■ 出口に舵を切った黒田総裁? ■
昨日は日銀が長期金利の許容範囲は0.25%から0.5%に拡大した事で、円高が進行しました。各国中央銀行がインフレ対策として金利を上げているのに対して、日銀は頑なに金利を据え置き、円安が進行していました。日本国内のインフレ率は、海外に比べて低いとは言え、日銀の頑なな政策は海外のファンドなどに付け入られ易い。
今年に入って日本の長短金利が逆転して逆イールドカーブ状態になっていた。日銀のイールドカーブコントロールは、長期金利を0.25%にする事で金融機関が長期国債を保有しやすくする目的があるので、長短金利が逆転すると、金融機関は長期国債を保有し難くなります。当然、長期国債の売り圧力が高まっていた。これに対して日銀は0.25%の金利が付く価格で無制限に国債を買い入れる「指値オペ」で対応していましたが、日銀の保有国債は既発国債の50%を超えてしまった。
金融機関が長期国債を保有し難い状況を避ける為には、短期金利に見合った金利に長期金利を誘導する事が必要ですが、これを狙って海外のファンドが日本国債に空売りのポジションを膨らめていた。どこかの時点で、日銀は利上げをせざるを得ない状況に追い込まれていましたが、黒田総裁の任期切れを前に、長期金利の上限引き上げに踏み切った。
(上のグラフを見ると、金利は上げずとも、今年に入ってからマネタリーベースは絞っている事が分かります)
■ 既にステルスでは無くなった日本の財政ファイナンス ■
異次元緩和がスタートした時点で、このブログでは「異次元緩和の本当の目的は財政ファイナンス」だと書いてきました。しかし、日銀法でも、国際金融上も禁じ手とされる財政ファイナンスを大っぴらに実行する事は出来ないので、日銀は「2%のインフレターゲット」などという看板を掲げていた。しかし、異次元緩和が始まった直後に円安でインフレが進行すると、財務省は消費税率を引き上げて景気に水を差すなど、インフレを達成する意欲は日銀にも財務省にも初めから見られませんでした。
コロナショックによって民間需要が枯渇すると、各国中央銀行はナリフリ構わぬ緩和政策を実施します。日銀も「指値オペ」によって、ほぼ無制限に日本国債を買い入れます。政府はコロナ対策で大量の国債を発行しましたが、市場がこれを吸収出来たのは、日銀が金融機関から無制限に日本国債を買い入れていたから。これは誰が見ても「財政ファイナンス」です。とうとう日銀は、既発国債の50%以上を保有するに至りました。
■ 財政ファイナンスに問題が有るのか ■
「事実上の財政ファイナンス状態にあるのに、円は暴落していないじゃないか!」とツッコむ方がこのブログにもいらっしゃると思います。しかし、円安は確実に進行していたので、ゆるやかな暴落は起きていた。ただ、これも程度の問題で、各国ともコロナ以降(或いはリーマンショック以降)は財政ファイナンス状態だったので、「ブサイクな犬コンテスト」状態で、円だけが悪目立ちしている訳では無い。何事もバランスの上に成り立っています。
お金の成り立ち的には財戦ファイナンスであろうが、政府通貨であろうが、お金の信用が担保されるのならば問題はありません。しかし、この信用がいつ崩れるのかは誰にも分からない。
「財政ファイナンス」が許容されると、政府の財政支出は拡大します。政治は「人気取り合戦」なので、打ち出の小槌を手に入れた政権は、人気取の為にこれを振るい続けます。当然、財政支出によって市中に流通する通貨量は増えますから、インフレが進行します。防衛費の増額に対して自民党税制調査会は税金でこれを賄う様に主張しましたが、彼らには常識が残っています。これを「防衛国債」などで賄えば、軍事費拡大に抑制が効かなくなります。
戦前、戦中の日本は「軍債」をジャンジャン発行して、破滅への道を歩みました。一般人も軍債を大量に購入していましたが、同時にインフレも進行しいたので軍債は戦後紙切れ同然となります。しかし、物価統制が行われていた戦時中の日本では、インフレは表向きは押さえ込まれたいた。しかし闇で流通する品物のインフレ率は相当に上昇していました。
この様に、「財政ファイナンス」を一度認めると、財政が拡大して「財政インフレ」が発生します。国債が市場で売買されるのは、これを防ぐ為で、過剰に発行された国債は下落して金利が上昇します。これが政府の財政支出の枷となり、不用意な財政拡大を防ぎます。しかし、現在の日本の様に市場を通して日銀が国債を無制限に買い上げる様な状況では、市場の機能は失われ、市場は財政拡大を止める機能を失います。
■ 為替市場が敏感に反応する ■
各国中央銀行が利上げを進める中で、日本だけが金利を据え置いた状況に、為替市場は敏感に反応して円安が進行しました。日銀の今回の利上げの表面的な目的は、円安を食い止める事です。多くの物資を輸入に頼る日本では、円安が進行すると、輸入物価が上昇してコストプッシュインフレが進行します。これは日銀の金利抑制に悪影響を与えます。同時に日本国債のサスティナビリティーにも影響する。
■ 最後の貸し手の日銀の動向に市場は敏感になる ■
今後の興味は日銀の利上げが、どの程度まで進むかという点に絞られます。各国中銀が利上げする中で、日銀は最後の貸し手として市場を支えています。今回の利上げは、市場関係者には「黄色信号」として捉えられるでしょう。
「黒田が利上げに踏み切ったので、次の日銀総裁は利上げがやり易くなった」というのが使用の見方だと思います。日銀が急激に金利を上げるとは思えませんが、確実に潮目は変った。
■ 防衛費増額を税金で負担するか、国債で負担するか? ■
アメリカが台湾危機を煽って、日本でも知らぬ間に?!防衛費増額が規定事実となっています。防衛費をGDPの2%に増額すると言っても財源の問題が立ちふさがります。普通は増税で賄う事になる。
これに対して「国債で賄え」と主張する方が大勢いました。税収は景気などの左右されて安定した財源と言い難いですし、国民の抵抗も強い。更にスタグルレーションが発生している状況で景気に水を差す増税は、経済を原則させるからです。「戦争」は待ってまくれません(アメリカが・・・)から、国民の抵抗の少ない国債発行で防衛費を調達すべきだという意見です。但し、一般の国債で調達すると国債の発効量が増えて金利上昇圧力になるので、建設国債(償還60年)や防衛国債、或いは永久国債で賄えという意見が出て来ました。
結果的には復興特別税の期限を先延ばし、さらに建設国債を1.6兆円発行する事で決着しそうです。さらに零細個人事業主には「インボイス」という大増税?が待ち受けています。(これ益税だから払って当然ですが)
防衛費の多くは、アメリカに武器購入費で支払われてしまうので、国内のインフレ率の上昇は限定的でしょう。むしろ増税分は景気を冷やす。そう考えると、短期的には防衛費状況は景気的にも、金利的にもニュートラルでしょう。ただ、アメリカの防衛産業は潤い、当然インフレ要因になります。日本国債発行による「財政インフレ」が日本国内では無く、アメリカで観測されるかも知れません。(あれ、これは日本政府のステルス・アメリカ潰し作戦だったりして)
明治政府はイギリスの傀儡政権ですし、日清・日露戦争と満州侵略はアメリカの指示でやられたものです。
太平洋戦争は、共産主義者ばかりだった日本陸軍を壊滅させるための八百長戦争だと言われています。
明治維新以降、日本はイギリスやアメリカの手先として 動いてきた。
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英米金融資本のエージェントだった戦前の日本は英米の利権を守る為に朝鮮を併合した
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戦前の日本陸軍軍人は共産主義者ばかりだった
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太平洋戦争は共産革命を恐れた昭和天皇が英米支配層と組んで起こした八百長戦争だった
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アメリカ軍は日本国内のクーデターや共産革命を鎮圧する為に日本に駐留している
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明治維新は田布施の 朝鮮人 による日本の乗っ取り
明治天皇も昭和天皇も天皇家ではなく李氏朝鮮の王族や両班階級の血筋だった
故鬼塚英昭 氏 戦争はすべて八百長 『日本の真相』 - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=eUIhcvcSmrA
熊毛郡田布施町 (00:00:21)
大室寅之佑 (00:03:48)
明治天皇の秘密 (00:03:55)
大正天皇には、子種がない(00:18:39)
西園寺八郎 (00:19:26)
昭和天皇の秘密 (00:21:34)
昭和天皇の父親は、西園寺八郎 (00:22:01)
田布施は李氏朝鮮の王族や両班階級が逃げてきた場所で、岸信介は李氏朝鮮の王の末裔です。
永田町における「朝鮮系」というのは李氏朝鮮時代の両班階級出身という意味です。以前、田布施の話をした時にも言いましたが、田布施は李氏朝鮮の王族や両班階級が逃げてきた場所で、岸信介は李氏朝鮮の王の末裔です。岸という名字も「李」を分解して木(き)と子(し)にしたから岸(きし)なんだという話をしたと思います。安倍さんは岸家の人なので、当然「朝鮮系」ですし、今井さんも安倍さんと遠い親戚なのでやはり「朝鮮系」。二階さんも同じく遠い祖先が李氏朝鮮系だったという区分けです。また、そういう人たちが集まったのが自民党の清和会です。清和会というのは、多くが「朝鮮系」の人々の集まりで、永田町では常識です。実際に、清和会の事務所は旧李王家邸で当時の赤坂プリンスホテルの一階にありました。李氏朝鮮最後の皇族であった李玖も清和会の支援を受け、2005年まで赤坂プリンスホテルで暮らしていました。
これはインターネットで検索したって出てきません。しかし、日本の支配者層にとっては常識中の常識です。
https://tocana.jp/2020/08/post_168418_entry_2.html
現在の日本の軍備増強もアメリカの指示通り動いているだけですね:
日本は軍事大国 _ 射程1000キロの弾道ミサイルと巡航ミサイルを2000発以上保有
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14042059
自衛隊 は世界の軍隊の中で 一番強かった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14073570
敵基地攻撃能力の保有は逆効果、もしも原発を狙われたら…
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14073310
現在世界で起きている事は、第二次世界大戦後にロックフェラーラーが構築した世界秩序の崩壊だと考えています。デービットが死去し、有能な後継者のいない(甥のジェイはロスチャ側に着いたので)ロックフェラーの影響力は急速に萎んでしまった。
アミテージやグリーンらジャパンハンドラーズ達も、その後ろ盾はロックフェラーだったと思いますが、彼らも日本利権を失いグリーンはオーストラリアで教授をしているらしい。キッシンジャーが孤軍奮闘していましたが、高齢ですし影響力は限定的です。トランプというトリックスターの賞味期限も尽きた。
統一教会も、戦後ロックフェラーの反共産連合が生み出したスパイ&集金組織ですから、今それが攻撃される事は当然と言えますし、ロスチャの政策(多分コロナ政策やグレートリセット)に抵抗していた安倍氏が排除されたのもロックふぇらーの退潮が原因かと思います。
ロックフェラーは戦後、共産主義に抵抗していました。アメリカ国内から赤狩りで共産主義者を排除した。当時、政府機関や軍にも多くの共産主義者が居た。ロスチャイルドは共産主義的な世界政府を目指していたと思いますが、ロックフェラーはアメリカの単独覇権に拘ったのでは無いかと・・。
岸田氏は官僚思考ですし、日本の官僚は戦前の「統制派」の流れを汲んで、「国民はバカ」だと考えています。これはEUのテクノクラートにも共通しています。テクノクラートは元貴族達ですし、日本の官僚機構の根幹の、平安時代から続く五摂家を始めとする貴族達というのも似ています。
ロックフェラーVSロスチャイルドという二元論は危険ですが、これからの世界の変化はロックフェラーの衰退(=アメリカの衰退)から始まると私は妄想しています。アメリカは東アジアから撤退するので、日本や海洋アジア諸国は、集団防衛体制を強化せざるを得ない。
防衛費増額が拙速に決められ、マスコミもこれを攻撃しないのは、そういう未来が数年後に迫っているからでは無いでしょうか?
お久しぶりです。シカゴ学派(主流派経済学)は本来、ハイエクの流れを受けていると思うのですが、リーマンショック以降、ニューケイジアンの様になってしまいましたね。
根本的な原因は、先進国の多くが成長の限界に達した事で、「充分豊になった事」と「少子高齢化の進行」がその原因だと私は考えています。そして、新興国からの安い商品の流入がさらにインフレ率を低下させた。
主流派経済学者は通貨供給の拡大で強引にインフレを起こそうとしましたが、このリフレ政策は失敗し、結局はコロナ対策というヘリコプターマネーと、中国のコロナ政策による供給制約によって、抑えられていたインフレが一気に爆発しました。
ハイエクはウィーン学派ですから、政府も中央銀行も静観していた方が経済には有益だと考える人ですが、政府に過剰な保護を要求する現在の民主主義においては、ハイエクの思想は支持されません。
では、何を変えれば良いのか・・・・・・。私は民主主義が変化すると妄想しています。「デジタル管理社会」というキーワードがチラホラ出て来ましたが、マイナンバーカードに電子通貨を紐付けで、ベーシックインカムとセットで国民をコントロールする時代がやって来るかなと。国民はランク付けされるという噂もチラホラ。ランクによって資産保有が制限されるなどという噂も。ただで貰えるお金(ベーシックインカム)の為に国民は自ら進んで政府に従いますし、資産保有を許された人達は、その地位が特権的であるが故に政府に逆らう事は無い。・・・私だったらベーシックインカムをそう使います。
2022年12月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31421
アメリカではインフレが減速し始めており、インフレ減速とともに失業率上昇などの景気減速が懸念されている。
そこで今回は、20世紀最大のマクロ経済学者、フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の『貨幣論集』に収録されている論文から、インフレ減速後の失業増加について語っている部分を紹介したい。
インフレ抑制のための金融引き締め
2021年には既に始まっていたインフレの脅威は、多くの著名投資家らが警告していたにもかかわらず、Fed(連邦準備制度)のパウエル氏など中央銀行家には無視されていた。
ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
そして物価高騰は手遅れとなった。パウエル氏が過ちに気付いた時点でアメリカのインフレ率は既に7%近くまで上がっていた。
パウエル議長、ついに「一時的」を撤回しテーパリング加速を示唆 (2021/12/1)
インフレとは供給に対して需要が多過ぎることであり、つまりは需要に対してものが不足している状況だが、ものの供給を急に増やすことは出来ない。
だからFedはそこからこれまでの低金利政策を撤回し、金融引き締めを行なってこれまでばら撒かれた紙幣を回収することでインフレを抑えようとしている。
インフレ減速と雇用
ここで問題になるのが、雇用である。これまで緩和政策は雇用を支えてきた。お金がばら撒かれているからこそ、企業は従業員を従来よりも多く雇い、その結果コロナ後に高騰していたアメリカの失業率はかなり急速に押し下げられた。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/11/2022-oct-us-unemployment-rate-chart.png
コロナ後のGDPの急回復もそうだが、この勾配がかなり急であることに着目してもらいたい。それは未曾有の財政支出によって実現された。このような政策に副作用はないのか。ないわけがないのである。
現代最高のマクロ経済学者であるラリー・サマーズ氏は、サービス業における物価高騰を抑えるためには賃金の減速が必要であり、失業率上昇は不可避であると言っている。
サマーズ氏: 経済へのダメージなしでインフレ抑制はできない
それは正しい。事実、1970年代の物価高騰を止めるためには、大量の失業が発生しても金融引き締めを続けるしかなかった。
ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
しかしサマーズ氏の言い方では、物価高騰を止めるために故意に失業率を上昇させなければならないと言っているように聞こえる。
だがハイエク氏の論理はそうではない。彼は次のように述べている。
失業はインフレが加速をやめたときに、過去の誤った政策の帰結として、非常に残念だが不可避の結果として出現せざるをえない。
ここで彼が「過去の誤った政策の帰結として」と言っていることが重要である。つまり、インフレ減速後(今の話では2023年以降)に起こる大量の失業は、引き締め政策が引き起こすものではなく、過去のインフレ政策が原因だとハイエク氏は指摘している。
何故そう言えるのか。彼は著書では当時の例を挙げており、それについては以下の記事で取り上げている。
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
だが今回は彼の考えに従って現在のインフレの事例で考えてみたい。
2023年に起きる失業の本質
コロナ後には世界中で現金給付などの形で大量の紙幣がばら撒かれた。その結果として上記のように多くの人が雇用され、失業率は急速に低下した。
紙幣のばら撒きは同時に人工的な需要の急増をもたらしたので、需要が供給を大幅に上回り、インフレが起きた。
ここでハイエク氏が指摘しているのは、まず政府によって人工的に引き起こされた雇用とインフレは分離できないコインの表裏であり、片方だけを除去することはできないということである。
例えば日本でいまだに行われているインフレ政策で考えてみよう。全国旅行支援は旅行をする人に旅行代金の40%の補助金を出す政策だが、この政策によってホテルなどの需要が急増、インフレが起こっている。
日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
この政策はただのジョークに過ぎないが、この例はインフレとは何かを説明する際に便利なのでよく使っている。この時にホテル側に何が起こっているかを考えてもらいたい。
通常、多くのビジネスは需要の急増にすぐに対応できるようには出来ていない。特に問題になるのは雇用である。従業員は簡単に増やしたり減らしたりすることができないからである。特に日本の法律では、一度雇った従業員は簡単に解雇することができない。
ホテル側は2つの選択肢を強いられる。1つは既存の従業員に無理をさせて需要の急増に対応することである。結果として経営者と従業員の関係は悪くなり、実際に全国旅行支援で激務になったために従業員が辞めた宿泊施設についての報道がなされている。
もう1つの選択肢は需要の急増に新たな従業員を雇うことで対応することだが、問題は需要増が終わったからといって従業員を辞めさせることができないことである。そしてその次には逆に供給過剰によるデフレが起こる。無理に増やされた分の従業員は、通常の需要量に戻った後には、本来不要な労働力だからである。
どちらにしても酷い結果である。そしてこの酷い結果は、ホテル業界に贔屓をした分、経済の別の部分で増税が行われるという生贄を捧げることで実現されている。
インフレ政策が害悪である理由
人工的なインフレは将来のデフレという犠牲によって実現され、ホテル業界の売上増加は別の業界からの(場合によっては別の世代からの)搾取によって実現される。
ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判
だがトータルで差し引きゼロかと言えば、そうではない。ハイエク氏は次のように述べている。
すべての世代の経済学者は、政府は短期的には貨幣数量を迅速に増加させることによって、とくに失業のようなあらゆる経済的悪から人びとを救済する力を持っていると教え続けてきた。
残念ながらこれは短期において妥当するにすぎない。短期的には有利な効果をもつように見えるそのような貨幣数量の拡大は、長期的にはさらに大きな失業の原因となる。
何故か。まずホテルの例における経営者と従業員の関係悪化が害悪でしかないことに異論はないだろう。経営者は通常、従業員が無理をすることのないように事前に計画しているものだが、いきなり決まった全国旅行支援ですべて台無しである。
一方で人工的な需要増のために新たに従業員を雇った場合、その従業員は全国旅行支援がなければ別の仕事についていたはずである。その人は全国旅行支援のためにホテルの従業員としての経験を強いられたわけだが、その経験が活かせる需要は、全国旅行支援による需要が引いた後の世界には残されていない。
一方で全国旅行支援がなければ、もともと自然に存在する需要に従事する労働者として別の業界で経験を積み、その経験は将来にわたって活かされることになるだろう。それがばら撒きで失われた本当の価値である。
より酷い例は全国旅行支援のために税金で行われているコロナ無料検査で、東京都の資料によればPCR検査1件あたり最大9,500円、抗原検査の場合4,000円の補助金が出されるとあり、本来何の需要もない事業が経済的に成り立つ構図になってしまっている。しかし本来需要のない事業に従事する経験を積んでしまった従業員の将来はどうなるのか。
このようにして人工的な雇用の増加は、インフレが終了する時、増加させた分以上の失業を吐き出すことになる。公共事業がなければ本来存在しないような仕事の経験が大量に生産されるからである。
政治家がこうした状況に疑問を感じない理由の1つは、彼ら自身が自然の需要では本来必要とされない仕事に就いているからである。
もう1つの理由については、ハイエク氏の言葉を引用しよう。
しかし、短期において支持を獲得することができれば、長期的な効果について気にかける政治家が果たしているだろうか。
結論
人為的に引き起こされたインフレは、例えそれが僅かであろうともすべて害悪である。
しかし何度も言っていることだが、人々が豊かになるためには紙幣をばらまくのではなく生産を増やさなければならない。レイ・ダリオ氏の言葉を何度でも引用しよう。
世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているではない。
紙幣は食べられない。
しかしリフレ派の馬鹿たちにはこの理屈は難しすぎる。
厄介なのは、大量失業というインフレ政策の真の弊害はインフレが起こっている限りは起こらないということである。
ハイエク氏は次のように述べている。
将来の失業について責められる政治家は、インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。
1970年代の例で言えば、インフレ減速後に発生した大量失業の責任を取らされたのは、1971年に紙幣印刷をしたニクソン大統領ではなく、1980年にインフレを退治し大量失業を表面化させざるを得なかったボルカー氏だった。
ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
アメリカでは今ちょうどインフレ減速からの失業増加が始まろうとしている。インフレは失業が始まってからが本番である。これから大量失業と大恐慌(そうでなければインフレ第2波)がアメリカ経済を待っている。
ポジャール氏: 政策金利は5%以上に上がって景気後退ではなく恐慌を引き起こす
そして日本でも日銀の黒田氏が、長年の緩和の弊害がちょうど出始めたタイミングで職を離れるらしい。彼は内心ほっとしているだろう。彼の作り出した害悪のために非難されるのは、彼ではないからである。
政府というあまりに酷い仕組みを廃止すべきである。そうでなければ日本国民はいずれ大損することになる。
防衛費増税で支持率急落の岸田政権がアメリカから「大絶賛」されている皮肉 12/22
与党税制改正大綱が発表された12月16日に岸田首相を“絶賛”した人たちがいる。同盟国である米国政府の最高幹部たちだ。ツイッターなどで相次いで称賛コメントが投稿された。
与党税制改正大綱の発表以降、 米政府の最高幹部から称賛コメントが続々と(バイデン大統領)
岸田首相をベタ褒めしたラーム・エマニュエル駐日米国大使のツイート
ジェームズ斉藤(以下、ジェームズ) 先日、防衛増税が決まりましたが、あんな杜撰な議論で日本は大丈夫なんですか?
──いやぁ、ほとんどの国民は防衛増税なんか大反対なんですが……。
ジェームズ 本当に今回は酷いですね。高市早苗さんも罷免覚悟で反対していましたが、そういう人がもっと出てこないと日本は終わりますよ。
まず、今回の防衛増税の何がデタラメなのかというと戦略3文書も出ていないのに防衛費増額を決めたことです。戦略3文書とは国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3つで、普通であれば、これが出てから防衛費の議論はするべきなんです。それはそうでしょう。国家防衛の戦略や防衛力の整備計画が出ていないのになぜ防衛費が決められるんですか?
──戦略もなにも決まっていないってことは何を買うかも決まっていないわけですからね。
ジェームズ そうです。3文書が公開されたのは12月16日ですから、本来はそこから議論がスタートしなければいませんが、防衛増税を決めたのは12月15日ですから、日本国家の防衛戦略を国民に公開もしないで、いきなり防衛費だけ上げますという議論を延々やっていたんですよ。ここまで国民不在、国民をないがしろにする政権はありませんね。
──どうしてこんなことになってしまったんでしょうか?
ジェームズ このことはメルマガではもう書いているのですが、岸田政権は今年の2月に財務省の謀略によって財務省の傀儡になってしまったんですよ。そもそも岸田さんを総理に推薦したのはスリーAと呼ばれる甘利、麻生、安部の3人だったんですが、それぞれバックグラウンドが違うんです。安部さんの場合は経産と警察の安部派の官僚がバックです。甘利さんも経産省ですが、派閥が志公会なので麻生派で、リベラルと呼ばれるTPP推進とか自由貿易バンザイの官僚たちがバックです。麻生さんは麻生派のトップで、財務省がバックになります。岸田政権が出来た頃はこのスリーAが拮抗していて、安部さんという大物もまだいたので岸田さんも立ち位置を経産を優先するのか、財務省を優先するのかどっちつかずでした。しかし、今年の2月に内閣官房の国家安全保障局経済班の藤井俊彦氏が女性スキャンダルで失脚したんです。藤井氏は経産省出向の官僚だったのですが、後釜は財務省出身の高村泰夫氏が就任し、経済安全保障官僚のトップになったんです。岸田政権の目玉の政策は経済安全保障なので、これで完全に岸田政権は財務省が握ったことになったんですよ。その証拠が、5月のロンドンのシティでの講演で、あの時岸田さんは「日本に投資をしてください。岸田に投資してください」と言いましたよね。
──「Invest in KISHIDA!」発言ですね。あの時はふざけるなと思いました。勝手に日本の資産を国際金融に売り払らうつもりかと。
ジェームズ あれがまさに財務省の傀儡化の象徴です。あの辺りから岸田政権からは財務省が得意な国際金融関連の政策ばかり出してくるようになったんです。結局、その流れの延長線上にあるのが、増税というアジェンダです。ロシアのウクライナ侵攻と台湾有事の可能性にからませて強引に防衛費にくっつけて増税しようということになっているんです。しかも、今年5月末のバイデン大統領訪日時の日米首脳会談時に「防衛費を増税で無理矢理引き上げ、アメリカ製武器を爆買いします」とアメリカ側に密約をしています。この情報は米国の関係者から直接聞いていましたから確かです。
──そんな密約までしてるんですか! だったら、5月の時点で防衛増税は決まっていたんじゃないですか!
ジェームズ 岸田さんの中ではそうでしょうね。実際、先日のトマホーク爆買い計画の公表なんか、まさにこの密約の実現で、戦略構想もないのに武器だけ調達するという馬鹿げたことをしています。自衛隊の武器庫が無用の長物でいっぱいになる事態すら招きかねません。しかし、アメリカと密約を交わしてしまったので、岸田総理としても反故にできません。つまり、財務省はアメリカの外圧まで使い、国内の反対勢力を封じてきたということです。
──諸悪の根源は財務省だと。
ジェームズ 財務省と、そして麻生さんですね。麻生さんは財務省と一体です。ずっと財務大臣をやっていましたし、現財務大臣の鈴木俊一さんは義理の弟です。娘さんはフランスのロスチャイルド家に嫁いでいますから国際金融資本の代弁者でもあります。ですから、いまの財務省で麻生さんに逆らえる人間はいません。岸田政権は財務省政権であり、麻生政権だということです。こんなですから増税を止めるにはもはや岸田政権を潰すしかありません。
──やっぱりそれしかないんですね。ちょっと前ぐらいに、「来年、早いうちの解散がある」っていう話がちらほら出ていましたが。
ジェームズ いまはもうそれは考えられません。岸田さんは来年5月19日からの広島G7サミットまで総理の座にしがみつくでしょう。地元の広島でG7の代表とともに非核宣言をやりたいんです。そこで華々しく勇退したいんで、そこまでは絶対に解散するつもりはありません。ただし、来年1月に内閣改造をやる可能性は高いです。国民民主党党首で財務省出身の玉木雄一郎を閣僚として入れて、国民民主党と連立政権を組むというアイデアもいま出てきています。
──また財務省! 公明党とかそれを許すんですか?
ジェームズ 許さないでしょうね。その前にこれをやると一気に自民党の保守層が離れていきます。特に安倍派、高市さんとかは離れるでしょう。結局自民党には麻生派ぐらいしか残らないんですよ。
──ますます麻生さんの天下ですか?
ジェームズ より根本的な問題は、防衛費増額の決定が天皇マネーを使うことが殆ど議論されずに行われたことです。私は今回の防衛費増額に関し、元防衛大臣で皇室と非常に密接な関係を持つ某議員と話を重ねてきましたが、天皇マネーでは「国有地の売却」しか話題に上がりませんでした。
──天皇マネーを使う話まで出たんですか?
ジェームズ 出ていました。ただし、それは国有地の売却までで、国有地の究極の所有者は天皇家ですから、これも天皇マネーになります。しかし、国有地の売却によって、お金を捻出するというスキームは買主が現れるかどうかも不明であり、資金もそれほど多く集まりません。なにより心配なのは、中国がバックの偽装会社が国有地を買ってしまうことです。これではますます国防を脅かすことになってしまいます。
ですから、ここは天皇マネーで最強の天皇のゴールドを使うべきでしょう。実際、ロシアが2月にウクライナに侵略した数カ月前から、世界の超国家勢力が天皇のゴールドを買い漁りにきています。さきほどの皇室関係者によると、日本政府がなかなか天皇ゴールドを売却したがらないので、そういう話はいつも頓挫しているということです。しかし、「有事のゴールド」と呼ばれる天皇のゴールドは国民を戦火から守るための日本の財産のはずです。そのために大日本帝国時代に天皇陛下の名の下に世界中からゴールドをかき集め、戦後マッカーサー元帥と昭和天皇の合意の下、「日本の平和と発展のために天皇のゴールドを使う」と密約がなされたのです。
12月20日、日本銀行は金融政策決定会合の結果を発表し、長期と短期の金利を操作するイールドカーブコントロールにおいて、長期金利の変動幅を目標値(ゼロ金利)の「プラスマイナス0.25%程度」から「プラスマイナス0.5%程度」に変更した。
日本の長期金利はインフレを受けて長らく上限の0.25%に張り付いていたので、その上ブレを許した形で、実質的な利上げである。
金融緩和の終わり
これは2013年のアベノミクス以来行われてきた日銀の金融緩和の終焉である。日銀は緩和によって金利を低く保ってきたが、ついに金利を低く保つことができなくなった。
何故できなくなったかと言えば、最初の理由は円安である。ドル円のレートは最近になって下落を始めているが、それまで今年のドル円相場は急激な上昇が話題になっており、財務省と日銀は長期的に無意味な為替介入によってドル円の上昇(つまり円安)を止めようとした。
ドル円が上昇すれば、輸入物価がどんどん高くなり、日本人は海外の製品が買えなくなる。日銀が金融緩和をしてきた理由の1つに、円安になれば海外から見て日本の製品が安くなるので数字の上では輸出で儲かるというものがあった。だから紙幣を刷りまくって円の価値を薄め、円安にしようというわけである。
だがこうした考えのリフレ論者が見落としていることが1つある。その戦略によって、価値が薄まった円で換算すれば儲かっているように見えるかもしれないが、ドルなど海外の通貨を基準に考えれば、外国人が日本の製品に払っている対価(つまり日本人が得ているもの)は別に何も変わっていないということである。
例えば1ドル=100円の時に600万円(=6万ドル)の日本車があり、6万ドル持っている外国人が購入を考えているとしよう。
これが円安になり、1ドル=120円になったとする。600万円の日本車は、ドル換算では6万ドルではなく5万ドル(=120円 x 5万)になる。予算が1万ドル余ったので、ついでに軽自動車も買えるかもしれない。
これで日本人は自動車だけでなく軽自動車も売れたと喜ぶかもしれない。だが実際には、元々6万ドルを日本車1つと交換していたものを、円安によって同じ報酬で日本車と軽自動車をセットで譲り渡す羽目になっただけで、得をしているのは外国人のほうである。
一方で日本円の価値が下がるので、日本国民は外国の製品が買えなくなる。円安の何が良いのか誰か説明してくれないだろうか?
円安政策という自殺行為
円安によって得をしているのは、同じ対価で多くの日本製品を手にする外国人である。それが円安の意味である。
だが2013年に自民党によって円安政策が開始されて以来、こんな簡単な誤謬に誰も気が付かなかった。円安は単なる自殺行為である。だが誰も気が付かなかった。
そして円はどんどん安くなっていった。それは円から見たドルの値段が上がるということなので、2013年以降どれだけ円の価値がなくなったかは、ドル円がどれだけ上がってきたかを見れば分かる。
通貨安の意味にようやく気付いた日本人
円安が日本人にとって何の得にもならないという事実は、上で説明した通り2013年から何も変わっていなかったが、日本人は10年近く経過した2022年になってようやくそれに気付いたらしい。恐るべき頭の回転の速さである。
今年に入ってからのドル円上昇は、ドルの金利が上がり、高金利に惹かれた投資家がドルを買ったというドル高の側面も勿論ある。だが例えば世界的に見ればユーロも今年下落した通貨の1つだが、日本円はそのユーロに対しても下落(ユーロ円は上昇)している。今年のユーロ円のチャートは以下である。
それどころか今年日本円はインドネシアルピアなどの東南アジアの通貨と比べても下落しており、円がドル以外の通貨に比べてもどれだけ下がったかということである。
その原因は海外の要因ではなく日本国内の要因にある。そしてその要因とは、インフレが問題になっている現状においてさえ、日銀がインフレを目指して金融緩和を継続してきたということである。黒田氏は一体何を目指していたのか。
いまだにインフレを目指していた日銀
世界中が物価高騰に苦しみ、日本人もついに始まった物価高に喘ぎ始めた2022年、平均的な日本人の年収の何倍もの報酬を貰いながら黒田総裁が何を目指してきたかといえば、インフレを引き起こすことだった。
そしてインフレは起きた。おめでたいことである。彼らはずっとインフレを目指してきて、自民党に投票した有権者はそれを支持してきたのだから、喜んで当然の結果ではないのか。
もうここでは何度も言っているが、インフレとは物価高のことである。それ以上の意味は一切ない。辞書を引いてほしい。インフレとは物価高のことである。日銀はそれを目指し、実際にインフレになった。そうしてようやく日本人はインフレとは物価高という意味だということを理解した。
ちなみに何故日銀がそれを目指してきたかということは、まだあまり理解されていない。
利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
あまりに大きなコストに対し、得られた学びがそれだけだというのは、あんまりではないか。それが自民党と日銀の撒き散らした完全なデマを無批判に信じたことの対価である。
日銀は今やそれを巻き戻そうとしている。インフレではなくデフレを引き起こすために長期金利を上昇させようとしている。
マクロ経済学上、インフレとは供給過少・需要過多を意味し、デフレとは供給過剰・需要過少を意味する。簡単に言い直せば、インフレとはものが足りないこと、デフレとはものが余っていることである。
前者の方が良いというデマを流したのは誰か。20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏は、それがデマであるということを何十年も前に警告していた。だが正しい意見は決して主流にはならない。人々は間違った意見を自分から求めてゆく。
結論
ということで、今日は日本が無事にインフレターゲットを達成した記念すべき日である。おめでたいことではないか。お陰で消費者はものが買えなくなり、日本円は長期的にどんどん価値がなくなり、日本経済は沈んでゆくだろう。
ところで一部の人が言っていたように、日本のインフレは「コストプッシュインフレ」なので金融引き締めは必要ないのではなかったのか? マクロ経済学の完全な素人である黒田氏を虐めるのも、ここまでにしておこう。
ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31363