■ FRBのバランスシート ■
先日も書いた様に、FRBはドルを大量に発行して、ファニーメイやフレディーマックのMBSを大量に買い支えています。もしこれらの債権の価値が大きく毀損した場合、FRBは多額の負債を負うことになります。
ここでFRBが被る損失は、損失では無いという考え方を持ち出す事も可能です。FRBは通貨の発行権を有していますので、ドルをいくらでも発行する事が出来ます。MBSが紙切れになっても、MBSを購入する為に発行したドルも紙切れなので、別にFRBのバランスシートは痛まないと考えられない事もありません。中央銀行に債務超過という概念は無いのかもしれません。
■ ヘリコプター・ベン ■
日本の来年度の国債の発行額が50兆円を突破しそうです。しかし、FRBがMBS購入の為に発行したドルは100兆円を越えています。国債の50兆円が問題視されるのに、通貨発行の100兆円は問題にはならないのでしょうか?
MBSの価値が損なわれないのなら、FRBはMBSの価値を等価のドルと交換しただけで何ら問題はありません。然るべき時期にMBSを適正価格で売却出来れば、ドルはFRBの手元に戻って来ます。しかし、MBSが購入価格を大きく下回れば、FRBはドルをバラマイタだけに終わります。
バーナンキFRB議長は「ヘリコプター・ベン」の異名を持っています。彼は恐慌の研究家であり、恐慌回避には、ヘリコプターでお金をばら撒く様な政策が有効であるというのが持論です。実際にヘリコプターでお金をばら撒く訳には行かないので、債権購入という形でドルをばら撒いています。ばら撒いているのですから、到底回収するつもりはありません。
■ 現代の錬金術 ■
大量に発行されたドルは、過剰流動性として再び世界を巡っています。新興国の経済が急成長して受け皿にならない限り、ドルは資産インフレを膨張させ、バブルはいつか必ず弾ける危険性が高まります。
今世界でドルを大量に購入しているのは中国です。対米輸出が停滞する中で、中国のドル保有量は増大しています。中国は元を刷りまくって、ドルを買い支えています。そして、そのドルでアメリカ国債を買い支え、資源を買いまくっています。
アメリカで無からドルが生まれ、中国で無から元が生まれ、この二つの通貨の間で循環が生まれ、資源を買う購買力が生まれています。これを現代の錬金術と言わずして何と言うのでしょうか?
中国とアメリカは21世紀のG2では無く、21世紀の共犯国家です。
アメリカ離れを模索し、中国に擦り寄ろうとする民主党政権ですが、どちらに付いた所で、人の良い日本人のままでは、カモがネギしょっている様にしか見えないでしょう。
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