■ 金価格が下がっている ■
上のグラフは田中貴金属のページから拝借した、ここ1ヶ月の日本国内の金価格です。7月以降、金価格は確実に下がっています。
資産保全の為に金に投資されている方は、WHY?と首をひねっている事でしょう。国内の金価格の下落の理由は二つあります。
一つは為替です。最近の円高傾向で、金価格は相対的に下落します。
上のグラフは1978年以降の国内外の金価格の比較です。プラザ合意のあった1985年以前は、海外と国内の金価格は連動して変動していますが、プラザ合意で円高傾向が高まった後は、国内の金価格は抑制されています。
これは言うなれば、ドルの減価が著しいのに対して、円は比較的、金に対して価値を保っている事の表れです。ですからリーマンショック以降、世界の資産家達が金を買い集めているのに対して、日本の投資家は金に食指が動きません。
■ 金は非兌換通貨の敵 ■
金とドルの関係を眺めていると、面白い事が分かってきます。
1980年にソ連のアフガン侵攻やイランイラク戦争が勃発して金価格が急騰し、700ドルに迫りますが、その後金価格は伸び悩みます。
その後、湾岸戦争など有事が発生しますが、1980年の様な高騰は発生していません。一見、世界経済が安定して「金の需要が減った」様に見える現象です。
実際にはこの間、FRBをはじめ世界の中央銀行は手持ちの金を売却して、金価格の上昇を抑えていたと言われています。さらに、手持ちの金を低金利で銀行に貸し出し、銀行に「金売り」で利益を上げさせる一報で、金価格を抑制したとも言われています。
金と非兌換通貨は敵対する関係にあります。金価格の上昇は、ドルを始めとするペーパーマネーの信用が低下した事と同義です。ですから各国中央銀行は金価格を不当に低く抑制していたというのです。
■ 売る為の金が不足した・・・ ■
「金売り」によって各国中央銀行の金は減少していき、金が不不足し始めた時、「金ETF」の制度がスタートします。
「現物金」では無く「ペーパー金」の売買を始めたのです。「ペーパー」ですから、いくらでも刷る事が出来ます。一説には現物の100倍の「ペーパー金」が市場に出回っていると言われています。
JPモルガンを始め、金融機関は金の先物市場で大量の「ペーパー金」を空売りして、金価格を不当に抑制すると同時に、利益を上げています。
この辺の事情は、田中宇氏のブログに詳しく記載されています。
■ 金価格が不自然に下落する時が問題 ■
7月以降、金価格が不自然に下落しています。大量の金の先物売りが発生しているのです。世界経済の現状を鑑みれば、金価格は1500ドル/1トロイオンスを超えていても不思議ではありません。しかし、実際には金価格が下落しています。
これは、「金が高騰しては困る」事情があるからです。
国債金融資本家達が必死に守っているのは「ドル」です。ギリシア危機を煽って、ユーロから資金回避を起こさせ、金を空売りしてドルを防衛しています。これは、まだ暫くはドルに延命してもらわなければ困るというシグナルでしょう。
■ 金の行き先 ■
「ペーパー金」の空売りで値段が上がらない金は、「不当な安値」で買われて行きます。個人投資家も勿論いるでしょううが、中国やロシアも金を買い込んでいます。そして当然、国債金融資本家達は、一方で「ペーパー金」を売り浴びせながら、もう一方では「現物金」を溜め込んでいる事でしょう。
一説にはイルミナティーはスイスに金を集めているそうです。
■ 金こそが永遠の価値 ■
インチキ金融商品で荒稼ぎしたマネーで金を買い、資本注入された税金を利用して金を買う事で、世界の金の相当分がイルミナティーの手元に集まっている事でしょう。
これこそが、「世界統一」の為の軍資金なのでしょう。
今年後半から明らかになった景気後退で、第二の金融危機が迫ってきています。第二の崩壊は始まった時、「金」が「ペーパーマネー」に向かって牙を剥きます。
金価格は3000ドルを超えるかもしれません。しかしこれは、金の価値が高まったのでは無く、ドルの価値が下がっただけです。時ここに及んで、人々は金こそが永遠の価値を持っている事に気付きます。
ドル崩壊で一時値上がりする円も、結局は世界的なペーパーマネー不信の前では生き延びる事は出来ません。日本の回避不能な財政崩壊をきっかけに、円の下落も始まり、金
は対円においても高騰する事でしょう。
■ 最後の勝者は誰? ■
しかし個人がいつまで「金」を保有出来るかは、予測不能です。
金は通貨防衛の為、国家に安く接収されてしまうかも知れません。管理が厳しくなって、自由市場が閉鎖されるかも知れません。
結局最後の勝者は、いつでもルールを作る者達です。
金は高騰しますが、はたして個人が金で資産保全が出来るかと言えば、それは、神のみぞ知るのでしょう。