■ QEインフィニティーとバブル狂騒曲 ■
コロナ対策として実行されているFRBのQEインフィニテ(無制限の量的緩和)を始めとする各国中央銀行の緩和規模は、6兆ドルに達しています。これは2009年のリーマンショックから2018年に世界が実施した緩和規模の半分に達しています。
FRBがジャンク債までも買い上げるという「クレージー緩和」で市場に投入された資金は、株式市場を始め様々な市場に流れ込んで相場を押し上げています。株式市場はコロナショックで一旦は暴落を演じましたが、ナスダックが市場最高値を記録するなど、コロナ前の水準に戻っています。
株式のバブルの指標の一つとされるバフェット指数(「株式市場の時価総額÷その国のGDP×100)はコロナショック前も160と充分に高くバブルの様相を呈していましたが、現在は再び160台になっています。世界経済が今後壮絶な状態になる事が予測される中で異常な数字です。
「上るから買う、買うから上がる」というのがバブルの基本スタンスですが、現在ロックダウンで自宅に籠るアメリカの投資家達は「ロビンフット」という投資ソフトを使って株を買い上げています。ロビンフットは預金の与信枠を使って投資する株式ソフトで、誰でも簡単に信用取引が出来てしまう。
■ 市場の感心は大統領選挙 ■
無制限緩和で「買うなら今でしょう!」となっている市場ですが、実は楽観が支配している訳ではありません。「こんなクレージーな状態が続く訳が無い」という事を多くの人が理解していますから、「暴落はいつ起こるのか」と戦々恐々としています。
市場関係者の多くは秋の米大統領選の行方をかなり気に掛けています。トランプの分断政策は大規模な黒人暴動など社会不安を生み出し、トランプの支持率が低迷しています。民主党の大統領候補のバイデン氏は76歳と高齢で「ボケている」とも揶揄され、決して強力な候補ではありませんが、それでもブサイクな犬同士の比較でトランプよりはマシに見える。
バイデンの政策は伝統的なリベラルでオバマに近い。社会保障の充実と、富裕層や大企業への増税も打ち出しています。トランプが緩和してしまったドット・フランク法の厳格化も打ち出しています。ドット・フランク法はリーマンショックへの反省から生まれた金融市場の規制強化の法律ですから、ウォール街がこれを歓迎する訳は有りません。
アメリカの大統領選の選挙前の支持率はあまり当てに出来ないのですが、バイデン支持は50%、トランプ支持は36%となっている様です。コロナで失業者が増え続ける中で現職大統領は不利な戦いを強いられ、民主党は困窮している貧困層にアピールする絶好の機会を得ている事は確かです。
このまま、バイデン候補が支持を伸ばし続けると、市場は動揺し始めます。規制強化を意識し始めるからです。
■ アメリカの大統領選のシステムは複雑で支持率が当落に必ずしも反映しない ■
支持率ではバイデン有利の現状ですが、先の大統領選を見ても、支持率が必ずしも当落に反映しないのがアメリカの大統領選挙。これは週ごとの複雑な選挙システムに寄る所が大きいのですが、接戦集をどちらが取るかによって流れは大きく変わります。
劣勢に立たされたトランプは、さらなる経済対策を発表したり、FRBに緩和拡大を迫るなど巻き返しを図るでしょう。これが期待される間は、株価もさらなる値上がりを期待して現状を維持します。
■ 永遠のバブルは存在しない ■
シャボン玉は軽やかに風に乗って上昇している様に見えて、実は膜のシャボン液はバブルの下にどんどん集まる事で、膜の厚みはどんどん薄くなります。そして最後は弾けて消える。シャボン玉の表面が虹色に見えるのは膜厚が薄くなって膜厚が光の波長に近付いて起こる現象です。
「コロナバブル」で虹色の夢に浸っている人は要注意です。最期に庶民の金を毟り取って終わるのがバブルの常。
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