指揮のSDR放送管弦楽団コンサートぐらいである。しかし、今回シューベルトはとても興味を持った。

どうも調べるとこの指揮者がドイツ国内で今後振るのは、NDRと地元ハムブルクで、BRとミュンヘンで、シュターツカペレベルリンとか限られていて、年長のブロムシュテットよりも行動範囲も狭く、新世界ではボストン位のようだ。それを知るとこのトーンハレとの相性も明らかにブロムシュテットとよりもいいと予想する、更に現在の仮小屋マークの音響を考えるともう我慢出来なくなった。問題は二日ある公演の後の木曜日の方がいい席が残っていたのだが、翌週月曜日がミュンヘンなので少し躊躇した。価格は安い席乍比較的いい場所で、指揮者本人の健康状態が悪くてキャンセルすれば捨てられる価格であり、先ずは購入して様子を見ようと思った。

しかしこのドイツ音楽界のドンのパリでの調子なら可成りいい演奏が展開されると思った。こうした名曲コンサートを振っても価値のある指揮者は、カール・ベーム博士とか本当に限られた指揮者であって、今回は「悲愴」でもなくシューベルトとなると、なにも態々アイヴスやリゲティを加える必要もない。そもそもオペラは何回も聴いていてもコンサートでは初めての指揮者である。

ここ二年ほどで初めて実演に接した長老指揮者が二人いた。そう思っていた。しかし冬籠りの準備等で古い日本でのティケットを見ていて、アッと声が出た。結構自慢の半券もあるのだが、それ以上に声が出るのは全く記憶から落ちてしまっている公演の数々だ。勿論どこかの深層に記憶が残っている可能性が強いので、情報を追っていくととんでもないことを思い出す可能性がある。

1977年コンセルトヘボー管弦楽団訪日公演Cプロを聴いていた。指揮はハイティンク、丁度41年前に初めて実演に接していた。記憶になかったのは、指揮者だけの責任でなくそのプログラムが、「劇場支配人」序曲で始まり、ブラームス三番、ルストラウスキー、ドビュシー「海」だったからだ。逆にその三番となると完全に思い出した。そしてその後にその弦楽アンサムブルについて話していたことがあったのだ。要するに記憶の限りこの指揮者で少なくとも三回生を体験したことになる。あとは記憶にない。

そして不思議な感じがしていたが、ドホナーニ指揮で既にクリーヴランド管弦楽団をどうしてどうしてアイヴス、モーツァルト、「悲愴」プログラムを聴いているではないか。ムラヴィンスキー以降ペトレンコ指揮が最初ではなかった、ハイティンクの指揮も聴いていた、嘘ばかりである。

そして半券を見て行くと驚きの連続だ。自分の深層の記憶も呼び出してみたいので、ネットで情報を少しづつ秋の夜長に呼び出して行こうかと思う。どこかに沈めていた記憶から不愉快なことを思い出して叫んだりしないだろうか?

ちらと見えてしまったのは、ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団演奏会でファイン、火の鳥組曲、巨人を聴いていた。これは思い出すが、今のシカゴと同じでそれ以上ではない音の響きだった。

兎に角、最近初めて生体験したと思う人の名前を見つけて吹いてしまったり、どうしてこうもオペラの引っ越し公演にも通っていたのかと訳が分からなくなる。追調査要である。 

プログラムを見ていると、2016年にムラヴィンスキー以来二年前に初めて聴いた筈のチァイコフスキーの第五交響曲もどうもシャイー指揮コンセルトヘボーでルツェルンで聴いているようで、翌日のマーラーの十番クック版の記憶の影に沈んでしまっていたらしい。という事で記憶の限り、悲愴交響曲は、三回実演に接していて(ムラヴィンスキーはK543を第五の時と同様に前半に演奏指揮、ペトレンコはハフナー交響曲)、交響曲五番は、過去二回に、ペトレンコ指揮で四回聴いている。
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