■ ゴールドマンサックスに注目 ■
ゴールドマンサックスが米政府のインサイダー企業である事に疑いを持つ方は少ないでしょう。彼らに言わせれば、「優れた情報収集能力と分析能力」という事になるのでしょう。逆に言えば、ゴールドマンの動きを観察していれば、ある程度市場は先読み出来るという事になるでしょう。
リーマンショック後の金融の混乱期に積極的にリスクを取っていたのはゴールドマンだけです。彼らは政府が積極的に金融危機打開の政策を打ち出す事も知っていましたし、FRBが潤沢にドルを供給し続け、プチバブルを引き起こされる事にも気付いていました。他の金融機関にも同様の見方をする人は居たのでしょうが、「確信」においてはゴールドマンには敵わなかったのでしょう。
BRICsという言葉を発案し、新興市場への投資を誘導したのもゴールドマンですし
、サブプライムローンの崩壊に際に一社だけ先に売り抜けていたのもゴールドマンです。
最近のゴールドマンの動きの中で気になるのがファニーメイです。
■ MBSで大儲けしたゴールドマン? ■
リーマンショック後のゴールドマンは一人リスクを恐れずに大きくレバレッジを掛けた取引を再開しました。この時期ゴールドマンが安価で抱え込んだ資産にファニーメイやフレディーマックのMBSが大量にあるはずです。
現在、政府系住宅金融機関であるファニーメイもフレディーマックも事実上経営破綻状態で、政府に救済されて生き残っています。FRBも積極的に両社のMBSを大量に買い支えています。現在、両社のMBS購入者は100%FRBであると言っても過言では無く、ゴールドマンは二束三文で購入したMBSをFRBに売さばいて莫大な利益を上げているはずです。
FRBはMBSの買取プログラムを継続するようですが、これはFRBのバランスシートを大きく損なって行きます。しかし、買取プログラムの停止はMBSの利回りが跳ね上がる事を意味し、せっかく回復の兆しが見られる住宅市場にとどめを刺す事になります。
リーマンショック後の混乱期にゴールドマンは政府から注入された資金でMBSを二束三文で大量購入し、それをFRBに転売して利益を上げています。税金がゴールドマンの利益に化けています。考え方によってはMBS市場を崩壊から救った事にもなりますが、抜本的改善が見られない現在、大量のMBSがFRBの手元で不良債権化しています。
利益はゴールドマンをはじめ銀行が独り占めして、負担は国民が被る・・・。アメリカの国民は余程忍耐強いのか、あるいは?
■ 次の危機はMBS市場の崩壊 ■
現在のMBS市場はFRBが支えている市場です。FRBは2009年、政府機関MBSを最大1兆2500億ドル、国債を3000億ドル、政府機関債を2000億ドル買い取る計画です。MBSだけで実に100兆円を越える金額です。これだけの巨額な不良債権を抱え込む事で、既にFRBは債務超過に陥っているという指摘もあります。米議会ではFRBの経営状態をチェックしようとする動きも出てきています。
12の民間金融機関が出資して設立した、一民間金融機関であるFRBが、ドルを刷りまくってMBSを買い支え、アメリカ国債を買い支えています。ここには規律など一切存在していません。
ドルは言うなれば一民間金融機関であるFRBの債権でしかありません。世界がこの事を強く意識した時、国債通貨としてのドルは紙切れになるかもしれません。そうなる以前に、MBSの買取プログラムや国債購入を中止すべきですが、そうなれば結局、債権市場が崩壊し、再度の金融危機に耐え切れずにドルは暴落するでしょう。
■ さらなる妙手はあるのか ■
リーマンショックの直後、政府はAIGを救済して、CDS市場の崩壊を防ぎました。
今回のMBS崩壊に果たしてこの様な妙手はあるのでしょうか?
リーマンショック後、金融業界は臭い物にひたすら蓋をする事で生き延びています。しかしそろそろ肥溜めの底が抜ける頃かもしれません。年末から来年の前半は、何かが起こりそうです。
尤も、投資などとは無縁の生活をしているので、銀行預金さえ守れればOKなのですが。
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