Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

見事な素材とその出し方

2023-09-01 | 雑感
二日目はパンの買い出しから始まった。前夜にはほとんどワインを一本開けてしまっていたことからアルコールが若干残っている感じでしゃっきりしなかった。隣町のパン屋であるのだが、途中の道が工事中なことも把握していて、それでも迷った。指定された迂回路が車両通行禁止になっていて、更に片道通行があったりで帰りには役立たなかった。パン屋自体は駅通りで、駐車には困ったのだが、いい買い物が出来た。特製のパンは白黒二種類あって、白い方を購入。スイス菓子も夏菓子ながらドイツならばミュンヘンにしかないようなものばかりである。こんな田舎の町にと思う。

近くには有名な湖もあってそれなりに高級な地域なのかもしれないが大したものである。ドイツではコンディトライもどんどん潰れた。その中途半端に賑やかな街なので街から宿に戻るのに苦労した。反対方向に車を走らせると完全な牧草地で、全くシュヴァルツヴァルトの友人の家のようである。なるほど別れ言葉もアデーを使い、セントラルスイスと言っても結構西のアレマン地域の影響も少なくない。

朝から牛の寝そべっているヴィデオは撮れなかったが、宿に戻ってくると一時間経過していた。通常ならば片道五分の場所である。旅行中はなんだかんだと時間が早く流れる。無駄に思える時間ほど価値があるのかもしれない。

そしてその甲斐あってパンは素晴らしかった、焼き立て感が全くなく、つまり酵母臭など皆無で、あるのは厳選した原料の麦の香ばしさ。そしてサクサク感はパンとしては最上級である。塩加減なども過不足なく、バターだけでいくらでも食せる。ついでに購入したブロッツェンはその分より硬めでそれはそれで素晴らしい。

夜食が重かったので、結局お三時に夏菓子を食するだけで済んだ。胡桃入りのチーズもカロリー十分で足しになったのだろう。前日は前座コンサートがあったが、翌日はレクチャーがあったので同じような時刻に到着するようにした。本来ならば二曲の変奏の細かな部分を楽譜で確認して置きたかったのだが、眠気もあって、結局寝て過ごしていたら、夕方になって仕舞ったのだ。

それでも今回と週末の日曜日には聴けるシェーンベルクの変奏曲だけは出来る限り頭に入れておきたかった。少なくとも曲の全体構造とその流れは把握しておかないと、日曜日の為に先に進めない。そして、前日に市内で再び間違入った分かれ道を今回はベストの方向で駐車場へと入れて、また再びベストのD区域に駐車した。

それでもデジタルコンサートホールでも解説をするようになったシュティーア女史講演の会場に入るときには、「今まだ来ました」と言われるように昨年ほどではないが遅刻寸前だった。そしてその内容は三曲を手短に歌までを入れて結構見事だった。この人の話しは、文献上の定説をしっかりと自身で噛み砕いて、それをプログラムに合わせてサーヴィスするという方法なのだが、今回はその素材の厳選も調理も見事で無駄がなかった。

同時にこのプログラムの一月のベルリンでのそれを現場で経験していたことから聴衆が知っておくべきと思われることが上手に出されていた。若干詰め込み過ぎの感もあるがこれだけのレクチァーを受けていれば聴衆の質はとても上がる。

それを当夜の演奏も聴衆もそれに相応するものだった。ブラームスはカラヤンに比較して聴き劣りがする音響だと思っていたのだが、曲が進むに連れて、ブラームスの肉声が透けて聴こえて来て、前日のレーガーとはまた異なった意味で、素晴らしかった。円熟した指揮でフィルハーモニカーが奏で、シェーンベルクでは更にヴァルツァーのあとの幾つかの変奏で更なる音響がルクセムブルクで期待される。そこの響きと広さが理想ではなかろうか。そしてベートヴェンでのペトレンコが世紀の天才指揮者だと皆が気づいた。



参照:
夜の歌のレムブラント 2022-10-22 | 音
パン屋への道のり 2021-09-10 | 生活
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