■ 実効燃費からみた省エネ車 ■
日本車のカタログの10-15モード燃費が実際の燃費から乖離するので、
実効燃費のデータが無いか探した所、見つけたので上に示します。
元データは http://response.jp/e-nenpi/rank.html を参照して下さい。
データは以下の方法で収集されたものの様です。
<参照>
ユーザーから寄せられる毎月数万回の給油情報をもとに、
いままでにない規模の車種別実用燃費データを集計、ランキング形式で発表しています。
<参照終わり>
これによると、3代目プリウスのカタログ燃費(10-15)は38Km/ℓですが、
実効燃費は22.5Km/ℓで、カタログ燃費の6割となっています。
この事からも日本に10-15モード燃費の測定方法事態が実態を反映出来ない事が分かります。
■ 軽自動車の燃費があまり良く無い ■
この表で見ると、軽自動車の燃費があまり良く無い事に気付きます。
軽自動車の燃費の良いものは、19Km/ℓとプリウスに比べそこそこの数字の様ですが、
ほとんどがマニアル車のデータです。
唯一、アルトラパンがAT車で上位に顔を出しています。
これは、衝突安全性の確保の為に、軽自動車の重量が増大し、
既に重量だけは軽自動車で無くなっているのに、
エンジンのレギレーションが660CCという事に起因します。
車重に対してエンジンが非力で、効率が悪い車になってしまっているのです。
燃費の上で有利の思われる軽自動車ですが、
パワーやトルクを確保しながらの省エネ化には限界があり、
省エネ車の本命とは言いがたいのでは無いでしょうか。
将来的に1300CCクラスの省エネ化が進んだ場合
軽自動車は税制の優遇のみが利点の、狭くてパワーの無い中途半端な車になりそうです。
■ CVT、AT車も健闘 ■
ミッションに関しては、軽自動車こそMT車有利ですが、
コンパクトカーに関してはCVTやAT車も上位に顔を出しています。
ATやCVT車でも、走行時にクラッチをロック出来れば、
それなりの燃費になる事が分かります。
コンパクトカーではヴィッツの1300CC、CVT、アイドルストップ付きが、
17.6Km/ℓと非常に健闘しています。
現行モデルの1000CCアイドルストップ機能付きの
カタログの燃費(10-15)が24.5Km/ℓですから、
こちらも約7割が実効燃費だとすると同等になります
フィアット500が1200CC,AT車で17.5Km/ℓと非常に優秀ですが、
多分これはサンプルが少なく、省エネ運転技術に優れた人のデータなのでしょう。
別のデータでは、13.93km/ℓで、一般的な日本車と大差はありません。
同様にデータは全般的に、希少車でのデータの誤差は大きいと思われます。
■ 省エネ車の本命はアイドリングストップ付きのコンパクトカー ■
ビッツのアイドルストップ付きと、2代目インサイトの燃費の差は、2.3Km/ℓです。
価格はヴィッツの1000CCアイドルストップ付きが、128万円。
2代目インサイトが、199万円ですから、その差は71万円。
インサイトは車体も大きく、ハイブリットシステムで重量もアップしていますから、
低速トルクを除けば、走行性能に大きな差があるとは思えません。
(ここら辺、実際運転した事が無いので説得力ありませんが....。)
ただ、以前レンタカーで借りたヴィッツはキビキビと良く走り、
先代マーチ(角目のやつ)に比べ、圧倒的に良く走ってビックリした記憶があります。
今後、環境意識の高まりから、アイドルストップが定番となれば、
コンパクトカーの燃費は、ハイブリット車に迫るものとなります。
■ エコディーゼルもハイブリットも贅沢車 ■
前回、ヨーロッパ車のエコディーゼルとハイブリットを比較して、
エコディーゼルの優位性を主張しまいたが、
実は、エコディーゼルも排気ガスのクリーン化の為に
エンジンの構造が複雑化し、大掛かりな触媒システムを搭載しています。、
高コスト化と、車重UP、資源の消費量のアップと言った点ではハイブリットと良い勝負です。
むしろ、触媒に使用される白金の高騰による価格UPの要素も大きくはらんでいます。
3代目プリウスも、エコディーゼルも、ある程度の走りを満足させながら、
省エネも両立したいという贅沢な発想から生まれています。
これは、ユーザーニーズとしては正しいですが、
省エネの観点から考えれば、大いなる矛盾をはらんでいます。
そもそも、エコディーゼルもハイブリットも高価ですから、
価格優先のコンパクト車に搭載すると、
車格に対してアンバランスな価格の車になり、市場性がありません。
走りを妥協すれば、安くて、環境性能が良くて、
省資源の車の選択肢がいくらでもあるのです。
ハイブリット=エコ、エコディーゼル=エコとは、
自動車メーカーがユーザーに植え付けたい幻想です。
■ 電気自動車を見据えたハイブリットと、バイオ燃料を見据えたエコディーゼル ■
ハイブリットに意味があるとすれば、電気自動車の技術開発に繋がるという事でしょう。
しかし、ハイブリットのノウハウの殆どは、エンジンとモーターの最適化にあります。
一方、電気自動車のモーターは制御も容易ですから、普通の自動車を作れるメーカーが、
優秀な電池と、優秀なモーターの制御系さえ手に入れれば参入は容易です。
家電メーカがいきなり電気自動車は作れませんが、
自動車メーカーは電池の技術さえ確立すれば、どこでも即参入可能です。
むしろ複雑なエンジン制御が不要にあんるだけ、中国車などの参入機会が拡大します。
競争力の主力は、いかに安くて高性能な電池を搭載するかに移って行くでしょう。
バイオディーゼルは、高度な技術を要しますから、
エンジンの技術の積み重ねのあるメーカーに有利です。
しかし、バイオ燃料の供給に未だ目処が立っていません。
欧州では菜種油を燃料にする計画が立てられている様ですが、
少量生産は逼迫した場合、限られた農地をバイオ燃料用に使用する事は道義的矛盾を感じます。
■ 時間軸や空間的広がりを無視した省エネ車論議 ■
省エネ全般に言える事ですが、時間軸や実態を無視した机上の理論がまかり通ります。
● 製造時の環境負荷を10年で返済するような技術が本当に省エネなのか?
● 利便性や性能を妥協する事は、省エネの選択肢では無いのか?
● 本当に温暖化を心配するならば、今後爆発的に増大する中国やインドで
有効な省エネ技術で無ければ意味が無いのでは無いか?
● 先進国が高コストで節約したエネルギーは、新興国が使用するのでは無いか?
いろいろ考えると、複雑な省エネシステムよりも、
「利便性を犠牲にする」という、ちょっとした我慢が一番環境に優しいようです。
ちょっとそこまでの買い物にプリウスで出かける人が、一番エコからかけ離れています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます