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本当は貧しいアメリカ・・・ドルの実力

2009-09-29 10:56:00 | 時事/金融危機



■ アメリカの本当の姿 ■

皆さんはアメリカと言うと何を思い浮かべるでしょうか?
NYの摩天楼でしょうか、ハリウッドでしょうか?
フロリダやカルフォルニアのビーチでしょか?

ツアー観光でアメリカに行かれた方は、
多分、美しくて立派なアメリカを見て、圧倒された事でしょう。

しかし、仕事である程度長期間アメリカに滞在された方は、
「貧しい」アメリカも充分ご存知だと思います。

私も以前、長期出張でLA近郊に3ヶ月間滞在していた事があります。
現地のオフィスからは、いろいろと生活上の忠告を受けました。

1) 車で行動しない限り、身の安全は保障されない。
2) なるべくハイウェイを走り、目的地以外で一般道に下りない。
3) 買い物はトランクに仕舞う事。窓から見えたら車上荒らしに遭う。
4) 道で時間を聞いてくる人物に気をつけろ。
5) LAは日本人街から奥へは決して立ち入るな。

等々、色々とご指導いただきました。
しかし、好奇心旺盛だった私は、多分ことごとく破ってしまいました。
そうして私が目撃したアメリカは、とても豊かな国のイメージではありませんでした。

上の写真はネットからようやく見つけた写真で、
私が目にしたアメリカの印象と近いものがあります。
このような場所でカメラを取り出すのは危険なので、
私の手元には「貧しいアメリカ」の写真がありません。

大型ショッピングモールは買い物客で溢れていますが
街中は日本と同じくシャッターを閉じている店が多く、
多くの街が、くすんだ灰色に支配されている感じです。

■ LAは巨大な貧民窟 ■

アメリカの大都市の印象のあるLAは確かに巨大な街です。
ハイウエイから見るとダウンタウンには高層ビルが立ち並びます。
しかし、地上を車で走行すると、全然違う街が姿を現します。

アメリカは多民族国家ですから、
1ブロック違うだけで韓国語の看板だらけの街が現れ、
その先はアラビア語だらけの街が現れといった感じなのは当然です。

当然で無いのは、その先に1ブロック進むと、
突然、廃墟の様な倉庫街が広がり、道のそこかしこに浮浪者が転がっている・・。
ロサンゼルス市庁舎の足元の公園も浮浪者だらけ。
道を歩けば、ギターを抱えた浮浪者然とした黒人が「俺の歌を聞くかい?」って近付いてくる。
まあ、この変は、良くある都市の風景で、
東京も大阪も変わらないと言えば、変わらないのだけれど・・・。

■ ハイウエイを適当に降りると・・・ ■

ロサンゼルス空港からLAに向かうハイウエイは、
住宅街の中は殆ど防音壁で周辺の家屋が見えなかった記憶があるのですが、
それでも時折チラチラと見える民家は、ここはメキシコ??みたいな雰囲気を漂わせています。
貧しさが漂ってきます。
(まあ、彼らから見た東京の下町もスラム街なのでしょうか・・・)

ハイウェイを目的地以外で下りるなという警告は、
実際、降りてみると分かります。
ウァー・ヤバイー!!って雰囲気の街のど真ん中を突然走る事になります。

義兄がビンテージのギブソンのショップがあるから覗いて来てくれと言うので、
住所を頼りに、たどり着いた街は、まさに冒頭の写真の様な町。
指定の住所は、・・・どう見てもギターショップとは思えず・・・。
それでも勇気を振り絞って、ドアを開けると・・・、
そこには肩に刺青をした巨漢のアメリカ人がサーフボードを磨いている姿が・・・。
サーフボードよりもコンボイが似合う風貌でした。
目が合った瞬間、ヤバイ、撃たれる!!って本気で思いました。
ムチャクチャな英語でごまかして、逃げるように退散・・今でも冷や汗をかきます。

まあ、自業自得と言えばそうなのですが、
この、灰色に煤けた街の、シャッターや家の中に、
あんなのが一杯居るんだ・・・・と思うと言い知れぬ恐怖を感じました。

アメリカの全部がそうでは在りませんが、
サンフランシスコでも強盗に遭いそうになりました。
たまたま、路上駐車の車がヘッドライトを点けてくれたので事なきを得ましたが、
夜とは言え、観光地のど真ん中です。

こんな事があったからか、私はアメリカが夢の国には思えません。
映画やTVに移るアメリカよりも、
下のYoutubeの動画に写るアメリカの方がリアリティーがあります。

http://www.youtube.com/watch?v=QpFcpGJnMj4&feature=player_embedded

■ 統計的にも貧しいアメリカ ■

古い統計ですが、

<引用>

2005/08/31
米国勢調査局(Census Bureau)が8月30日付けで発表した最新レポートによると、2004年度におけるアメリカ合衆国の貧困率は12.7%で、人数にするとおよそ3,700万人が貧困ライン以下の生活をしている(前年比110万人の増加:AP通信の関連記事)。

ブッシュ政権成立の年から貧困率は継続して上昇しており、ブッシュ大統領就任から4年間で貧困者の数は約590万人増加したことになる。(以下のグラフを参照)



<引用終わり>

貧困層の数は、今回の金融危機をきっかけに確実に増えています。

アメリカには3億以上の人口が居ます。
ヒスパニック系の流入や、マイノリティー達が子沢山な事から、
アメリカの人口増加率は中国を抜いています。
これらの人々は、安い生産力と消費を増大させる事で、
アメリカ経済を下支えしてきたとも言えます。

アメリカは先進国アメリカの中に、発展途上国を内包していたのです。
これは中国にも似た構造です。

しかし、実体経済の減速が、これらの貧困層の雇用を直撃しています。
アメリカの失業率は9%後半ですが、
既に休職活動すらしていない人達を含めた失業率は17%に達すると言われています。
実に、就労可能人口の5人に一人が失業状態です。

■ 何故インフルエンザで死ぬのか ■

今回の新型インフルエンザ騒動でも、アメリカの死者数は群を抜いています。
これは、インフルエンザの毒性の強さを示すのでは無く、
アメリカの貧しさを示す数字です。

国民皆保健制度の無いアメリカでは、医療保健に加入していない国民が沢山います。
医療機関自体は高コスト経営ですから、当然自費診療はとても高価です。
盲腸の手術で300万円と言われています。

その様な状況で、インフルエンザが蔓延すれば、
重症化するまで病院にも行からい人たちが沢山発生します。
・・・そう、アメリカの中に、メキシコやチリが存在するのです。
オバマは皆保険制度の導入に必死ですが、
自立を標榜する金持ち達は、貧乏人に自分達の富が流出する事を極度に嫌います。
さらに、反連邦的なリバタリアンの勢力も依然強く、
アメリカが福祉の上で近代的な国家になる事は絶望的です。

■ ドルの適正レートはどのくらい? ■

良く、ドルは過剰供給で既に価値を失っていると言われます。
しかし、アメリカの国力の上からも、現在のドルおレートは過大評価されています。
世界から物を買い漁るアメリカから、物すら買えないアメリカへの変貌が始まっています。

ドルが年初来の90円を下回る水準になっています。
85円がドルの適正レートなのか、
それとも70円代が適正なのか・・・・。

1ドル125円の時代にアメリカで買い物した時、
関税も輸入コストも掛かっていないのに、
衣料も食品も日本国内で買うアメリカ製品と同等の価格に感じました。

これは125円や120円というレートがそもそもドルを過大評価していたからです。
多分、80円~70円くらいが適正なレートなのでしょう。
今回の円高ドル安は、円高の要因はあまりありません。
ドルが適正なレートに修正されているだけです。

■ 国民一人当たりの所得は為替で変動する ■

以下に示すのは、2005年度の国民一人当たりの所得の国別比較です。(単位はドル)
(2007年度版を探したのですが、見つかりませんでした)

1 ルクセンブルク 65,630
2 ノルウェー   59,590
3 スイス     54,930
4 デンマーク   47,390
5 アイスランド  46,320
6 アメリカ    43,740
7 スウェーデン  41,060
8 アイルランド  40,150
9 日本      38,980
10 英国      37,600

一見すると、日本はアメリカの90%に見えます。
この年の為替レートは101円/ドルから120円/ドルです。
間を取って110円/ドルと仮定します。
これを、現在のドルの実力と思われる70円/ドルで計算し直すと、
日本の一人当たりの国民所得は61、254ドルに跳ね上がります。
あくまでも対ドルですが、アイスランドや英国はもっとレートを下げています。

2005年頃は、日本はゼロ金利、
アメリカは金融バブル真っ盛りで、高金利でした。
円キャリートレードで日本円はドルに対して、不当に低いレートでした。

この事からも、もしドルを経済の実力通りのレートで評価したならば、
アメリカはの国民一人当たりの所得は、日本の70%程度に過ぎません。
70円/ドルが妥当かどうかは、今後分かる事ですが、
この事からも、アメリカが決して豊かな国で無い事が分かるかと思います。

■ エンジニアの賃金からドルを逆算すると、66.5円/ドル ■

70円/ドルは荒唐無稽と思われるかもしれませんが、
こんな記事を見つけました。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=212737

<引用>

日本のエンジニアの平均年収は758万円、米国でのエンジニアの平均年収は11万4000ドル。ただここで問題となるのが、為替レートをいくらに設定算出したら日米公平な水準になるのかが不明瞭な点である。今の1$=95円で換算すると米国のエンジニアの平均年収は1083万円。1$=100円なら1140万円である。「何~?」と、日本のエンジニアなら思うことだろう。あんな自動車や電化製品しか作れずにいて、こんなに高い給料もらっているのかと、日本のエンジニアは怒り心頭だろう。調査では米国のエンジニアの平均年齢が日本よりも2歳以上高いそうだが、それでもどうして米国の製品が割高で、国際競争力が得られないのかがよくわかる一例である。

ただ、これには為替レ-トのカラクリもある。日銀などが外貨準備と称して不正な為替操作を行っていて、米国の給与水準を不当に高くなるように導くことで、米国製品の国際競争力を抑えている面もある。ドル本来の実力、価値を非常に高く歪めてしまっているから、このようなエンジニアの給与水準の格差が生まれている。

米国のエンジニアの給与水準を日本の758万円の平均年収に揃えようとするなら、為替レ-トを1$=66.5円にすれば同一賃金になる。これはおそらく、ドル/円の適正水準、ドルの実力と合致するだろう。ドルの対円での価値とは所詮その程度のものだ。推測でしかないが、日本や中国が愚かなドル建て外貨準備を取り崩せば、その程度のレ-トに落ち着くことだろう。


<引用終わり>

1ドル70円というのもあながち間違った仮定では無いのかもしれません。

ちょっとリスキーですが、アメリカに行かれた時に、
観光地以外を訪れると、この事が実感出来ると思います。

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