タイトルは『恋愛戯曲』。サブタイトルには『私と恋におちてください』とある。なんだか安っぽいし、そのまんまやんか。あまりの芸のなさに、反対になんか「特別な何か」を期待させられるほどだ。だが、あっけなくもその儚い期待は完璧に裏切られる。見事なまでに。なんでここまでわざとらしい作品にする必要があったのだろうか。コメディーだから、と片付けるのははばかられる。安易な手抜きとは考え難い。でも、本気で作ってい . . . 本文を読む
主人公のいない小説である。複数の人物がそれぞれのパートを担うのでもない。語り部となる人物はいる。彼女の担任となる先生だ。彼の語りでお話は進展する。一応は。だが、彼が狂言回しになるのではない。彼は事実の記録に徹する。カナダからの留学生が主人公なのだが、彼女は担任の記録に中で登場するのみで、彼女の気持ちが語られる部分なんかない。それは彼女だけでなく、ここには一人称の語りや会話は存在しない。
とあ . . . 本文を読む